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第六話 鬼教官の名前は黒達教官

 翌朝。


 まだ朝霧の残る訓練場に、俺は一人呼び出されていた。


「……なんで俺だけなんだよ」


 昨日の“事故訓練”が原因なのは分かっている。

 だが、朝っぱらから補修クラスの人間を呼び出す必要はあるのだろうか。


「よう、来たか反動増男」


 振り向くと、そこに立っていたのは――


 いつも通り薄着のむさくるしい鬼教官だっただった。


 真冬でもタンクトップ。

 無駄に広い肩幅。

 そして無駄に熱そうな目。


 東嶺能力学園 実技担当教官。

 読者のみんな!名前をまだ紹介してなかったな

 彼の名は「黒達くろたつ」。黒達教官だ。


「おはようございます……」


「元気ないぞ! 朝は気合いだ!」


「まだ六時なんですけど」


「気合いだ!」


 会話が成立しない。


 黒達教官は腕を組み、ニヤッと笑った。


「昨日の“反動移動”。まだ体は憶えているか?」


「……はい」


「面白い能力だ」


 教官は、地面にラインを引いた。


「ここから俺に向かって全力で来い」


「え?」


「遠慮はいらん」


「いや、遠慮しないと危ないんですけど」


「大丈夫だ」


 黒達教官は胸をドンと叩いた。


「俺の能力を知ってるだろ?」


 ……いや知らない。


「知らないです」


「そうだったか!」


 教官は誇らしげに言った。


「俺の能力は――」


 一歩、前に出る。

「《胸囲停止チェストストップ》!」


「名前のクセが強い」


「乳〇で触れた相手の動きを止める能力だ!」


「どういう原理なんですかそれ」


「知らん!」


 自信満々に言い切った。

 黒達教官はさらに胸を叩く。


「つまりだ」


「はい」


「お前が全力で突っ込んできても――」


 ドン、と胸を張る。


「この胸で受け止めてやる!」


 やけにかっこよく決めた。

 だが俺は思った。


(いろんな意味で大丈夫か?)


 昨日、壁に当たっても結構痛かった。

 あれを人間で止めるって、普通に危ない気がする。


「遠慮しなくていいんですか?」


「むしろ来い!」


「?」


「いいから早く来い!」


「そんなせかさなくても……」


「来いと言っている!」


 ……しかたない。


 俺はゆっくり背中を向ける。


(後ろ向きに力を出す)


 深呼吸。


 拳を振る。


 ――ドン!


「おおおおおお!?」


 体が一気に加速する。

 昨日より速い。

 一直線に、黒達教官へ――


「来い増男ォォォ!!」


 次の瞬間。

 ドォン!!


 激突。


 だが――


 止まった。

「……おお?」


 俺の体は、黒達教官の胸に当たった瞬間、ピタリと止まっていた。

 教官はそのままニヤッと笑う。


「言っただろ」


 胸をドンと叩く。


「この胸で止めるってな!」

 ……なんか悔しいが。


 ちょっと、かっこよかった。

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