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82 またね

「おぎゃーおぎゃー・・・」

元気に赤ん坊が泣き続けている。


ペチャ

ヨークが腰を抜かしたように床に座り、

ライトは赤ちゃんの手をそっと放した。


開け放たれていた扉を通って戻って来たリータとケリーが

テーブルの上の赤ん坊を確認するように眺めている。


タイラーは同じ姿勢のまま、

「感謝します・・・・」

と繰り返している。


オカリナはタイラーに歩み寄り、組んでいる指にそっと手を添え、


「抱いて、連れて行け」

鳴いている赤ん坊の方へ意識を向けさせ、母親との再会へと促す。




赤ん坊はリュシアンと名付けられた。



長い一夜が明け、

今は元気におっぱいを飲んでいる。


それを見ているDKのパーティーメンバーとティファ。


「ハァー、見てると私も赤ちゃんが欲しくなるヨ」

「主、自分も欲しいです」

「ライトに言っても、多分、わからないわよ」

「うん、お兄ちゃんにはまだ早いわ」

「え、なにが?」


「「・・・・」」「ほらね」

「お兄ちゃんってば、ホントに・・・」



「何かできることはあるか?」

「既に、十分な助力を得ている」

「そうか、いつまでこの村に?」

「我の傷の具合にもよるが、早ければ4~5日かの」

「わかった」

タイラーが状況を理解し、オカリナたちの宿の手配をする。


一年ほど空き家になっている家を村長に頼んで借りることができた。


「我は森で良かったのだがな」

「ヨークとケリーも落ち着いて寝れる方がいいよね」

「自分は主の家の扉の前でもいいぞ」

「わたしは・・・」

「ヨー姉はお兄ちゃんと一緒がいいって」

「そんなこと言ってないヨ!」

ヨークの顔が赤くなり、既にティファにいじられている。



村での一日はのんびりしたものであった。

ライト家の麦撒きを手伝ったり、

リータ家と一緒に森に狩にいったり、

ライトと採取に行き、ティファにポポを紹介したり、

みんなで豚の世話をしたり、

リュシアンを眺めたり・・・



夜は最初の晩こそは借りた家でパーティー内の話があり、

オカリナの治療もあり、

ライトも一晩共に過ごしたが、

次の日からはライトの代わりにティファが泊まりに来て毎晩ガールズトークに盛り上がった。


そして、なぜかリータとオカリナが入れ替わり、オカリナはリータの家に泊まることになった。


「なんで、なんで、リタ姉なんで?」

「ふん、大人の事情よ」

「ホントはティファちゃんわかってるでしょ」

「うちもお兄ちゃんいなくなってから、お盛んだったからね」

「ティファちゃん!」

「ちょっと主、呼んでくる」

「やめなさい!」

「あ、お姉ちゃんたち、じつわね・・・・」


中々、濃い内容のトークで女性陣たちには実りある夜だったとか・・・




「「「「お誕生日おめでとう!」」」」

「え、あ、そうか」


春の麦の種蒔きが終わった次の日にライトは産まれた。

昨日、種蒔きが終わったので今日はライトの誕生日である。


元々、村では誕生日を祝う習慣は余りない。


なので、プレゼントなんかがあるわけではないのだが・・・


「おにいちゃん!ちょっと来て、屈んで!」

「ん?」

屈んだ顔を捕まえて、ティファがライトの右頬にキスをする。


「次は自分だな」

ケリーがライトの顔を押さえて、左頬にキスをする。


何も言わずにリータがライトの顔を掴んで、おでこにキスをして、

「今日はこれで許してあげるわ」

と言って少し赤くなっている。


それを見て、もう既に赤い顔をしているヨークが動けないライトに近づいて来て、

ライトの鼻の頭にキスをして、

「おめでとう」

もう一度祝福の言葉をくれる。


「あ、ありがと」

ライトはしどろもどろに礼を返すしかできない。


「ね、お姉ちゃんたち、お兄ちゃんには()()()()()()が必要よ」

「ティファちゃん、それ、意味わかってるの?」

「これでライトは13歳ね・・・あと1年で・・・ゴニョゴニョ」

「主、自分は奴隷なので婚前交渉はいつでもいいぞ」


この国の法では男子は14歳、女子は12歳で結婚できる。

因みに一夫多妻も認められている。


しかし、田舎ではその辺りは適当で、もっと早くから一緒に住むことも珍しくない。

特に男が若い分には出産にも影響ないので男子が少ない地域では青麦刈りされてしまうこともある。


ただ、ライトはその辺のことは疎い。




「そろそろ出るぞ」

マルケスがライトたちに声を掛ける。


予定より少し長く、1週間ほど村に泊まり、アカマット村での生活を満喫したDKのパーティーとオカリナはカインズの街に向け出発する。


予定が伸びたのは出発の前日に旅商人のマルケスが村を訪れたので、マルケスの出発に合わせた。

ライト達だけなら徒歩でも良かったのだが、怪我上がりのオカリナに配慮してそうなった。


家の前で残る家族に別れの挨拶をする。

「ライト、帰って来てくれてありがとう」

リュシアンを抱いたエレナがライトに礼を言う。


その言葉を聞いてエレナが手紙を綴りリータに託した理由がわかった気がした。


ライトは母を弟ごと抱きしめ

「よかった・・・」

短くそう漏らし妹に向き直る。


「ティファ、無理するなよ」

「大丈夫!お兄ちゃんから預かったお金は無駄にしないよ」

ティファはライトからそれなりの金貨を貰い、養豚業に村の子供を雇うことにした。

最果ての村では物々交換が主流なのだが、ライトやリータが街に行って成功したので、

お金を貯めて街に出るのは子供たちにとっては夢のある目標になっている。

そして、空いた時間で母の手伝い、そう、弟の面倒がみたいのである。


「父さん、行くね」

「ああ、行ってこい」

父子の言葉は少ない、あの夜を越えてからも会話はいつも通り少ないのだが、

あの夜に垣間見た父の印象で今のライトには十分であった。


「尊父、ご母堂、世話になったな」

「息子の命をありがとう」

「我もライト等に救われた」

「何かあればいつでも来てくれ、アルも喜ぶ」

「我が望んでも許されまいて」


オカリナが背負っているものも決して軽くはないのだろう。


「アル、ティファ、ポポを頼む、アレから人に害をなすことはなかろうが、

たまに見舞ってやって欲しい」

「わかった」「了承しました」

アルマンドは狩人のティファは商人風の礼で返す。



「お姉ちゃんたち、()()()

ティファの中では確定なのだろう。

ケリーは頭を撫で、リータは肘をぶつけ合い、ヨークはしゃがんで抱きしめる。


「よし、行こう!」

ライトの掛け声で一行はアカマット村を後にする。

此れにて第二部終了です。(後付け感・・・・)

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

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