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序章2話 「頼りになる人」

登場人物の名前はもう少ししたら出ると思います…!


2/7 追記 全然少しではありませんでした……


「記憶喪失ですか?」



 やけにあっけらかんと答える少女

 記憶喪失などもはや重大なことではないのかもしれない、そんな風に思えるほど軽い返事をした後にこう言葉を続けた。



「安心してください!いや、安心はできないかもしれないんですけどね?」



 そう飄々《ひょうひょう》と言ってのける少女は、どこか嬉しそうだった。



「あなたが住んでいた村なんですが、分かると思います!」



 そんなこんなで一件落着――――



―—―――――――――――――



 ――――するわけがなく。



「誰だ?この青年は」



 白髪でオールバックの大柄な老人は少女と青年を交互に見比べそう告げる。



「やだな~村長さん、この人も記憶喪失らしいんですよ。どうせまたおたくの村の人でしょう?」



 村長と呼ばれた老人は困り顔で唸りはじめ、しばらくして結論を出す。



「悪いがその顔には微塵も見覚えがない。そうそうないと思うが別件じゃないのか?」


「え……え~?まさかそんな偶然あると思います~?歳で忘れっぽくなっちゃいましたか~?」



 煽りながら村長を指でつつき始める少女。先ほどまでの余裕があって頼れる女性、という像が崩れ始める音がした。



「疑うなら他の村民にも聞いて回ってこい。あと自信がないなら無理しないほうがいいぞ」


「自信がないなんてそんな、もうありありですよ。自信に満ちすぎて困っちゃうぐらいで」


「虚勢を張るのはよせ、口を動かすより先に冷や汗を拭いたほうがいいぞ」



 そう言われて見た少女の顔は尋常じゃないほどに目が泳いでいて、なおかつ冷や汗が止まらない様子。まさに焦りの代名詞のような存在と化していた。

 ここまで世話になった少女に恥をかかせるわけにもいかず見て見ぬふりを続けるという選択肢を選んだ青年をだれが責められようか。



「青年、本当に何も覚えていないのか?」



 見て見ぬふりを続ける青年に村長が会話の矛先を向ける。



「何もというわけではない……のですが」


「なんだ、何か覚えているなら話してみろ」


「あてにならないと思いますが、実は―—――」



少女とは打って変わって、頼れる大人の雰囲気を醸し出す村長は青年の話を聞き……



「私を探してくれ、だと?」


「はい。その女性の声以外は何も」


「そうは言ってもなぁ……。そいつの声以外は何も分からないんだろ?」


「それに、それって夢の中の話で終わり、かもしれないんですよね。あまり考えすぎるのも……」



 話を聞いていた少女が口をはさむ。

 そう、今話したのは少女に目を覚ましてもらう前まで見ていた世界の話。二人からしてみれば夢の世界の話でしかないのだ。

 記憶に関しての情報は何も得られず、暗い空気が立ち込める。


 そんな状況は、村長宅の扉が勢い良く開かれることで破られた。



「村長!記憶喪失の人が見つかったんだって!?誰だ!どいつだ!?」



 飛び込んできたのは無精ひげを蓄えた赤黒い髪で整った顔立ちをした男性。彼はいまにも村長につかみかかりそうな勢いで声を荒げる。

 そんな男性の様子に慣れているのか、村長は渋々と青年を指さした。

 青年と少女の姿を視界に収めた男性は何かを察して、緊張の糸が切れたようにその場に膝をついた。



「そうか……また違うんだな……」



 そう呟いた男性は「すまなかった」と3人に声をかけ、家を出ていく。

 なにもかもが分からない状況の中、何度も話に出ている、自分の他の記憶喪失者についての質問をするのはある意味当然の流れだろう。



「……この村には、俺以外の記憶喪失者もいるんですか?」


「いいや、誰もいない……と、思うんだがな……」


「どういうことですか?」



 村長の煮え切らない返事にとっさに言葉が出てしまう青年。

 すると村長が言い辛そうに口を紡ぐのを確認したかのように、少女が話し始めた。



「うわさなの」


「うわさ?」


「そう、もしかしたらこの村の人たちは全員そろって誰かを忘れて(・・・・・・)いるんじゃないかってね」

まだ本編に掠ってすらいませんが、根気で持っていきます!

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