戦場の殺人鬼 5
エンニ王子は、
素直に国王を部屋に入れた。
そして、
黙ったままソファーに座り込み
剣を手に持ち
目を瞑り
じっとしていた。
『酷く疲れた顔をしている。』
『お前は昨夜から
一睡もせず起きているのか。』
『一体何があったのだ。』
国王は、
エンニ王子の様子を見て
大変心配になった。
エンニ王子に昨夜のことを
早速質問してみた。
だが、何も答えなかった。
イーダの言い分を話した。
だが、何も言わなかった。
『エンニが
イーダの言うような事を
したとは思えない。
しかし、
当の本人が、何も答えず
説明しない。
これでは
真実が分からない。』
『たださえ
悪評があるエンニが
これでは
不利な立場になるだけだ。
どうすれば良いのか。』
国王は、考え込んでしまった。
困り果てた国王の元へ
第二王子のレントが
やって来る。
レント王子は、
兄エンニ王子のような
剣術の才能は
持ち合わせていなかったが
頭脳明晰な王子だった。
国王は
彼の優秀な頭脳に頼る事にした。
国王から相談されたレント王子は
「父上、おまかせ下さい。
僕が、調べます。」
「兄上が、
何も話さないのなら
他の人から聞けば良いのです。」
そう言うと
レント王子は、
早速行動に移した。