異世界召喚は突然に
一話 異世界召喚は突然に
「ふわぁぁ…」
1人の青年が怠そうにあくびをしながら教室のドアを開ける。
「どうした怠惰? そんなでっかいあくびして、夜更かしでもしたのか? 睡眠はちゃんと取れよ。」
1人の屈強な青年が怠惰を心配しているが、彼の怠惰と言う名前のせいかバカにしているようにしか聞こえない。
「ん、う〜ん。ごめん。最近あまり寝れなくて〜。」
「リラックス効果のある歌を聞くとかしてみればいいんじゃないか?」
「う〜ん。試してみるよ〜。ありがとう。 康太。」
「おう。健康に関する事なら俺に任せろ!」
「う〜ん」
「ねぇ〜康太あれ何?」
「あれか、あれはだなー、その、そうだ! 魔法陣! あれは魔法陣って言うんだ。……って魔法陣!?」
「康太、なんかすごい驚いてる〜。そんなに凄いの? その摩尼宝殿? だっけ?」
「何だそれ? 四文字しかあってないじゃないか! あれ? 四文字もあってるのか。ってそうじゃない摩尼宝殿って何だ?」
「摩尼宝殿とは仏教用語で、伝説上の宝玉「摩尼宝珠」で飾られた宮殿の事です。」
「そうか。って誰だよ!」
「田中です。」
「そうか。って本当に誰だよ!」
「田中です。」
「田中くんならこのクラスにずっといたよ〜。今日の康太〜なんかへん〜。」
「本当か。なんかごめん……ってそんな事いってる場合じゃない! ほら、そこに魔法陣があるじゃないか!」
康太が指さした。
康太の指さした物を見てクラスはざわめき出した。
「ね、ねぇ、あれ何?」
「なんだあれは?」
「もしかして、魔法陣!?」
「えっ、魔法陣!?」
「嘘でしょ!?」
「ねぇ、ドア開かない!」
「どうなるの私達?」
「そんなの知らないよ!」
みんなの事を落ち着かせようと考えた康太は口を開いた。
「みんな、ひとまず落ち着け。」
「「「「「落ち着けるか!!!」」」」」
「ご、ごめん。」
「おい、なんか光ってるぞ!」
「私達本当にどうなるの?!」
康太は再び口を開いた。
「みんな、何が来るかわからない。身構えるんだ!」
「「「「「うるさい!!!」」」」」
「ご、ごめん。……………でも正論のはずなんだけど………」
康太が独り言を言っている間にも魔法陣は光を増していく。
そして遂に魔法陣は教室を光で覆い尽くした。
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