第2話:スキル作ったら仲間が増えたけど、俺の冒険感はどこだよ!
朝、冒険者ギルドの喧騒にカズマはげんなりしていた。昨日、ドラゴンを一撃で倒した噂が広まり、ギルド内は「チート新人のカズマ」話で持ちきりだ。カウンターに突っ伏しながら、カズマはぼやく。
「はぁ…注目されるの、超ダルい。俺、ただ静かにクエストこなしたいだけなのに…」
そこへ、ドカドカと足音を響かせ、炎の剣士セレナが登場。赤い鎧が朝日でギラギラしてる。
「カズマ! さっさとクエスト選べ! 私がお前を一流冒険者に鍛えてやる!」
「いや、鍛えるも何も、俺のスキルで全部解決するから必要ねえよ…」
セレナ、無視してクエストボードを指差す。
「これだ! 森の奥で暴れる魔獣退治! 新人にはキツいけど、お前のチートなら余裕だろ?」
カズマ、ため息をつきつつクエスト受注。魔獣って、昨日ドラゴン倒したのに今さら感しかない。
「これ、絶対作業ゲーになるパターンじゃん。冒険って、もっとこう、心躍るもんじゃなかったっけ?」
森の奥、霧が立ち込める薄暗い木々の間。カズマとセレナは魔獣の咆哮を聞きながら進む。セレナは剣を構え、気合十分。カズマはスマホゲーやってる気分でだらけてる。
「なあ、カズマ。お前のスキル、昨日はスナイパーライフルだったんだろ? 今日は何だ?」
「んー、昨日は派手すぎたから、今日は地味にいくか。スキル名:『絶対防御バリア』! どんな攻撃も100%防ぐ、ゲームの無敵チートみたいなやつ!」
手を振ると、カズマとセレナの周囲に青白い光のドームが展開。そこへ、巨大な狼型魔獣が突進してきた。牙を剥き、地面を抉る勢いで突っ込んでくるが、バリアにガツンと激突。即座に弾き返され、魔獣は木に叩きつけられて気絶。
「…え、終わり?」 セレナ、ポカン。
「だから言ったろ。俺のスキル、チートすぎて冒険感ゼロなんだよ!」
魔獣を縛り上げ、町に引きずって帰る途中、セレナがムスッとしながら言う。
「これじゃ私の出番がないじゃない! お前のスキル、強すぎてつまんないよ!」
「それ、俺が一番思ってるわ! 女神、このクソゲーバランスどうにかしろよ!」
ギルドに戻ると、報酬を受け取るカウンターで新たなトラブル。報酬の金貨を数えてたら、ギルドの奥からチビッ子魔法使いが飛び出してきた。緑のローブに、でっかい帽子がズレてる。
「お、お前がカズマ!? 噂のチート野郎! 私、メルル、風の魔法使い! あんたのパーティに入れてよ!」
「は!? いや、俺、ソロでいいんだけど…」
「ダメ! あんたのスキル、絶対面白いもん! 私、研究したいの!」
メルル、勝手にカズマの隣にピタッとくっついてくる。セレナは「また面倒なのが増えたな」と呟きつつ、なぜかニヤニヤ。
「なんでお前まで楽しそうなんだよ! 俺の冒険、ただのチートショーになってんぞ!」
その夜、宿屋の酒場でカズマは一杯やりながら考える。スキルクリエイター、確かに無敵だけど、敵を倒すのも問題解決もワンパターンすぎる。
「RPGって、レベル上げとか、仲間との絆とか、苦労してボス倒すのが醍醐味じゃん…。俺、何のために転生したんだ?」
そこへ、メルルがドカッと席に乱入。
「カズマ! 次のクエスト、絶対私も行くから! いいよね!?」
「いや、勝手に決めんなよ! つか、お前、酒場にいていい年齢か?」
「うっさい! 私は天才魔法使いだぞ! 年齢なんて関係ない!」
セレナも加わり、3人でクエストの話を始める。カズマ、内心ちょっとだけ思う。
「仲間が増えるって、ちょっとだけ…RPGっぽい?」 でも、すぐに首を振る。
「いやいや、俺のスキルが全部ぶち壊すから、結局作業ゲーだよな…。くそっ、女神、俺のワクワク返せって!」
翌朝、ギルドで次のクエストが提示される。山奥の盗賊団退治。メルルは「風魔法で一掃する!」と息巻き、セレナは「私が斬る!」とやる気満々。カズマだけが、肩を落とす。
「どうせ俺のスキルで一発解決だろ…。マジで、冒険のドキドキどこいったんだよ…」