第7話:村の危機? チートで速攻解決だけど、俺の冒険熱は冷凍庫行きだ!
ギルドの朝、緊急クエストの張り紙で冒険者たちがざわつく。「魔王軍が近くの村を襲撃予定、阻止せよ」。カズマはギルドのベンチで干しブドウをつまみながら、セレナとメルルに囲まれてげっそり。
「カズマ! 村を救うんだ! ヒーローっぽくて燃えるよね!」 メルルが杖をブンブン振る。
「ヒーロー? どうせ俺のスキルで一瞬で片付くよ。冒険感、完全にオフライン…」
セレナが鎧をガチャガチャ鳴らして吠える。
「今回は私が魔王軍をぶった斬る! カズマ、チートは控えめに頼むぞ!」
「控えめったって、俺のスキル、いつもフルスロットルなんだけど…」
クエスト情報によると、魔王軍の襲撃部隊は魔獣と魔族兵の混成軍。村を焼き払う前に叩く必要がある。カズマ、ほんの一瞬「村を守るってRPGっぽいな」と期待するが、すぐ現実に戻る。
「いや、チートで秒殺だろ。俺の冒険魂、もう冷蔵庫の奥でカビ生えてる…」
村の外れ、夕暮れの麦畑。魔王軍の軍勢が地響きを立てて迫ってくる。巨大な魔獣が先頭に立ち、魔族兵が火炎魔法を準備中。村人たちはパニックで逃げ惑う。メルルが風魔法で牽制しようとするが、魔獣の咆哮で吹き飛ばされそうに。セレナが剣を構えるが、敵の数が多すぎる。
「おい、カズマ! 早く何かやれ!」 セレナが叫ぶ。
「はいはい、了解。スキル名:『天候支配クラウン』! 天気を操って敵を壊滅させる、シミュレーションゲーのチートコマンド!」
カズマが手を掲げると、黄金の王冠が頭上に浮かぶ。空が一瞬で暗転、雷雲が渦巻き、稲妻と暴風が魔王軍を直撃。魔獣は雷でバチバチ焦げ、魔族兵は風で吹き飛ばされる。5秒で戦場は静寂に。
「…終了。お前ら、活躍したかった? 悪いな、俺のチートが全部持ってった」
セレナ、剣を地面に突き刺してブチギレ。
「カズマ! 私の出番、ゼロじゃねえか! せめて一太刀くらい斬らせろ!」
メルルも帽子をグシャッと押さえて不満顔。
「カズマのスキル、かっこいいけど…なんか、こう、戦うドキドキがないよ!」
「それ、俺の心の叫びだよ! このチート、冒険のスパイス全部消しちまうんだ!」
村人たちが「救世主!」とカズマたちを取り囲む。感謝の嵐に、カズマは気まずそうに頭をかく。
「救世主って…俺、ただスキルボタン押しただけなんだけど。マジで作業ゲー感やばい…」
村の広場で、村長から報酬の金貨と食料を受け取る。メルルは村の子供たちに魔法を見せてキャッキャ。セレナは村の鍛冶屋と剣の話で盛り上がる。カズマだけ、ポツンと座ってぼやく。
「村救うって、RPGの王道なのに…なんで俺の心、こんな虚無なんだ? 女神、このクソバランス直せよ!」
その夜、村の酒場でカズマは考える。天候操作、確かに派手で最強。でも、敵との駆け引きも、ピンチのスリルもゼロ。仲間は楽しそうだけど、俺はただのチート装置だ。
そこへ、メルルがドカッと隣に座る。
「カズマ! 次のクエスト、魔王軍の補給基地破壊だって! 超熱いよ!」
「熱い? どうせ俺のスキルで一瞬だろ。冒険のドキドキ、どこに置いてきたんだ…」
セレナも酒杯を手にニヤッ。
「カズマ、今回は私が敵をぶちのめす! お前のチート、ちょっと貸せよ!」
「貸す? 俺のスキル、シェア機能ねえぞ! つか、俺も戦いたいけど、ステータスゴミすぎる…」
村人たちがカズマたちに感謝の歌を歌い出す。カズマ、ちょっとだけ思う。この仲間とのバカ騒ぎ、村人の笑顔…ちょっとだけ、RPGっぽい? いやいや、ダメだ! 俺のチートが全部ぶち壊すんだ!
「女神、マジで普通の冒険くれよ…。このままじゃ、俺、ただのチート自動販売機だぞ…」




