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60 昼ご飯100食分!

ラルシーカのダンジョンの地下11階

この階層はずっと昼間なので眠りが浅い。


各自、布を掛けたり、フードをかぶったり、工夫して睡眠を確保するが、全体的に目がトロンとしている。


DKはスケジュールが詰まっているわけではないので、かなりライトの自由裁量で動ける。

なので、朝食は少しゆっくり目なのかもしれない。


ケリーとナーラはライトにクリンを頼み、ライトも自身にクリンの魔法を使い衣類ごと全身を洗浄する。

ヨークとリータはヨークが出した水で身だしなみを整えている。


ヨークが水魔法を使えるので女性陣は色々な面で助かっている。


「私は闇と風の属性が欲しいわ」

リータは今のところ無属性だけしか持ってないので、このダンジョンから戻ったら、少しづつ増やしていく予定らしい。


「闇はスカウトで使うからわかるヨ、風属性は?」

「風属性があると、矢に指向性を付けられたり、威力が高くできるらしいわ」

「それは強そうだヨ!」

「でしょ、だから魔力循環、頑張らないと」

「私も光をもっと強くしたいヨ」

ヨークは現在、水と無と光を持っている。回復の重要性というよりライトを癒したいから早めに光の魔力循環に取り組んでいた。


朝食をすませ、移動の準備が終わると、今日の方針が話し合われる。


地下11階からは山岳地帯で高低差のある森を進んでいく感じだそうだ。


下の階に進むなら山を下るように行けばたどり着けるがナーラは反対の山を登る方は行ったことがないそうだ。


そして、地下12階のでかいサルのようなモンスターに冒険者パーティーの1人がやられて、そこで引き返したらしい。


「んで、ごごがらさぎはよぐわがんね」

とのことだ。

ただ、ランクはともかくモンスターの装備が良くなっていて、オークソルジャーが兜をかぶっていたり、盾を持っていたりするらしい。


「11階は全フロア、マッピングしよう」

ライトが言う。

10階まではかなりの部分を端折っていたので、ようやく、ちゃんとした探索になるのかもしれない。

「リータ、ケリー、いつもの配置で山の上を目指して!」

「わかったわ」「了解、主!」


ライトは指示を出した後、マジックバックからバトルアックスと予備の小さい盾を出して、ナーラとヨークに渡す。


新たな敵との出会いへの期待にライトの胸が高揚しているのが解る。


今までと違い、踏み固められた道ではないが、山道のようなものはある。

ただ、両側が茂みや森が生い茂っているので、移動速度は余りでない。


先頭をリータが気配察知と強化された視力で索敵をしながら進み、その20歩ほど後方をケリーが続き、更にその7歩ほど後ろにナーラ、すぐ後ろにライトとヨークが並んでいる。


しばらくすると、先頭のリータに緊張が走る。

視界の先にオークの群れを発見した。


今はこちらが風下なので、匂いで警戒されることはないはずだ。


リータはハンドサインではなく、戻って来て、状況を説明する。

「おそらく、オークソルジャー5距離80、皆、兜と盾、鎧を装備しているわ」

たしかに、ハンドサインでは伝えきれない情報であった。

そして、フル装備相手だと弓の殺傷能力がかなり落ちるため、慎重になったのだろう。


「リータ、1対1やってみる?」

ライトは余裕で聞いてくる。

「・・・やるわ」

ケリーは聞くまでもない。


「じゃあ、3体は僕が倒す、無理はしないで、ケリー、エンチャントは?」

リータは頷き、走り出す。ケリーは「無用」

一言そう言ってリータの後を追っていった。


そして、リータの進む先にオークの群れを視認する。

オークの群れは正面から向かってくるのではなく、ライトから見て左から右へ移動していたので、

ほぼ、側面攻撃になる。


「穿て、サンダーボルト」

ライトの左手から6条の閃光が走り、オークの群れのやや後方の側面から急襲した。

後方の2頭が頭や肩口、胴体に直撃を受け、動かなくなり、もう1頭も被弾して倒れ込む。


攻撃を受け、2頭のオークソルジャーが身構えて射線を確認するが、既にケリーが戦闘区域に入りかけていた。

そして、左のオークソルジャーの顔面に矢が飛来する。

それを盾で受け、矢の射線の先にいるリータと目が合う。


「グゥァー」「ブフォー」

オークソルジャー達は雄叫びを上げ、それぞれの敵と相対する。

その雄叫びを女性陣は本能的に嫌悪するが、怯むメンバーはここにはいない。


リータはその場から離れるように移動し、ケリーは地面が比較的安定している場所で、迎え撃つ。


先に戦闘に入ったのはケリーで、トゥーハンデッドソードを上段に構えている。

そこに、オークソルジャーが右腕のショートソードを横薙ぎに振りながら踏み込んでくる。


「遅い」


オークソルジャーのショートソードを握ったままの肘から先がケリーの袈裟切りによって切り飛ばされ軌道を変え、

二の腕だけがケリーの方に向けられ、その時にはケリーの2撃目がオークソルジャーの首を狩った。

首は斬り飛ばされるほどではなく、反対側にぶら下がるようにかろうじて繋がっていた。


「首の皮、一枚!」

「ライト、それ逆の意味だヨ」


ライトは早々に自分の目標の3頭目にとどめを刺し、戦闘を観戦していた。


そして、次の視線はリータへと向けられる。


リータを追うオークソルジャーがリータをショートソードの攻撃範囲に捉え剣を振り下ろす。

サイドジャンプで躱しながら矢を放つ。

矢はオークソルジャーの左首と肩の付け根に刺さるが、オークソルジャーの圧は弱まらない。

盾を前に構え、突進しながら剣の間合いに入ると横薙ぎを振るう。

リータはそれも跳躍で躱し、矢を放つ。

矢は先ほどの矢の少し首よりに刺さる。


オークソルジャーの左手がダラリと下がり、盾が落ちる。

それでもオークソルジャーは前にでて、横薙ぎを振るうが、

リータは後ろに飛びながら、最後の矢を放つ。


矢は鎧の中心を貫き、胸の深い部分まで刺さる。


オークソルジャーは前進を続けるも、足が付いてこなくなり、前のめりに倒れ

しばらく痙攣していたが、やがて活動を止めて、魔石と肉に変わる。


リータは魔石と肉、3本の矢を回収し、他の魔石と肉を回収しているライトのところへ持っていく。


「速くなったね」「特訓の成果だヨ」

そこではケリーがライトとヨークから賞賛を受けていた。


「リータもナイスショット」「わざとショートソードの範囲内で戦ってたでしょ」

元々、2人はリータに攻撃が当たるとは思っていない。

「ちょっと試したかったから・・・」

そう言って高い鏃の付いた矢を見せてきた。


「鎧は抜けたけど、先が潰れたわ、肉が出なかったら赤字ね」

たしかに、オークソルジャーの魔石は銀貨2~4枚程だったはずだが・・・


「使ったのは鎧を抜く矢だけだけどね」

「そんなことまで考えて戦ってたの?」

ライトが驚く。

「当り前じゃない!こんな高い鏃、早々に使えないわよ!一つで昼ご飯100食分よ!」

「そ、それは高いね」

「今頃・・・・」


場にそぐわないライトとリータのやり取りを他のメンバーは呆れた感じでみていた。

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