3話
マンション丸々大学が所有しているようだ。
5つある6階建てのマンションの一つの5階に友香は住むこととなった。
今日はルームメイトと始めて会う。
まだ相手が誰かわからない。
大学がランダムに決めるらしい。
(いい人だったらいいなー。友達になれるといいな。)
部屋は洋室2部屋、和室1部屋、リビングと広い空間となっている。
バルコニーから見える景色は最高だ。
街全体を見渡せるぐらい見渡しのいいものだった。
バルコニーでしばらく風景を眺めていると、鍵の開く音がした。
(あ、ルームメイトが来た!)
扉まで進む。
扉が開いた。
「……。」
人間はあまりに驚くと声がでないらしい。
「し、ししし、ししょうた!!」
「…なんだ、お前かよ。」
大声で叫ぶ友香とは対象的に、青木翔太はぶすっとした顔で中に入った。
「…え、な、なんで…。」
「なんでって、ここ、俺の家。」
「…だって、あんた男じゃ…。」
はぁ、と翔太はため息をついた。
「お前、ニュースとか見てないの?!国立大学の指定マンションは男女で同居するように決まっただろ?」
「…は?」
「政府がいろいろ援助してるんだよ。だからこんないいマンションが1万5000円なのさ!」
翔太は中を見渡し始めた。
「ま、俺は可愛い女の子と同居できるかもって下心をもって応募したんだけど。」
ニヤニヤと友香を見る。
身の危険を感じ、友香は後ずさった。
ふっと翔太は笑う。
「やっぱ、俺、ツイてないなー。お前がルームメイトかー。全然何も感じねー。やっぱ、お前は女じゃねーな。」
3年前の卒業式の悪夢が蘇る。
(こ、こいつと同居ーーッ!?)
有沢友香のEnjoy☆大学生活計画は初日から悪魔によって崩れ去る!