54 ただいま準備中
すみません、あんまり話は進んでないです……。
少し加筆して修整しました
05.4.22
まだ時間があるので、掃除機をかけながらつい考え込んでいた。
説明会にはたくさんの人が来るだろうな。思念波も集まりやすいかも。だけど人が多いところだし、母さんも一緒に行くし。となるとあの人達と、どこでどうやって話をしたらいいんだろう?
今日はいろいろと聞きたいことがある。
私たちは協力者になることを決めた。他にも協力者が本当にいること。大災害(たぶん大地震)が起こるとして、それを止める方法があるなら止めたいと思ったこと。思念波について知りたいと思ったこと。理由はいろいろある。
しーちゃんは、一番は面白そうだから、と言っていた。面白くて、さらにそれで災害も防げるかも知れない。これはやっちみなくちゃ! って。
私はそんな簡単には決められない。今でも不安はたくさんある。
一番の不安は思念波に対する恐怖感かもしれない。思念波って何なの? 掃除機を止め、そっとポケットに触れる。御守り袋はちゃんとある。
受容体をもらってまだ三日しか経っていない。なのに今まで全然知らなかった思念波の流れる感覚に慣れてきている。これがなかったら今でもブルブル震えていると思う。恐いっ! と思った瞬間、受容体がその感情をしゅっと吸い取ってくれる。おかげで落ち込んだりパニックを起こしたりということがなくなった。
だけどいいこともある。今までしーちゃんに引っ張り回されるたびに、泥だらけになったり擦り傷だらけになったりと結構な目に会って来た。それがましになってる。もちろんおじさんやおばさんが近くにいてくれたことも大きいとは思う。でもしーちゃんのパワー溢れ出る思念波を、受容体が吸収してくれていることは大きいと思う。
しーちゃんのパワーは相変わらずなんだけど、思いついたら即行動! だったのが、その前にゆるくブレーキがかかってる感じ。ありがたいよねー。
私も受容体に頼っている気がする。しーちゃんなら便利でいいじゃんって済ましてしまいそうなんだけど。
うだうだ考えているうちに、気付けば掃除機をかける手を止めていた。やばっ、母さんに怒られる。
慌てて掃除機をかけ終える。もともとそんなに広い部屋じゃないし、床に物を置くこともないので、あっという間に終わった。
ちょっと掃除しただけなのに、もう汗をかいてる。今日も暑い1日になりそう。
掃除機を片付けにいくのと、母さんが布団乾燥機を持ってくるのはほぼ同時だった。セーフ。
母さんと協力して布団を運び、乾燥機をセットする。それから一階に降りて、冷たい麦茶で休憩した。
ほっと一息つき、さあ出発! と思ったら、母さんが自由研究のノートを見せてと言ってきた。
「小鳥遊さんから少し聞いてるけれど、あなた達また思いつきで変な実験しようとしたみたいね」
あ、やっぱり聞いてるんだ。私は慌てて母さんに言う。
「あ、あれはしーちゃんが勝手に暴走しかけただけで、おばさんが止めてくれたから!」
母さんが頷いて続ける。
「それも聞いてるわよ。だから、どんなことを考えているのか教えて欲しいの。このお泊まり会の間に少しでも進めておいた方がいいでしょう?」
それはその通りだ。母さんは小学校の先生だから相談をするのにこれ以上ぴったりな人はいない。これまでも毎年母さんに唆されて自由研究やってたんだよね。
今までと違うのは自分から始めたことだ。……まあ、言い出したのはしーちゃんだけど、私もいいよって言って一緒に考えて来たんだから、自分からって言っていいと思う。
二階からノートとメモ帳を持って降りてくる。
「よろしくお願いします」
タイトルの「大災害を探れ」を見て、母さんがくすりと笑う。それからノートを広げ、ゆっくりと読んでいく。
私はどきどきしながら読み終わるのを待った。
しばらくして母さんが顔を上げるとにっこりと微笑んだ。思わずごくりと唾をのみこむ。
「よく頑張ったわね。思ってた以上によくまとめられているわ。書き方もよく覚えていたわね」
良かったー。すっと肩が下りる。
「でも」
そう言った母さんの口元にはまだ笑みが残っているけれど、瞳がまっすぐに私を見ている。思わず背筋が伸びた。
「自由研究はここからが本番よ」
「うん、分かってる」
「じゃあ、予想した仮説を元に、どんな実験をするつもりなのか教えてもらわないとね。小鳥遊さんから少し聞いてるけれど……と、ここまでにしましょう」
急に話を止められてきょとんとする。首を傾げる私に、母さんがくすりと笑い、人差し指を私の額に軽くとんとん、と当てた。
「今回の自由研究は、怜奈一人でするんじゃないでしょう?」
母さんがウィンクする。
「あっ!」
やばっ! しーちゃんのことをすっかり忘れていた。つい、いつものように母さんと二人で進めてしまいそうになっていた。
このまましーちゃんを放って進めたら、確実に拗ねられるよね、うん。心の中でめちゃくちゃ焦っていると、母さんがくすくすわらいながら言った。
「うっかり一人で進めそうになっていたことは、内緒にしとくね」
うう、是非お願いします……。
PV1500を超えました。ユニークも800超えると思います。
読者の皆様、ありがとうございます。
はじめましての方、ここまで読んでいただきありがとうございます。改稿を追っかけてくれている愛読者の方、本当にありがとうございます。めちゃくちゃ励みになってます!
それではまたお会いしましょう。
皆様に風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。




