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古墳に入ったら異世界の姫様の協力者にされちゃったので、精霊を仲間にして日本を救います!─ We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─   作者: まりんあくあ
地球編 2 第二章 押し付けられた受容体

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16 危険な予兆

ようやく大災害について、書くことが出来ました。


大幅に加筆修整しました。22.10.23


「それは、どういう意味?」


 しーちゃんが聞く。私もごくりと唾を飲み込んだ。


『遠からぬ未来、この地は大災害により埋没する』

「はい?」

「な、何それ!? そんな、まさか。はは」


 思わず乾いた笑い声を出した私を、気の毒そうにシュリーアが見て、困ったわというように言った。


『いきなり申しましても信じらませんわよね。でも……お気の毒ですが、事実なのです。わたくしも御姉様と確認しましたから』


  ほう、と息をつきながらシュリーアが続ける。


『あなた方のいる地はとても大地の力が強く、この星の様々な方向から力が集まって形成された特殊な場所にあるります』


 レイアーナも冷ややかな声で続ける。


『しかもそれらの大地の力が複雑にぶつかり合っているためにひずみが出やすい。この地では火山や地震が多いであろう?』


 しーちゃんが言った。

 

「多いんじゃない。日本って火山帯にあるって、前にれーちゃんが調べてくれたよ。それに、地震は今でも時々あるし、東北や熊本の方でも大きいのがあったよ」


 そういえば、淡路島にも大きな地震の跡を保存しているところがあったね……。

 レイアーナがふむ、と言うと、


『そなたらのいるこの地はニホンというのだな。大地の力が強い地は火山や地震が多い。力が溜まるほどに強い影響が出る。その力がかなりこの辺りに溜まって来ているのだ。遠からずその力を放出する時が来る。我らはこの地に詳しくない。ゆえに具体的に何時いつとは言えぬ。だが力が放出される時、その地に火山があれば辺り一帯に被害が及ぶ大噴火となり、そうでなければ一瞬で埋没するか地形が変わるほどの隆起を伴う大地震が起こる。海底で起これば大地震と共に大津波が起きるだろう』


 また感情のこもらない声で伝えてくる。


「どうしてそれが分かるの? ……それに、その未来に起こるかもしれない大災害とこの受容体に、どんなつながりがあるわけ?」


 しーちゃんが二人をきついまなざしで見ながら聞く。

 話のスケールが大きすぎて理解が追いつかない。私達が押し付けられたこの受容体とその大災害にどんな繋がりがあるんだろう? この受容体にどんな力があるの? 

  さっき、自分の溢れ出た感情が吸いとられたことを思いだしてまたちょっとぞっとした。


 そのとき、レイアーナの口元が引き上がった。この人、分かりにくいけど面白がってる? 笑い慣れていなくて笑顔が上手く作れない、そんな気がしてきた。


『それを知りたければ、先ずはその受容体を育て、思念波の扱いに慣れることだ。思念波を感知出来なければ説明してもわからぬ』


 ふんと鼻を鳴らす音がした。


『思念波はそれ自体が波動だ。波の力が強ければ強いほど波は大きくなる。その大きな波は力にもなるということだ』


 話を聞きながら考え込んでいたしーちゃんが、にやりと笑った。


「んじゃ、私らが協力するかわりにあなた達もその思念波っていうのを使って助けてって、言ったら?」


 しーちゃん、すごい。頭いい!

 尊敬して見ると、どや顔ではなく二人を疑わしそうな目つきで見ている。なんで?

 慌てて二人に目を戻すと、表情が変わっていない。


『それは断る』


 とにべもなく言い切られた。


『そなたらの他にも協力者は既にいる。我らへの支援はその者達からも得られる。そなたらの地だけを優先するほどの益が我らにはない。我らに必要なのは、そなたらの集める思念波の詰まった受容体のみ。……だが、我らが必要とする力以上にそなたらが集めて使う分には、手を出さぬ』


 しーちゃんがじっと自分の握りしめたままの手を見て、その手をくいくいと動かしながら言った。


「つまり、この受容体には思念波っていうものを貯めることが出来て、その貯まった思念波を力として使うことが出来る。合ってる?」

『そうだ』

「そしてあなた達はその力を集めたい」

『そうだ』

「何のために?」


 はっと気づく。そう、この人達はなぜ私達に集めさせるの?


『我らには我らの目的がある。その力が必要だから集めている。だがそれはこの世界に災いをもたらすためではない。そこは誓ってもよい』


 しーちゃんが顎に拳を当てながら、また考え込んでいる。

 私も考える。でも、話のスケールが大きすぎて一人では考えがまとまらない。助けて、しーちゃん! しーちゃんの手をぎゅっと握った。すると、私の不安な気持ちが二つに分かれて、大きな塊が受容体に、それとは別に小さな波が私の手からしーちゃんに流れていくのがわかった。すっと不安だった気持ちが落ち着いていく。

 

 しーちゃんの手がぴくりと動いた。そして今度はしーちゃんから何かが微かに伝わってくる。心がちょっと温かくなる。


『大丈夫。私がついてる』


 そう言っているような気がした。顔を上げて見ると、力強く頷いてくれる。そうだ、私にはしーちゃんがいる。怖い気持ちがなくなったわけじゃないけど、一緒なら何とかなりそうな気がする。頑張れる。

 もう一度二人を見た。何も変わらずこちらを見ている。ふとレイアーナが私達の重なった手を見たような気がした。


 二人が何も言わない今のうちに考えを整理しよう。

 私達がもらったこの受容体は、私達が出している思念波というものを吸収して、外側の石を成長させる。その吸収した思念波を力として使えるってことだよね? あの二人もその力を使って何かしたいことがあるんだろう。その手伝いをするかわりに、集めた思念波の残りを使って災害を止めろ、ってことだよね? でも、自然の力って大きいよね? そんなの止められるの? 

 だけど、止められないと大地震か大噴火が起こって私達死んじゃうってこと?

 だめだ、スケールが大きすぎて考えがまとまらない。

 どうしよう。どうしたらいい?

レイアーナ達が思念波についてどこまで話すか、悩みながら書きました。駆け引きを書くのって、難しいですね。

しーちゃん、たくましすぎます。

でも、彼女がいると話がすすむので、助かります。

明日も8時投稿予定です。


ブクマ、感想、いいね、⭐お待ちしています。まりんあくあのやる気につながります。


それでは、またお会いしましょう。

皆様に、風の守りが共にあらんことをお祈りいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 思念波はとっても斬新な設定ですね! それにしても、大災害を予言するとはすごいことです。やっぱりシュリーアは笑顔で怖いことを言うタイプですね……:;(∩´﹏`∩);: そしてしーちゃんがすご…
[良い点] 大人なら胡散臭すぎて、協力しないと思うので、前向きかつ素直に思念体二人の話を聞いているのは子供だからというのもあるのでしょうかね。無視していいんじゃない?って思わせながらも話が進んでいく感…
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