24/35
呪いの人形姫 誕生 1
生まれた時に、産声を上げず
微笑みを持たずに
育った娘ソフィア。
彼女の幼少期は
喜怒哀楽に溢れた
明るく元気な
子供ではなかった。
『何故、自分は
他の人のように
自然に笑ったり、悲しんだり
出来ないのだろう。』
ソフィアは幼くても
そんな事を考える
賢い子供だった。
彼女は
特殊な能力
観察眼を持っていた。
人の欲望が見えるのだ。
だから
相手の気持ちを
感じるのではなく
観察眼を使い
理解していた。
人の気持ちは
理解し共感も出来る。
なのに
自分の感情が分からない。
そのせいで
自分の気持ちを
相手に伝えるのが
ソフィアには難しかった。
『自分は何かの病気かもしれない。』
『それとも、
呪いにでもかかっているのか。』
そんな事を真剣に考えていた。
ソフィアは
人との違いの中で
どう生きて行くのか。
どうすればいいのか。
自分はどう周りに
反応して行けばいいのか。
ソフィアは幼心で
必死に考えていた。
その為
いつも静かに周りの人たちを
観察していた。
無口で無愛想と言われても
彼女には
必要な事だった。