11話
夏キャンプは島を貸切って行われた。
(強制)参加者は約250人にも上り、大変賑やかになりそうだ。
初日はルームメイトとホテルで寝る。
だが、2日目からは、自由。
※ただし(男1ー女1)のルールは守ること。
教授がメガホンで注意事項を読んでいる。
「ーでは、皆さん。くれぐれも事故のないように楽しんでください。」
いよいよ夏キャンプ、スタート!
※※※
一日目は夕飯のカレーを作り、今からフォークダンスが始まる。
翔太は来て早々、女性に囲まれていた。
ーー無理もない。あの青木翔太なのだから。
翔太は友香に接する時と違い、非常にファンサービス旺盛だ。
必然と友香は1人になる訳で。
(…これじゃー、明日は他の男の子と寝なくちゃいけなくなるかな。)
がっくり、と肩を落とすのだった。
曲が流れ始めると、近くの異性とペアになり、フォークダンスが始まった。
1曲が終わり、ふーと友香は息をはく。
(緊張した。)
女子校出身の友香にとって、異性とのフォークダンスは久しぶりだった。
「名前、何て言うの?」
最後に踊った人に、そう言われた。
「あ、管理栄養学科1年の有沢友香です。」
「友香ちゃんかー。俺は体育学科の2年、矢島学。せっかくだからお話しよー。」
「は、はい!!」
「翔太くん。」
俊明は翔太に話かけた。
「なんだよ。岡田。」
「あれ、見て。」
俊明が指差す方を見ると、友香が楽しそうに男と話していた。
「あれ、いーの?」
「べ、別にいーんじゃね?」
極力冷静な声を出す。
「翔太くん。明日はホテルの部屋割り変えれるんだよ。友香ちゃんがあの人と一晩泊まったら、あんなことや、こんなことに。」
翔太の眉がピクッと動く。
「友香は男苦手だから無理さ。」
「でも、この前、友香ちゃん夏キャンプで恋人作り頑張るって言ってたなー。」
翔太の眉がさらにピクッと動く。
「何が言いたいんだ。」
「べっつにー。ただの通りすがりの独り言でーす。」
俊明は手をひらひら振りながら、彼女の元へと帰っていった。
「あんた、翔太くんに何言いにいったの。」
花が興味深げに聞いた。
「俺、分かっちゃったんだよねー。」
「は?何が?」
(翔太くんが、友香にゾッコンなこと。)
「…ひみつ。」
男の感と言うものなのか、翔太が友香を見る目は家族を見る目なんかではない。
(あれは、恋する目だ。)
翔太は上手に隠している。だから、友香も花も気づかないのだろう。
だが、時折ふっと優しい目を友香にむける時がある。
このフォークダンス中でも翔太は常に友香を見ていた。
「何よ!ひみつって!教えなさいよー。」
「まー、まー。」
俊明は、影ながら翔太を応援することにした。
「花ちゃん。今夜は熱い夜にしよーね。」
耳元で甘い声をつぶやいた。
彼女は一気に顔が赤くなり、ばかっとはにかんだ。
吉田くんはどこ言ったんだ?
この夏キャンプが終わったらまた登場するかも!




