2話
有沢友香は、この春大学生だ。
家が裕福ではなく、できるだけ親には負担かけたくない。
まだ友香の下に、2人も妹がいるのだ。
なので、地元の国立を選んだ。
と言っても、家から通うのは距離があるので、大学指定アパートに住むことに決めた。
なんでもこの指定アパートは2人で3LDKを家賃1万5000円で提供してくれる。
友香にとっては、願ってもないチャンスだった。
競争率は多いものの、遠くの人や経済難の人から優先される。
以外にも友香は住めることになったのだ。
今まで、女子校で彼氏がいた経験はゼロ。
(大学。なんていい響きなの。)
大学で素敵な生活を夢見ている有沢友香、18歳。春。
でも、友香は知っていたのだろうか。
この年の4月から政府による大学改革を…。
※※※
「友香、お前って女じゃねえよな。」
「え?」
中学3年生の時、幼馴染の青木翔太に言われた。
当時の友香はベリーショート。
周りの女の子達は、女性らしい膨らみがあるのに、自分はぺちゃんこ。
ひ弱な少年…と言ったところ、か。
翔太はサッカーの才能が飛び抜けていた。
当然モテた。にもかかわらず、特定の彼女を作らなかった。
高校もサッカーの名門校に推薦で決まったらしい。
卒業式。
友香は、告白しようと翔太を呼び出した。
友香は母の母校の公立の女子校に決まっていた。
つまり、2人は高校が離れ離れ。
翔太は寮に入ると聞いたから、家が近くてもそう会えない。
どうしても、自分の気持ちを伝えたくて。
友香は一大決心をした。
「お前って女じゃないよな。」
呼び出したのは言いけど、中々用件を言わない友香に焦れたのか、翔太はそう言った。
「…え?」
「胸もねーし、こんなガリガリな体でさ。んま、高校でちったー女らしくなることだな。」
友香は目の前が真っ暗になった。
「おい、早く用件言えよ。」
「…忘れた。」
「…は?」
「翔太なんか……大嫌い!」
そのまま、後ろも振り返らず無我夢中で家に帰った。
苦い苦い記憶。
その後、女子校では女に囲まれたおかげで、女子力を随分磨けた。
なぜか、高校3年間、翔太を見ることはなかった。
新聞で、翔太の写真を見るぐらいだった。
翔太に言われた最後の言葉は、今でもシコリになっている。
女子力は磨いても、今ひとつ男性を嫌ってしまうのだった。
だが、大学生で自分を変えるのだ。
髪は柔らかいパーマをかけた。ほんのり茶色にカラーを入れ。
もう、今日から有沢友香は変わります!!