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月ノ心ニ音、累ナル。  作者: ココツキプロジェクト
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第1話前編.クローバーに約束を - 4

 つきねの髪を整え終えた後、ここねはつきねと一緒に家を出て通学路を歩く。

 校庭に植えられた桜の花びらが道端に数枚か落ちている。学校までもう少しだ。

 ここねが今まで何百回と通ったこの道。これからもこの通りを使うことはあるだろう。だが、中学校まで行くことはほとんどないはずだ。

「つきねと中学行くのも最後なんだよねー」

「うん……これからつきね独りで学校行くんだなぁ……」

 つきねがボソッと呟いた。

「あ、ごめんね。また変なこと言って……」

 入学して以来ほぼ毎日一緒に通っていたから、つきねがそう思うのは仕方ない気がする。

 音咲高校に行くのはすごく楽しみだけれど、妹と同じ気持ちになった。

「そんなに学校に行くのが不安なら、家を出る時にぎゅ~~っておねーちゃんパワーを充電してあげよう!」

「それ、おねーちゃんがつきねとハグしたいだけだよね?」

「私もつきね欠乏症を予防できて、まさにウィンウィンの関係!」

「ウィンウィン……かなぁ? あ。見て、校門のところ。看板立ってるね」

 美癸恋中学校という銘板の隣には、『卒業式』と書かれた白い看板が立っている。紙で作られた紅白の花で飾られていた。そんな看板を目の当たりにすると、改めて卒業を意識させられてしまう。

「そう言えば私、おねーちゃんの入学式の時、校門まで一緒に来た気がする。どうしてだっけ?」

「お姉ちゃんについてくー! ってつきねがダダこねたからじゃない?」

「あ! 思い出した。おねーちゃんがすごく緊張してたからついていったんだよ」

「そうだったかな~? 覚えてないな~?」

 そうとぼけながら、しかしここねも覚えていた。姉がガチガチに緊張していることを心配したつきねが、両親と一緒についてきてくれたのだ。

 その時のつきねはランドセルを背負っていて、だいぶ背が小さかった。

 しかし今、隣を歩くつきねは、ここねと同じくらいの背丈だ。まだかろうじてここねは、背の高さを追い越されていない。なんとか姉の威厳は保てているはずだと思う。

「それじゃあ、おねーちゃん卒業式頑張ってね」

「頑張るほどじゃないけどねー」

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