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第6章 約束-2


 何もない真っ白な空間に僕と勇さんは立ち尽くしていた。これって、精神の世界ってやつなのかな?

 眼前では長い毛を持った犬のような動物が尻尾を咥えて唸っていた。

 《渾沌》だ。

 僕と《渾沌》の体は頑丈な鎖で繋がれていた。その鎖がまるで錆びた鉄のように粉々に砕け散っていく。

 新たな鎖が勇さんと《渾沌》を繋ぐため構築されていく。

 これが再封印?

「また宿主が変わるか?」

 低くくぐもった声が聞こえてきた。

 《渾沌》がしゃべった?

 まさか人語がしゃべれるとは思ってもみなかった。インターネットで検索したら、目はあるけど見えていない、耳はあるけど聞こえないって書いてあったからてっきりしゃべれないと思っていた。

 いや、精神の世界だから何でもありなのかもしれない。ここでなら僕だってしゃべることができるかもしれないんだ。だけど、今はしゃべる言葉が見つからなかった。

 僕は固唾を飲んで、勇さんと《渾沌》の対峙を見ていた。

「そうだ。今度こそオレが貴様の宿主だ」

「そうか」

 《渾沌》がにやりと笑ったように見えた。

 僕は背筋に冷たいものを感じて思わず後ずさった。

 勇さんは主従関係をハッキリとさせるため、傲岸な態度を見せる。

 が。

 威風堂々、自信満々だった勇さんから余裕の笑みが消えた。

 勇さんと《渾沌》を繋ぐ鎖がいつまでたっても繋がらない。

 次の瞬間。

 勇さんの姿が消えた。

 そして、砕け散ったはずの鎖がまるで逆再生しているように元に戻っていき、僕と《渾沌》は再び鎖で繋がれた。




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