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幼馴染とただ今同居中!  作者: ゆずる
2章 夏キャンプ編
19/29

19話

「…あの…どちら様でしょうか…?」


友香は声をかけた5人の女性達にどこかの部屋に連れていかれた。


『話したいことがある』と女達に言われたが、友香は翔太を探したかった。断ったら、有無を言わさずにこの部屋に連れてこられた。

ー…辺りはダンボールの山だ。物置き部屋だろうか?


5人は皆、美女ばかりだった。


「単刀直入に言うわ。」

5人の内の一番きつい美人が声を発した。


「有沢友香さん。今晩、ルームメイト交換してくださらない?」


「…え?…それは、つまり…。」


「そう!私ね、青木翔太くんと今晩泊まりたいの。…ね、いいでしょう?」


きつめの美女は周りがうっとりするような微笑を浮かべる。


周りの女性達も、彼女に賛同するように友香ににっこりと微笑む。


ーどうやら彼女達は、翔太のファンのようだ。


…友香に選択肢は残されていないらしい。ぐるりと5人に取り囲まれる。


「…あの、嫌と言ったら…。」


「あら、どうして?」

不思議そうに美女は首をかしげる。有無を言わせない迫力があった。


友香の足は恐怖で震えており、立っているのがやっとだ。…それでも必死に目を美女に合わせる。


「わ、私は翔太が好きなんです。…だから、絶対に変わりたくありません!」

嘘でも、『部屋を変わる』なんて言いたくなかった。…やっと気持ちを伝える勇気を持ったのだ。


そう、と美女は甘いため息を吐いた。

「…変わっていただけないなら…。」

優雅に笑い、美女の瞳が細くなる。


「…あなたをこの部屋から…出してあげない。」


美女の微笑みは時として、人を震え上がらせる。










…気がつくと、友香はその部屋に1人でいた。

ーどれぐらい眠っていたのだろう?


…あの後、2人の女性に両腕を掴まれ、動きを封じられた。口を無理やり開けられ、粉を飲まされ…意識が遠くなった。


まだ体が痺れて思うように動けない。

扉まで這うように向かった。

扉のノブを持ち、手で回す…。

…ノブが回らなかった。


(…閉じ込められた!?)


鍵が掛かっているようだ。…彼女達がやったのだろう。


ドンドンと扉を叩く。

「だ、誰か、助けてッッ!!」

…外からの反応はない。



(…暑い。)

真夏であるのに、この部屋はクーラーがなかった。


電気を薄暗い照明が付いているだけで、部屋の中は見渡しが悪い。


こんな暑い中で、眠っていたのだ。汗がべっとりと服についている。


…一刻も早く出なければ、死んでしまいそうだ。


ポケットから携帯を取り出そうとして、ホテルの部屋に置き忘れたことに気づく。


必死で扉をたたいた。

…何度叩いても、扉が開く気配はない。


…だんだんと、扉を叩く力が弱くなる。


(…あ、暑い……。)


友香はずるずるとその場に倒れこんだ。

顔は真っ赤になり、呼吸を吸うのが苦しくなる。


(…し、翔太、…助…けて…。)


友香の意識はゆっくりと薄れていった。




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