84 小修練場
「ただいま、お母さん」
「おかえり、ヨーク、アカマット村はどうだった?」
帰ると同時に母親の胸に飛び込む娘の頭を撫でながらアリーシャが聞く。
「ライトの弟が産まれたヨ、その出産の手伝いをさせてもらって・・・
お産の大変さと・・・・命の重さを知ったヨ」
ヨークはアリーシャの胸から顔を離さない。
「そうかい、良い経験になったね」
「うん・・・・お母さん、産んでくれてありがとう」
その言葉を聞いてアリーシャが抱き返す。
「余り、見せるものではないのだがな・・・・・水の精霊よ・・・」
オカリナはそう言ってから何かを詠唱し、水の刃を飛ばし、鎧を真っ二つにする。
「すげーーー!」
ライトは相変わらずの反応だ。
ヨークが実家に帰り、残ったメンバーで小修練場を借り、オカリナに魔法実践をしてもらっている。
「メテオは??」
ライトが恐ろしいことを聞いている。
「この場では使えまい」
「ライトはギルドを破壊したいの」
「さすが主!」
「そっか・・・」
「其れに、メテオは土の精霊と月の力を借りねば打てぬ」
「そうなんだ!」
ライトはなぜかワクワクが止まらない。
「ライトの魔法も見せてみよ」
「うん、サンダーボルト」
ライトはヒョイっと左手を伸ばし、的の鎧に向け魔法を放つ。
光のボルトは弧を描き鎧を貫通する。
「その年で中々の威力よの」
オカリナの口元がほころぶ。
「オカリナと魔力循環してから調子がいいんだ」
「我も傷の痛みがほぼなくなったぞ」
アカマット村からの道中、ライトはオカリナから色々な魔法に関する知識と手ほどきをうけていた。
その代わりにライトは魔力循環で傷の治療と対面での魔力循環もやっている。
その影響かサンダー以外の属性が高くなり、魔力の流れもスムーズになった。
リータはひたすらアクセルの練習をしていて、ケリーがそれに付き合っているが
ライトの手が空いたのを確認すると、
「主、自分にもリータのアクセルをお願いします」
と頼んできた。
「ケリーが身体強化をよく使うタイミングは?」
「剣を振る時ですね」
「じゃあ、胸当てと鎖帷子を外して」
「はい!」
元気よく、装備を外していくケリーだが、ライトの視線がある一点でとどまってしまう。
それは、ケリーの上半身がタンクトップ一枚だからだ。
ケリーもライトの視線を感じても隠そうともせず、どちらかというともっと見ろ的な感じだ。
「主と一緒にいると、食事の量が多いんで肉がつきます」
そう言ってケリーが自分の胸を寄せて揺すっていると、
アクセルリータの捻りが加わった蹴りがライトの腹部を襲った。
「ブフォ」
ライトが錐もみしながら飛んでいく。
「でも、リータも大きくなったんじゃないか」
着地の瞬間をすかさず、ケリーが手でリータの胸を確認している。
「ふん、少しね、まだまだよ」
リータももうすぐ14歳になろうとしていた。
ライトが戻って来てケリーの背中に両手を添える。
「身体強化使ってみて」
「おう!」
ビュッ
木剣がしなりを上げて振り下ろされる。
「もう一回!」
「おう!」
ビュッ
「次、入れるよ」
「おう!」
ベギッ
木剣が柄の部分で折れた。
「やば!」
ケリーが折れた柄を見て驚きの声を上げる。
「もう一回、トゥーハンでいいですか」
「いいよ」
ケリーが慌てて壁に立て掛けてあるトゥーハンデッドソードを持ってくる。
「じゃあ、さっきと同じ要領で」
「おう!」
ライトがケリーの背中に両手を添える。
それを合図にケリーがトゥーハンデッドソードを振り下ろす。
ビュッ
「次、入れるよ」
「おう!」
チュン
バサバサ
ちょっとした突風が発生した。
「すっげ!」
ケリーが感激して振り返る。
「わたしでも剣筋、見えなかったわ・・って・・・・」
「僕も見え・・・る・・・グフゥ・・・」
今度は背中からの蹴りで逆海老反り錐もみでライトが飛んでいく。
ライトの残照にはケリーのタンクトップの右の肩ひもが千切れて肉厚が増した片胸が露わになった姿だった。




