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第2章 3年目の真実-2
さすがの母さんもこんな現実離れした話は絵空事だと言って信じてくれないだろうと思っていた。だが、意外にも母さんは素直にその話を受け入れてくれた。というよりは、予測していたといった方が正しいのかもしれない。なぜなら、母さんは戦慄した後にどこか納得したような表情を浮かべていたからだ。
『母さん、訊いてもいい?』
「何を?」
今まで怖くて触れることを避けていた疑問。
大袈裟かもしれないけど、僕は人生の岐路に立たされていた。
真実を知ろうとせず何かに怯える上っ面だけの幸せを選ぶか、すべてを知って克服した上での幸せを選ぶか、を。
答えはもう決まっている。
僕は知らなきゃきけないんだ。
すべてを。
『自殺未遂した僕を発見した人とその時の状況』
母さんは切れ長な目を瞬かせた。
「てっきり父親のこと訊いてくるのかと思った」
『今更父さんのこと訊いたってしょうがないだろう』
「あ、やっぱり」
母さんは肩をすくめると、躊躇することなく口を開いた。