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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編 2 第二章 押し付けられた受容体

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19 車中での会話

今回は、帰宅中の会話です。しいて言えば、受容体の検証になるかな。


改稿しました(22.10.30)

 帰りの車中、父さんは上機嫌で運転していた。時々ふんふーん、と鼻歌が聞こえる。


「良かったね、父さん。発掘頑張ったかいがあったね」


 声をかけると、父さんの口元がゆるゆるになった。


「いやー、『未盗掘』だ、と当たりを付けた時から期待はしていたけれど、想像以上に状態が良かったなあ。土器、武具がそろっていたし、棺が三つ、それも綺麗に残っていた。明日の開廟かいびょうが待ち遠しいよ! ……それに、怜奈は気づいたかい? 棺の周囲に細かな破片があったのを」


 心の中ではぎくりとしたけれど、動揺を気付かれないように答える。


「玄室の中では気付かなかったけど、ガラスの入れ物に入ってたのを見たよ。棺の周りにあったんだね。……じゃ、じゃあ、棺の中にもあるかも?」


 ちょっと、つまってしまった。思わず冷や汗が出る。


「そうなんだよ。恐らく埋葬時にはずれたものが、踏みつぶされてしまったんだろうね」


 嬉しそうな声で話し続けるのを確認してちょっとほっとする。父さんは続ける。


「破片の種類もいくつかあっただろう? だからきっと装飾品も多く埋葬されているはずだよ。今から待ちきれないね。男性用、女性用。もしかしたら子ども用の装身具も見つかるかもしれない」


 うわぁ、父さんのテンションが高いよ。ても、わかる。私も明日何が見つかるかを考えるとわくわくが止まらない。青、みどり、白。色とりどりの装飾品の数々を想像すると、テンションが爆上がりしてくる。これぞ古代ロマンだよねっ。

 そう思った瞬間、ずわっと大量に思念波が流れ込んでいくのが分かった。私のだけでなく、父さんからもぐぐっと流れ込んて来るのを感じる。あまりの大きさにびっくりして、ぎゅっと目を閉じた。


 波が収まってから恐る恐る父さんを見た。別に変わったところはない。思念波が動いたことなど全く気づいていないみたいだ。ふんふーん、と相変わらず下手な鼻歌を歌いながら機嫌よく運転している。


 どうして急にあんなにたくさん流れ込んで来たんだろう? 埋葬品の話で盛り上がったから?

 もう一度試してみよう。


 思念波の流れに慣れないと、受容体に気付かれてしまうかも知れない。もう一度父さんに話しかけた。


「うす青いのと、白い破片があったよね。父さんはあれが何の破片か分かる?」

「うんうん。怜奈はよく見てるねー」


 さらに機嫌が良くなった気がする。これは、逆にヤバイかも。あわてて言葉を付け足す。


「父さん、私に分かるように説明してくれる? 専門的なのはパスで!」

「ん? 怜奈なら分かるだろう?」


  父さんが不思議そうに聞き返してきた。本気ですか? 私、小学生だよ!?


 そういえば家で父さんが話し出すと、うんうん、とか、ふーん、とか言って、適当に流してたっけ。そっか……あれで私が理解して聞いてるって、思ってたんだ。ものすごい誤解されてたよ。あきれているうちに父さんのスイッチが入ってしまった。


「かなり破損してしまっていて、原形を復元するには難しい状態だったからね。今は推測するしかないね」


 嬉しそうに話し出す。でも、このくらいの内容ならわかる。ちょっとほっとして、続きを聞くことにする。


「古墳の年代や、過去に出土したものから傾向を類測することはできるね。ただ、主墳墓だと思われる白鳥山古墳からは鏡、大型埴輪などは多数出土しているけれど、玉類の出土は今回が初めてだからねー。元の形を、となると難しいなあ」


 難しいといいながらも、口許がゆるゆるになっている。本当に好きなんだなあ。私も何だか嬉しくなってくる。

 嬉しいなあ、と思った瞬間、またずわっと父さんからの思念波が流れ込んで来た。


 さっきよりも強い。思わずびくっとして体がかたまり、ポケットを手できつく押さえてしまった。ちらりと父さんを見る。良かった、気付かれていない。


 ふう、と息をついて気持ちを落ち着ける。びっくりした。

 父さんの話は続いている。


「……特定は出来ないけれど、管玉か勾玉、腕輪や首飾りの可能性があるね。いずれにしても明日、もっと具体的なことが分かるだろうね」

「まだ元の形はわからないんだね。白いのは勾玉、青い方は管玉じゃない?」

「色だけでは決められないよ。白い管玉の首飾りもあれば、瑪瑙めのうのものも過去には出土例があるからね。それに、どれもが勾玉の可能性もある。うーん、どんどん明日が楽しみになってくるじゃないかっ!」


 そのとき、ちょうど家の前に着いた。


「怜奈のお陰で明日の発掘が待ち遠しくなったよ。ありがとう」


 今日のドライブはとても長く感じた。なんだかとっても疲れたなと思いながら、ゆっくりと車を降りた。



怜奈もいろいろと考えています。


それでは、続きをお楽しみください。

皆様に、風の守りが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] れいなの父とのドライブはある意味ドキドキでしたね!笑 父には知られる訳にはいかないこと。 これからが気になります(* ᴗ͈ˬᴗ͈)”
[良い点] お父さん、発掘への情熱が溢れていてますね! 同じ趣味を持つ親子の会話が微笑ましいです(*´艸`) それにしても、人の思念派まで、流れ込む時にビクッとしてしまうのはこまりものです。まさかれ…
[良い点] お父さんが、古墳発掘という仕事を本当に愛している様子が伝わってきて、さらに娘とその話をできるのが嬉しくてたまらないというのが、受容体の思念波で確認できるのが面白かったです。 [一言] こう…
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