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新婚旅行のハズでした  作者: もんどうぃま
第二章 夫の留学

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滞在予定日も残りわずかです。フェスティバルの日から急に忙しくなりました。ありがたい反面、少し寝不足です。こんな風に過ごせるのもあと僅か、そう思うと詰め込み過ぎてしまうのかもしれませんわね。


あと二、三国は訪問するつもりだったんですが、ベルガーの伯父さまから戻るように連絡が来てしまいました。今回王族と揉めた件がお耳に入ったようで、爵位を継ぐ手続きをするように言われてました。


「公爵家の令嬢」よりも「侯爵」の方が危険が減るのではないかと思われたようです。身分の保証と言いますか、より強気に出られると言いますか。何にせよ伯父様は不安になってしまったようです。虫の知らせ、というアレですかね。


伯父様を不安にさせた大元の原因はジュリアン殿下ですわ。彼は病死したことになりました。後宮が解体されて、想像以上の被害者がいたことから、とても大きなニュースになりました。


オープンな国ですから。とは言え、被害者の方の名前は伏せられています。徹底していました。噂すらも許さない雰囲気が浸透していて好感が持てました。


生きている被害者の方がこれから過ごしやすいように、助からなかった方々の名誉が傷つけられないように。王家から補償金が出されました。少なくはない金額です。


それで全て許せという訳ではない、と陛下は言いました。私費を使って生涯をかけて償っていく、とのことです。正直なところ、どこまで、というのは難しいことだと思います。


これに合わせて、ジュリアン殿下が入れ替えられていたことも発表されました。本当のお子さまがアンリ会長だったことも。アンリ会長が孤児院に預けられた時のエピソードと、実際にアンリ会長を誘拐した方々が逮捕されたことなどなど、裏付ける情報が無事集まりました。もちろん私も似顔絵作成にご協力させていただきましたわ。


アンリ会長が本物の王子だと知った街の方々は大歓喜でした。お人柄もありますが、国内の経済が活性化するのではないかとの期待が大きいのです。商店街の経営と国の経営は違うでしょうけど、期待してしまう気持ちも分かりますわ。


彼の手腕を知る者は期待してしまいますもの。私も残り少ない日々ではありますが、彼から多くの事を学ぶつもりですわ!


懸念が無くなったリオネルの聴講生生活も充実していましたわ。毎日楽しそうに学び、体験し、好奇心の赴くまま多くの事を吸収できたようです。日々報告してくれる彼がキラキラと輝いていて素敵でしたわ。


アンリ会長のご依頼で、別の店舗を紹介していただき、私たちのお店が今後も残ることになりました。占いのお店には、占い師養成学校から数人を派遣、ダマンスイーツ店のレシピの譲渡、といった形ではありますが、来年オープン予定のホテルと合わせて三店舗です。


クリスタルホテルの建設予定地も決まりました。支配人はアンリ会長です。アンリ会長は準王族として扱われることになりました。彼の警護が必要となったものの、ジュリアンの諸々で予算が組めなかったため、国ではなくホテルの経費で警護を賄う事になりました。


アンリ会長はDNA検査がない今世では状況証拠が固まっただけに過ぎず、本物のジュリアンだとは証明しきれません。


国に益をもたらす者としてアピールをしていかなくてはならず、前途多難です。ホテル内に商工会を移してその仕事もしながら、一部公務もしていく事になったとか。王宮は偽ジュリアンの余波でまだ経済的に厳しい状況ですから、苦肉の策と言ったところでしょうか。


ホテルがあればヴィクトル様とセイラも王宮に行かずとも、ホテル泊で気軽に里帰りできますものね。王宮が絡むととにかくゆっくりですから。


そういえば、もう一軒ホテルを建設する事になりましたの。アンリ会長のお友だち、ギヨーム会長がうちにもぜひホテルを、とご提案くださいました。いただいた資料の中にはすでに建設予定地案もあって、会長の本気を感じましたわ。


あっという間に全てが動いて、もしかしたらこちらの国のホテルよりも先に出来上がるかもしれません。


ヴィクトル様は無事セイラのお父様からの婚姻許可をもぎ取りました。何とお父様も小説のファンだったのです。原作者に会えて感激したお父様はまるで乙女のようなトキメキ顔を隠さなかったそうです。


正直居た堪れませんでしたわ、と愚痴るセイラが、急に大人になったようでおもし、感慨深かったですわ。ヴィクトル様とセイラの未来が明るいものになって良かったです。


後から分かったことですけれど、私の小さな野望を本気にしたマノンとバスチアンのコンビは、秘密裏に動き出していました。


バスチアンの指示の下、マノンを様々な国に送り込んで営業させ、まだ行ったことのない国にもクリスタルホテルが建設される事になりそうです。


手足のようにマノンを使えて満足気なバスチアンが時々ほくそ笑むのが不気味ですわ。経費で旅行ができると目を輝かせていたマノンも大概ですけれど。


前世のせいかしらね。経費だと妙に喜んでしまうのは。騎士のタニアが同行しているせいか、女性の二人旅ながら、大きなトラブルもなく楽しめているようです。世の中には色々な方がいらっしゃいますものね。報告がないだけだったら怖いですけれど。


そう言えば、バスチアンが呼ばれて何かをしに行ったことがありましたわ。急な出張でした。興に乗ったあのコンビのやる事に口を出すと、かえって大事になってしまうかもしれませんから、お任せするのが一番ですわ。


事業が大きくなっていくと、全て自分で管理することは大変難しいことですから、お任せする、というのを覚えた方がいいと関係各所から言われましたわ。そう。その一環ですわね。


そうそう、ギヨーム会長の所の親方のアクセサリーを扱うお店がカルナバ王国のクリスタルホテル内に出店される事になりました。


実はこの国のホテルでは前世の結婚式場のような施設を併設する事にしたのです。前世では一生に一度のイメージが強い結婚式ですが、ドレスのレンタルもアクセサリーのレンタルも伝手がありますから、手軽に挙げられる結婚式が売りです。


エンターテイメントの国では何かの付加価値がないとお客様がいらっしゃいません。試しに提案したところ、アンリ会長の反応が思いの外良かったのです。


ブライダルエステも提案しましたが、残念ながら人材不足。育成の必要にも時間がかかりますから初期導入は断念しました。まずはメイクやカツラを利用してその場で美しくなっていただく方向でいきます。


そもそも化粧品や器具の開発も必要です。リオネルが体験しに行った工房に良さそうな職人さんがいらしたそうなので、まずは交渉からですわね。


余談ですけれど、このブライダル産業は当初の想像よりも遙かに大きくなっていきます。ちょうど子育てと重なって忙し過ぎたのかあまり覚えていませんので、お話ができません。今思い返してみるとここが始まりでしたわね。


さて、この国での暮らしも終わり、アダマンテ王国へ帰る日になりました。お見送りはアンリ会長です。今やビジネスパートナー、人生って面白いですわね。胡散臭いなという気持ちを隠しながら、試すように話しかけられたあの日が懐かしいですわ。


アンリ会長と固く握手を交わし、クリスタル公爵領へ向かいます。資産や荷物の整理、占い師の面接、ホテル従業員養成学校の問題もあります。


現地で従業員を育てるのはどうか、という提案をアンリ会長から受けました。元々とても大きな観光地ですし、エンターテイメント重視のお国柄。他店と同じおもてなしで満足してもらえるのか、という問題が浮上したのです。


各国に養成学校を作った場合、クリスタル公爵領にある養成学校にも利点があります。国外の方々が何をおもてなしと感じるのか、どう振る舞うのが最適かお互いに情報を交換することもできます。


まず少数精鋭で試してみることにして、クリスタル公爵領の養成学校へ視察に来ていただくことになりました。


今思えば、急に大きな仕事が増えて忙しかったのも原因だったのかもしれません。リオネル、バスチアン、私の三人はリオネルの希望でアーレンス伯爵領へ向かうことになりました。シェーンベルグ伯爵領のお隣です。


侍女たちと荷物をクリスタル公爵領へ送った後、アーレンス伯爵領へとやってきました。街並みは綺麗なものの、少し狭い道を見るとゴチャついた物が置かれていて、不穏な雰囲気があります。


訪れた街で最も高額ホテルを選び、宿泊することになりました。アーレンスで一番大きな街、他領からの観光客はそれほど多くないようです。言葉が少し違いますから、話し言葉で何となく分かります。


働いている方々は地元の方が多そうです。食事は割と美味しいですね。元々は人気の観光地だったのかもしれません。





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