3 しーちゃんとの再会
なかなか発掘現場に着きません。
加筆修正しました 22.8.17
ちょこっと加筆(しーちゃんの服装とか)しました。
23.3.13
父さんは、次の週からほぼ毎日白鳥山古墳に通うようになった。
発掘する前にいろいろ調査したり、準備が必要らしい。
私は夏休みに入った。
しばらくは本格的な発掘にならないということなので、その間は水練学校に行ったり、学校の宿題教室に行ったりして過ごした。
もちろん、夏休みの宿題も進める。
発掘調査に連れて行ってもらう交換条件として、課題をさぼらずにすることを母さんに約束させられたからね。
自分でも自覚してるけど興味のあることが目の前にあると、すぐに全力投球してしまう。夢中になると他のことが全然手につかなくなる。
だから連れて行ってもらえるまでに宿題の大半を終わらせておかないと、夏休みの終わりにヒドイことになるのが目に見えている。
せっかくの許可を取り消させないためにも私、けっこう頑張った。
そして八月になると、母さんからの許可も得て、ついについに、晴れて発掘への同行が出来ることになった!
今日から発掘作業に参加出来る! もう朝からわくわくが止まらない。
ついに生の発掘が見られるのだ。
──埴輪かな、剣かな。須恵器もあるかも。石包丁、それとも矢じりとか!?
ふんふんふーん、と思わず鼻歌を歌いながら父さんの車に乗った。
「怜奈、父さん達の邪魔をしないようにね。勝手に手を出しちゃダメよ。あなた、すぐ他のことに気をとられたりするから。熱中症にも気をつけるのよ。それから……。」
心配性の母さんの、細々とした注意を半分聞き流しながら聞いていたら、バレて更にもう一度最初から聞くことになってしまった。とほほ。
「父さん、父さん、もう何か見つかったの?」
待ちきれなくて、出発してすぐに聞いてみた。
「とりあえず見込みのありそうな一番大きい方墳の入口の周囲から堀り始めたところだよ。」
父さんが運転しながら答えてくれる。
「当時の地層付近まで掘り下げて、そろそろ遺構が見つかるかな、というところだから、ちょうどいいタイミングだと思うよ。周囲にいくつか円墳があるところからも、白鳥山古墳に埋葬された主の妻子か、仕えていた貴族の可能性が高いと思う。」
声が嬉しそうだ。話しているうちに笑顔になっていく。
「おそらくだけれど、祭祀跡が見つかるんじゃないかな。今日はその発掘と、方墳の入口を探してみる予定なんだ。」
長い年月放置されていた古墳は、外から見ただけではただのこんもりした小山や森にしか見えない。
今回の方墳は、一応形としては残っているけれど、誰のお墓なのかもわかっていない。
近くに大きな白鳥山古墳があり、そちらが名のある豪族か大王のものらしいとわかっているため、その周囲にある古墳は、その妻子か、仕えていた豪族のものである可能性が高いらしい。今日は、周囲の発掘の様子をみて玄室の場所を特定したいみたい。
「白鳥山古墳の玄室跡から考えると、今回の方墳も、横穴式の石室である可能性が高いと思う。入口は石組みで塞がれているはずだから、今日はその辺りの痕跡を探してみるつもりなんだ。」
うーん、楽しみ! 聞いているだけで古代ロマンへの憧れが強くなる。千年以上も前の人々の生活が目の前で明かされていくんだ。古代の謎に迫る探偵になった気分。
そんな話をしているうちに、車は博物館に着いた。ここからは歩いて発掘場所に向かうらしい。
とそのとき、博物館の入口でぶんぶん手を降っているしーちゃんが見えた。オレンジのハーフパンツに、長袖の青いパーカーのフードが飛び跳ねている。大声で呼ぶ声が聞こえた。
「れーちゃん、久しぶりぃー! 元気だったー?」
はてなマークまではずんでいるみたいだ。私も窓を開けて大声で答える。
「しーちゃーん、久しぶりぃ! 会いたかったよー!」
車から降りるとしーちゃんが駆け寄って来て、がしっと抱きつかれた。水色ドットのシュシュでまとめられた、茶色がかったポニーテールのしっぽがふわふわと頬に当たる。その懐かしい感触に、思わずへにゃっと笑顔になった。
父さんが小鳥遊さんに、私が来ることを伝えてくれたのだろう。ちらりと父さんを見ると、どうだ、というふうに笑顔で見ている。
ありがとう、とそっとつぶやくように言うと、ニコニコ笑いながら頷いてくれた。
「……さてと。二人とも来るかい?」
しーちゃんが体を離すと父さん言った。
「「うん!」」
やった、いよいよ発掘だ!!
私達は古墳に向かって歩き出した。
次は、発掘現場からです。
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現在改稿中のため本線更新はストップしていますが、サイドストーリーを連載中です。
詩雛が主人公の作品「しーちゃんが行く!~絶望の箱庭~鳥籠の姫君~のワールドエンドミスティアカデミーにお邪魔しました!」最新話が、この話とリンクしています。
こちらから読めます。
https://ncode.syosetu.com/n0156hr/40/
それでは続きもお楽しみください。
皆様に、風の恵みが共にあらんことをお祈りいたします。




