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第一章 八話 大人の義務

「おっと?」


 目を覚まして、朝食を摂るべく食堂へ降りると、思わず訝しんだ声を出してしまった。

 その原因は食堂の光景だ。

 この屋敷には俺とアリス二人だけのはずなのにだ。

 ちょこんと控え目に椅子に座す、アリスではない人影に驚いてしまったのだ。

 

 彼女は誰?

 

 そんな疑問が頭をよぎるも何拍か遅れて、ああ、そうか、と、自ら答えに至る。

 彼女は昨日から、この屋敷で預かることになった孤児の少女であった。そうであった。

 まだ目覚めてそう時間をおいていないためか。

 どうにも頭の働きが弱いようだ。


 まだ活発ではない頭を必死に回して思い出す。

 彼女の名前を。

 たしか――


「や、おはよう。アンジェリカ」


 俺の言葉は、予期せぬものだったのか。

 突然の声に、少女、アンジェリカは驚きびくりと体を震わせ、こちらに顔を向ける。


「あ……おはようございます」


 おずおずとした所作と声色で、彼女もまた、朝の挨拶。


「早いね。まだ寝ていても良かったのに」


「えっと……その……よく眠れなくて」


 彼女の顔をじっと見る。

 年相応に幼い印象を抱かせる顔立ちだ。


 けれども年齢不相応な部分もある。

 それが彼女の若葉色の目の下にあった。

 不健康に青黒く腫れた隈がある。


 先の言葉通り、彼女はよく眠れていないのだろう。


「まあ、慣れない場所に来たばかりだしね。緊張して眠れないのも無理もない。でも、よく寝ないと駄目だ。さもないと」


「さもないと?」


「……君もこうなる。寝ないと、こんな感じでチビになる」


 自虐的な笑みを貼り付けて、親指で自らを指す。

 俺は背が低い。


 なんとかアリスをはじめとする、世の女性達よりは少し背が高いものの、やはり成人男性として見れば明らかなチビだ。

 分隊時代、非番の時にみんなでパブへ出陣したはいいが、少年兵と見なされ、俺だけ酒が出されなかったことも、一度や二度ではない。


 背が伸びなかった原因はわかっている。

 育ち盛りだった十代はじめから半ばを、戦場で過ごしてしまったことが原因だ。


 夜中も敵襲に気を張り、深い眠りを得る機会が少なかったばかりか、撤退のために夜通し歩いたこともままあった。

 戦況が悪くなれば、食料も途絶えがちになったこともあった。


 不安定な食事事情。そして質の悪い睡眠。

 思い返せば思い返すほど、俺の少年時代は、きちんと成長できる要素が見当たらなかった。


「……ははは」


 どうにも、俺の自虐ネタはあまり好みではなかったようだ。

 乾いた笑いを、あるいは誤魔化すような笑いを、アンジェリカは漏らす。

 

 む……困ったな。結構自信のあったネタなんだけど。

 なんだか緊張しているように見える、彼女をほぐすには最適だと思ったのだけど。


「お二人とも。おはようございます。朝食が出来ました」


 さて、どうしようかと悩んでいたところに、本当にいいタイミングでアリスがやってくる。朝食をワゴンに乗せながら。


「あ、私。手伝います」


 アリスが来るや否や、そそくさと彼女に近寄るアンジェリカ。

 アリスもアリスで、手伝おうとするアンジェリカを拒まない。

 それどころか、静かに、優しく何処に食器を置くべきかを教えている。


 何かしら動いていた方が、気まずさは紛れるはず。

 アンジェリカの手伝いを認めているのは、そんな配慮からだろう。

 本当にアリスはこういう気遣いが上手だ。


 二人の女の子がテーブルに次々と食事を並べていく。

 こうしてみると、まるで姉妹みたいだ。

 微笑ましい光景、と言ってもいい。

 

 だからこそ、いたたまれない気分になる。

 アンジェリカもこの時代に生きる者らしく、やはり、戦争によってこれまで人生を翻弄されてきたことに。


 クロードから彼女を預かるよう頼まれた時のことを思い出す。


 ◇◇◇


「孤児ぃ?」


 孤児を預かってくれ――


 その要求に少しだけ大きな声量で、思わず聞き返してしまった。

 予想外のこと、と言ってもいい。


 正直、孤児院の真似事とクロードが口にした時点で、そう要求したいのだろうな、とは思っていた。

 が、同時に、まさか流罪になった身に、子供を預けるなんて真似はしないだろうとも思っていたのだ。


 だからそのまさかがやってきて驚いてしまった。


「なんだ、不服か?」


 俺の反応が意外なものであったらしい。

 クロードが大きく目を見開いてそう言う。

 多分、二つ返事で受け入れてくれると期待していたのだろう。


「いや、不服ってわけではない。屋敷も二人で住むには広いしね。部屋も余ってるから問題ない。ただ」


「ただ?」


「なんでここで、子供を引き取ろうとしているのか。その理由をまだ聞いてない」


 二人ではいささかこの屋敷は広くて、時折もの寂しさを感じてしまう時がある。

 いくらアリスと一緒で退屈しないとは言え、がらんとした空き部屋を見るのは、ちょっとしたセンチメンタルに駆られてしまうものだ。


 だから、同居人が増えることは反対はしない。

 でも流石にどういった経緯で、預かって欲しいと思ったのか、それを教えてもらいたいところだ。


「確かに。なら、事の発端から、じっくりと……」


「いや、簡潔に頼む。いくら暇を愛せるようになったとは言え、あんたの長話に付き合うのはまだ無理だ」


 やはり独演会をするつもりだったのか。

 よし来た、と存分に話し倒そうとしていた元隊長に釘を刺す。


 彼の話が長くなる時はもったいぶった上、無駄に言葉を装飾する悪癖もあって、話の密度がスカスカで聞くに苦痛なのだ。

 だから、簡潔に説明しろと要求するに限る。


「……簡潔に言うなら、だ。殿下による、お前を救済するための、一つの手立てだ」


「救済? 俺の?」


「ああ、そうだ」


 機先を制され、ちょっと不機嫌になったクロードの言葉は意外なものだった。


 俺を救うために、孤児をここに寄越す――


 いまいち、彼の言っていることがわからなかった。

 これが、やってくる子の救済、と言うならわかる。

 緑の自然にゆったりと流れる時間。

 戦争で大なり小なり傷付いた心を癒やすのに、これ以上にないくらいの環境が、ここには整っているからだ。


 が、そうした子供を救済することが俺の救済になる、というのは、どういうわけだろうか。

 いや、自利利他なる、宗教的な観点を持ち出せば、まあ確かに俺の救済になるのだろうけど。

 

「まずは、ここで孤児を育て上げた実績を作っちまうんだ。そうすりゃ、ここが孤児院として社会は認めざるを得なくなる。お前は孤児院の院長として、社会復帰出来るって寸法よ」


 得心せず、という顔を読み取ってか。

 クロードは如何にして、子供を預かることで、俺が救われるか、先の要求通り、彼にしては簡潔な言葉で述べる。


 先に既成事実を作ってしまって、追認させよう。

 しかも、その事実とやらは、社会貢献活動だから、まず、突っぱねられることはないだろう。

 彼の言わんとしていることはこれだ。


 けれども、その目論見はいささか――いや、随分と。


「いくら何でもそりゃ、楽観的なんじゃないのか? そうそうなことじゃ、一種の極刑が撤回されるとは思えないけど」


 今の社会ではそうではなくなったが、かつての流罪は公が手を下さない死刑、と換言出来る代物だった。

 公権を剥奪し、法の保護下から罪人を追放させるからだ。

 法によって守られていないから、流罪となった罪人を殺しても罪に問われないし、あまつ財産を奪っても、裁かれることはない。

 だから大昔は、流罪となった者が護送中に、何者かに襲われて殺害されてしまう事件が、怖いくらいに頻発していたのだ。


 今では流罪となった者でも、一応は法の保護下にある。

 かつてよりは流罪は重い刑になってはいないけれど、それはあくまで過去との比較論。


 いくつかの自由と、公権の一部を剥奪する刑であるから、やはり未だにかなり重い刑なのは間違いない。

 そんな重い刑をあっさりと撤回はしないだろう。


 撤回することはつまり、だ。

 それは、重刑をよく調べもせずに下しました。あれは私たちの過失でした。と、世にアピールするようなものだから。

 

「それがそうでもない」


 しかし、自信たっぷりにクロードは言う。

 きっと、思惑通りになるだろうと言う。


 彼は慎重な性格で、楽観とはほど遠い。

 そんな彼が、半ば断言しているということは、とてもかたい根拠を持っているからに違いない。


「ウィリアム。今の王国が直面している人口問題って知ってるか?」


「戦争のおかげの女余り。既婚率の低下。それに伴う、新生児の減少。孤児の激増。ひいては、将来の労働力確保が困難ってやつ?」


「そう。それだ」


 クロードは人差し指と中指で、ぴっと俺を指す。

 それはきっと、正解、のジェスチャー。


「子供は未来へ重要な資源だ。将来の労働力だ。だから戦後政策で、まず真っ先に私設孤児院開設を奨励したのは知ってるな?」


「ああ。設立者には奨励金と、特別年金を支給するって話か。確か、終戦宣言と同時に施政したやつだよな」


「そうだ。その甲斐あってか、今や次々と新しい孤児院が建つご時世。受け皿が増えることは、本来、歓迎すべきなんだが……」


 一度彼はそこで言いよどむ。


「なんだが?」


「孤児院を隠れ蓑に、労働者として子供を売って、一儲けする輩も増えてきている」


「それは……なんとも」


 現在の社会は戦後復興が急務で、より多くの労働力を欲している。

 斡旋業者には人材を求める声が、雨のように降り注いでいるという話だ。


 本来であれば、それは嬉しい悲鳴だろう。

 が、只今は人類の総数を激減させた大戦争の後なのだ。

 能力は二の次で、ただただ働ける者であればいい。

 そんな要望に答えられる労働者を探すことさえ、難しくなってしまっているらしい。


 真面目な業者なら、それでもめげずに必死に労働者を探すのであろうが、ずる賢い連中は気付いてしまったのだ。


 そうだ。巷に満ちあふれている孤児がいるではないかと。


 しかも孤児を集めるのに最適な施設、つまりは孤児院を作れば、国から金が出ると言うではないか。

 子供を売りつつ、国からも金を頂戴出来るのであれば。

 これはもう、自らで孤児院を作らない理由がない。

 例え子供の労働が法で禁じられようとも、こんなにボロい話はないのだから。


 これが子供の労働が当たり前だった五十年前なら、まだわかる。

 が、人々の考え方が変わって、今や法で禁ずる世なのだ。

 復興のための必要悪、と言われようとも、俺には到底受け入れることが出来なかった。


 幸いなことに未だ軍属で、かつ殿下に仕えている身のクロードも憂いが含んだ表情を浮かべている。

 軍属の彼がそんな顔を浮かべているということは、国としては、それを苦々しいものとして捉えているようだ。


「それでなくとも、孤児院は虐待が蔓延りがち。虐待の告発も、著しく増加傾向にある。お陰で、社会の孤児院のイメージが、地の底を打つようになってしまった」


「まだ一年しか経ってないのにそれか。相当酷い連中ばかりが、孤児院を開いているんだな」


「だから、お歴々も必死さ。現状あの政策が、空回りしている。しかも大空振りときたもんだ。どうにかして軌道修正しようとしている最中よ」


「……なるほど。つまり彼らは"正しい孤児院"を欲してるってわけね。失政じゃないことをアピールするために。他の孤児院の模範となるような、つまりはモデルが欲しいんだな」


「そういうこと。そしてここが、模範となるべき場所となれば、だ。政治的な妥協が期待出来る。ほら、楽観的と言うには、可能性に満ちていると思えないか?」


 どうやらこれが彼の思う、かたい根拠のようだった。

 失政を挽回したいと思っているタイミングで、本来、お偉いさんが望んだ姿のそれを示してやる。

 政策の成功例を提供する見返りに、最悪でも減刑を引き出す。

 それが殿下の狙わんとすること。


 でも、それは。


「……あまり気が進みませんね。なんだか、子供を利用しているようで」


 アリスの言葉は俺の気持ちの代弁でもあった。

 静かに俺も頷く。


「それを言われちゃ、否定は出来ん。だがな。それでも子供は救われるんだ。それも否定出来ないことを、忘れないでくれ」


 言ったことは一種の偽善であると、きっとクロードは気付いているに違いない。

 それでもなお、と彼の目は語っていた。


 それでもなお。

 それが偽善であろうと。

 それは善であることは違いない。

 善行なればやったところで、誰も損は被ることはあるまい、と。


 確かに言う通りだ。

 形はどうであれ、それは善行に違いない。


 だから子供を利用することの、後味の悪さをなんとか飲み込みながら、俺はクロードの言葉に小さく頷いた。


「……ここに来る子はどんな子なんだ?」


「やってくれるか」


「まあね。思うところはあるけど、これは人助けには違いないだろうから。やった方が確かにいい。例え殿下の目論見通りにならなくても、一人の子が救えるならね」


 いいね? とアリスに目を向ける。

 彼女も同意見だったのか。

 表情に、子供を利用していることに対する苦味は現れてはいるけれど。

 でも、しっかりと首肯した。


「すまないな。実は今、写真を持ってきている。女の子だ。将来美人になりそうな、可愛い子だぞ」


 クロードは懐から一通の封筒を取り出しては、そっと机に置く。

 手に取って中を見る。


 セピアの画面でも十分に艶やかさの伝わる、綺麗な直毛の持ち主が、そこに写っていた。


「この子だ。名前はアンジェリカ・ジェファーソン。十一歳」


「いい写真じゃないか。上流階級の出か?」


 写真が世に浸透し始めて、徐々に中産家庭でも手が出せる写真館が増えてきたとはいえだ。

 それでも腕のいい写真師に依頼すると、信じられない位に高額な値を請求されるだけあって、いい写真というのは未だ上流階級のものだ。


 アンジェリカの写真は間違いなく腕のいい写真師のもの。

 彼女の着込んでいるドレスも上物であることが伺えるし、ヘアメイクの出来だっていい。

 背景に写る家具や、彼女が腰掛けた椅子も質がいい。


 写真を構成する要素、一つ一つ読み解けば、そのいずれもが彼女が上流の生まれであると仄めかすもの。 


 しかし、現実は違った。


「いや、そうじゃない。小さな村の出だ。普通の村娘」


「うん? それにしちゃあ、この写真は……」


「親を亡くした後、何があったかは知らんが、村を出たらしくてな。そしたら運悪く娼館に拾われてしまったんだ。助け出されたのは、客取らされる直前だった。そいつはカタログに使う予定だった写真さ。だから金がかかってて、そんな出来ってわけ」


「しょっ……!」


 思いも寄らなかった言葉に絶句する。

 それはアリスも一緒で、両手を口元に当てて、驚きによりぽかんと開いた唇をどうにか隠そうとしていた。


「……まだ、十一歳ですよ?」


 アリスがクロードにそう問いかける。

 未だ驚きを引きずっている様子で。


「そういう趣味の輩も居るからな。しかも大体がご立派なご身分で、金払いがいい。だから、表立っては言えないが、そういう子を置いていて、こっそり客を取らせている場所も少なくないんだよ」


「……ろくでもない。人売りに、労働に、挙げ句には望まぬ売春か。まともに育つ子供は、減ってしまったのか」


「ああ、そうさ。減っちまったよ。戦争のせいで。俺達大人がふがいないせいで」


 暗澹たる気持ちで呟けば、自嘲気味な声色でクロードが答える。

 

 そうだ。

 彼の言う通りだ。


 子供たちが育つのに、こんな過酷な環境を生み出してしまったのは、間違いなく俺たち大人の責任だ。

 早く戦争を終わらせることが出来なかった、もっと綺麗な形で勝てなかった、大人の責任だ。


「だから、俺達大人が増やしてやる義務があるんだよ。子供がまともに育つ環境をな」


 だから、とクロードは続けた。

 真っ直ぐに俺を見ながら。


 だからこそ、その原因を作ってしまった俺達には義務が生じる。

 少なくとも現状を改善する義務を。

 子供達がこんな過酷な目に遭わない世の、その下地を作る義務を。


 彼の目はそう語っていた。


「違いない」


 クロードと同じく、彼を真っ直ぐに見てそう言う。

 心の底からそう思った。


 この写真の少女を受け入れることで、その責任が少しでも果たせるなら。


 俺にはこの提案を拒む理由なんて最早なかった。


 ◇◇◇


「あっ」


 近い過去を回想しながら、配膳を手伝ったためか。

 俺はクロッシュをうっかり手から滑らしてしまった。


 当然クロッシュは重力に従って落下。

 一度、二度と床にて跳ねる。

 けたたましい音を生みながら。


 こんな音を唐突に生んでしまったのだ。

 当然二人を驚かせてしまっただろう。

 謝るべく、アリスとアンジェリカに目を向けると。


「ひっ」


 音を立てて椅子を押し倒しながら、尻餅をつくアンジェリカの姿があった。

 そこまで驚かせてしまったか。


 なお罪悪感強めるも、しかし、彼女の姿を見て違和感を覚えざるを得なかった。


 妙だと思ったのは彼女の顔。

 目一杯引きつらせて、恐怖を露わにしていた。

 そう。驚き、ではなく恐怖、である。


 これはおかしい、と直感的に思う。

 なによりも、あの顔には見覚えがあったから。 


 一拍おいて、音の源が、クロッシュであったことを知ったか、ほうと彼女は安堵の一息。


「あっ……ご、ごめんなさい」


 なんとか平静を取り戻し、立ち上がって俺に頭を下げた。


「ううん。俺の方こそごめん。驚かせちゃって」


 原因を作ったのは俺だ。

 だから俺も深々と頭を下げる。


 しかし内心では未だに奇妙だと思い続けた。

 アリスをちらと見れば、俺と同様の心持ちなのか。

 いまいちすっきりしない顔をしていた。


 その原因は音を聞いた直後の彼女の顔にあった。

 あの顔は激烈な初陣を生き残り、辺りの環境の変化に過敏になってしまった新兵が見せる、特有の顔だった。

 些細な変化を逃さず、すぐさま次の行動に移れるように、適応してしまった、臆病な人間が見せるものであった。


 それはつまり彼女が、従軍に匹敵する恐怖体験をすでに経験してしまっているということ。


 そんなこと、クロードから何一つとて聞いていない。


(何故、彼女があの顔を)


 その理由は、いくら想像してもわからない。


 でも、一つ言えることは。

 

(きな臭い)


 どうにもこの一連の善行に、ほんのりきな臭さが漂っていることであった。

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