表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

社会的エッセイ

鈴木係員のいない会社

本作は、「飲み屋で聞いた話」をもとに想像でふくらませたフィクションです。登場する人物や企業は架空であり、実在のものとは関係ありません。


朝倉係長

「同じ眼鏡でも、インテリの小倉課長よりは、筋肉バカの久守課長の方が、100倍操りやすかったですね。

大声を張り上げるだけで、何の役にも立たないから、忙しい私の代わりに鈴木いじめでもやってもらいましょう。

あのおっさんにできるのは、それぐらいですよ。」


町田係長

「そうか、そうか。でもな、鈴木をいじめたら、神楽部長が黙ってないぞ。」


朝倉係長

「あのボケ老人に何ができるんですかね。

この会社は、町田さんと私、あと近藤主任とかで成り立っているんですよ。

その証拠に、私が鈴木さんにきつい態度をとっても、何も言わないじゃないですか。

自分が役立たずのボケ老人だって、分かっているんですよ。

定年まで給料をもらいたいなら、おとなしくしてもらいましょう。」


——そして、鈴木は心身を病んで自主退職した。


鈴木

「久守課長のパワハラに耐えかねて辞めます。」


神楽部長

「そうか。私がいる間はもつかと思ってたんだけどな。」


鈴木は、心の中で思った。

『最近では何も助けてくれない。見て見ぬふりじゃないか?

長年の便秘が治ったときみたいな、すっきりした顔をしてるな。

でも、それを指摘したら、退職できずに殺されてしまう。』


——6か月後、重要顧客からクレームが来た。

それは苦情ではなく、「取引を停止するぞ」という激怒に満ちた抗議だった。


重要顧客

「本件を解決するために、鈴木さんを任命して欲しい。」


海外営業

「退職しました。」


重要顧客

「鈴木さんの分析と対策力があったから、我慢してきた。

鈴木さんがいないなら、取引をたたんでいく。」


海外営業は、神楽部長に電話した。

「鈴木さんがいた頃に、カレンダーの日付を戻して下さい。

なぜ、鈴木さんを辞めさせたのですか?

鈴木さんの代わりは誰ができるのですか?」


神楽部長

「久守課長、海外営業から激しい抗議を受けた。

どう責任を取るつもりだ。

だから私は、鈴木を大事に守ってきたんじゃないか?

課長になってたった6か月でいじめて辞めさせやがって、責任を取れよ!」


久守課長

「朝倉、お前はどういうつもりだ?

鈴木なんていない方がマシだって言ってたじゃないか。

あんなに邪魔だから辞めさせた方がいいと言ってたくせに、どういうことだ?

俺を騙したのか? どうしてくれる?」


朝倉係長

「まあまあ、小倉課長が鈴木をいじめたことにしておきましょう。

そうすれば、久守課長にも私にも責任はないですよ。」


——小倉課長は、鈴木の代わりを命じられたが、同じ成果を出すことはできなかった。

その後、小倉課長は「鈴木と同じレベルに達するには研修が必要」とされ、1年間を海外営業のもとで過ごすこととなった。


その後、会社はひとつの事業から撤退することになった。

鈴木の代わりを務められる人物は、会社に残った誰にもいなかった。

技術レベルが数段下がった簡単な製品を作る方向へ方針転換することで、会社はかろうじて存続した。


しかし、「誰かを泣かせてもいい」という社風は、“成功体験”として残ってしまい、お客様の信用を失っていくことに、誰も気付けなかった。

少しずつ注文が減っていく現実にも、目をそらし続けた結果、会社の人数は全盛期の30%にまで削減されることになった。


これは、「飲み屋で聞いた話」に想像を加えたフィクションです。

実在の人物や企業とは一切関係ありません。詳細を尋ねられても答えられません。


※この作品はフィクションです。事実とは一切関係がありません。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ