31 育っていく受容体
前回入りきらなかった残りになります。
なので、今回短めです。
修整しました22.1.21
松永さんが目を細めて笑う。
「よく知ってるね。博物館に展示してある銅鏡が白鳥山古墳からの出土品だね。僕も詳しいわけじゃないけど、白鳥山古墳は盗掘されていた可能性があるって聞いているよ。それで見つかった副葬品の数も少ないみたいだね。だから、今回の古墳が未盗掘で、多くの副葬品が発掘されたことはとてもすごいことなんだよ。この古墳の遺物から、白鳥山古墳についても更に詳しく知ることが出来るかもしれないんだ」
「そうなんですね」
「てことは、やっぱり大発見なんじゃん!」
しーちゃんの興奮度がぐぐんとさらにアップした。私の受容体も同じようにどんどん吸収していく。
これ、かなり成長するんじゃない?
同じように感動したり共感したりすると、さらに多くの思念波が吸収されていくのがわかる。そばにいるおばさんからも、松永さんからも結構な量が流れこんで来ている。
思念波に慣れてきたせいもあるかもしれないけれど、吸収出来る範囲が広がっている感じがする。
昨日おじさんに説明してもらっているときはここまで感じることはなかった。
レイアーナと直接交流しているときだってこんなふうに流れていく感じはなかった。
今は、強い感情でなくても共感している人なら誰からでも流れてこんで来る感じがする。
この調子でどんどん成長させればいいんだよね。
でも、こうやって吸収させてどんどん大きくなったら、全然知らない人からも流れて来るようになるのかな……。
不安になった気持ちがしゅっと受容体に吸収され、はっとする。
だめだめ。弱気はストップ。
あわてて首を振ると、興奮して跳び跳ねるしーちゃんが見えた。そうだよね、今は大発見の感動に浸ろう。
感動した思念波も吸い込まれるけれど、私の感動する気持ちが大きいから大丈夫。
本物の遺物の数々が『もっと私を見て』と言ってる気がする。こんな本物を間近で見られる経験なて奇跡みたいなものだ。しっかり目に焼き付けておこう。
しーちゃんは発掘現場の写真も撮りまくっていた。私はおばさんと一緒に詳しい説明を松永さんにしてもらった。
ちょっとショックだったのは、古墳時代の人の衣装が貫頭衣ではなく上下セパレートだったことだ。男の人は裾の広いボトムスで、女の人は裳というスカートみたいなものをはいていたらしい。古墳時代の人、結構おしゃれだった。
そう言えば高松塚古墳の壁画ってそんな感じだった。弥生博物館でみた展示の記憶が混ざってたみたい。もっと勉強しないとっ。
家に着くまでも、帰宅後も父さんの興奮具合はすごかった。夜になっても、ずーっとその話をしていた。
父さんと古墳の様子は、夜の地方ニュースでも取り上げられていた。ちょっと緊張しながら話している父さんと古墳内で撮影された映像が流れた。古墳内の動画はスタッフが撮影したものだと父さんが言っていた。
実際に発見されたそのままの映像は本当に感動した。
その場で見たかったな。
寝る前に御守り袋から出して受容体を確認してみた。ずいぶん大きくなっていて、えんどう豆くらいの大きさになっていた。二倍以上大きくなってる。
明日もしーちゃんの家で自由研究の続きをする。父さん達は明日も日曜日の準備で忙しいって。
私は受容体をしまうとベッドに入った。
───そして、私は今日も夢を見る……。
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こちらのコラボ小説は二週間に一話更新しています。
しーちゃんが、「絶望の箱庭〜鳥籠の姫君〜」の世界で大暴れ(笑)しております。
それでは、またお会いしましょう。
皆様に、風の恵みが共にあらんことを。お祈りいたします。




