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5話


友香は管理栄養士になるのが夢だ。

昔から共働きの両親に変わって、よくご飯を作っていた。

妹達は『お姉ちゃんの料理は世界一』とよく褒めてくれていたので、自然とその道に進んでいた。



後、もう一つの理由。


"翔太に栄養のある料理を食べさせたい"


サッカー選手を夢見る彼を少しでも応援したかった。


バランスの取れた食事を作ってあげたい。


翔太はよく、友香の家にやってきて、ご飯を食べていた。


ーしかも食材をもってきて。


あれは、彼なりの優しさだったのだろう。


『おいしい』とは言ってくれないが、いつもおかわりをする。


それが、なぜか心地よくて…。







※※


「おい!もー、ねーのかよ。」


同居生活3日目の朝。

彼は味噌汁派だとかなんとかで、友香に作らせる。


「もうそんなに作ってないよ!」


ほら、と鍋の中身を見せる。

翔太は舌打ちをする。


「コンビニで何か買えばいいじゃない。」


「は?お前、未来のサッカー選手に向かってその口は何だ?栄養バランスが大事なんだよ。食費は俺が払うっていってんだろ?もっと作れよ!」


「仕方ないじゃない。お鍋小さいんだもの。これ以上作れない。」


「じゃー、大きいの買ってこいよ!」


「はあ?」



朝は大体喧嘩で始まる。


翔太は大学でもサッカーを続けているようだ。

高校時代、プロの話があったみたいだが、結局大学に入ったようだ。その辺は友香にもよくわからない。



学部はお互い別々だった。

翔太は「体育科」。友香は「管理栄養学科」。

共通科目が少し被るぐらいで、ほとんど授業は別々だ。


被った共通科目もおもいっきり離れた席に逃げたので、今のとこ、大学での2人の接点は、ない。




指定マンション仲間もできた。

植村花と、同居人の岡田俊明。実はこの2人高校からのカップルなんだとか。

なんでも、元々カップルの人同士が申請するのもOKらしい。


2人は将来を誓いあってる仲だそうで、羨ましいかぎりである。



「だけど、友香の同居人が、あの青木翔太とはねー。」


「しかも、幼馴染!すごいね。」


2人は今だに、青木翔太を絶賛する。最初話した時は、サインくれだの大騒ぎだった。


「そうでもないよ。あいつ、私に命令してばっかだもん。今日もこれからお鍋買いに行かなきゃ。」


「鍋?なんでまた?」


「あいつ、大食いなのよ。今、持っている鍋の量じゃ、あいつが全部食べてしまうの。文句言ったら、買いにいけって!泣」



2人は同時に吹き出している。



「いやー、あの青木翔太がねー。」


「青木翔太って、氷王子って言われるぐらい、サッカーでも冷静さを常に失わず、それが、チームの勝ちにつながる。プライベートでは逆にその優しそうな笑顔から、女性のハートを鷲掴みにし、彼の周りには女性が絶えないとか。」


俊明が興奮ぎみに言う。


「…だから、友香の話聞いても、信じれないのよね。」


花と俊明はうなづく。


「女たらしなトコは合ってるわ。…あんな奴嫌いよ。」


「友香は青木翔太が好きなのかと思った。」


「だ、誰が、あんな奴!あいつのせいで、私は今も彼ができないのにッ!」


「え?なんで!詳しく話しなさい。」


友香は、今までのことをすべて話した。



ーー




「…なるほどねー。」


「あいつは、本当に最低の野郎なの。」


「でも、俺、友香ちゃん、美人だと思うけどなー。ま、花が1番美人だけど。」


「俊明の最後の方は無視していいから。…だけど、私も友香はモテると思うわ。」


「お世辞でも嬉しい。ありがとう。」


「お世辞じゃなくて!学科の男子達が友香の事騒いでるの聞いたもの。」


「そんな馬鹿な。私なんて、ガリガリのまな板のー。」


「それは、中学生の話でしょ!友香今、胸あるじゃない。そんだけあったら上等だわ!」


「そうだよ、友香ちゃん。男は皆胸ばっか見てるわけじゃない。」


「いや、俊明くんに言われたくは…。」


ちらっと花の大きな胸を見る。


「もー、仕方ないわね。そこまで自信ないなら、今日合コンしましょ!俊明、男子集めてくれる?」


「はい!まかせて、花ちゃん!」


「え?ちょ、待ってよ、夕飯作らなきゃ…。」


「何、青木翔太に遠慮してるのー。あっちだって子供じゃないんだから、なんとかするわよ。」


バシっと背中を叩かれる。


「…それもそーか。あんな奴、どーなったって。」





有沢友香、人生初の合コン行ってきます!!!



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