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戦場の殺人鬼 8
最後は、現場である
兄エンニ王子の寝室へ
レント王子は向かった。
国王から
調査を頼まれたことを話すと
兄エンニ王子は、
すんなり部屋に入れてくれた。
何も語らず
ソファーに座っている
兄エンニ王子に
レント王子は
寝室の枕元にある
短剣を
見せてくれるように
話した。
兄エンニ王子からは
無言の返事だった。
レント王子は
寝室のベッドに近づいた。
ベッドは
真新しいシーツで
綺麗に整えられていた。
件の短剣を見つけ、
鞘から
刃を引きぬく
レント王子。
『これは… 。』
レント王子は思った。
これで
証拠は揃ったと。
レント王子は、
この短剣を
少しの間
貸してくれるように
兄エンニ王子に
頼んだ。
無言で頷く
兄エンニ王子。
『兄さんが、僕に返事をしてくれた。』
とても嬉しくなった
レント王子は
「兄さん、安心して下さい。
無実を証明して見せます。」
そう言って
部屋を出て行こうとした時、
レント王子は
兄エンニ王子の
声を聞いた。
「ありがとう。」
小さいが、
はっきりした声だった。




