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58 ライトの実力

複数の光の筋が目標周辺のゴブリンをハチの巣に変えた。


竜巻と閃光、数舜で立っているゴブリンがいなくなり、

代わりに土埃の中で光るトゥーハンデッドソードを握った女ファイターが撃ち漏らしがないか目を光らせていた。


「リータ!」

ライトが直接、リータに向かって走って来る。

(あ、怒ってるわね)

「リータ!危ないじゃないか!」

ライトはリータの肩に掴みかかり、揺すりながら叫ぶ。


「大丈夫よ、ゴブリンの弓なんか子供の弓みたいなもんよ」

「それでも、1人で飛び出しちゃダメだよ」

ライトが涙目で訴えかけてくる。

「・・・避けられる自信があったのよ、それに「ライトを危険な目に合わせたくなかったヨ、でしょ」」

リータの言葉にヨークが被せる。


「気持ちはわかるヨ、わたしもそうだったから。でも、それってライトは嫌がるんだヨ」


肩を震わせているライトをヨークが抱きしめて慰めている。


その姿を見て、数年前の出来事を思い出す。


「そうだったわね・・・」

自分のスタンドプレーで、守ったつもりが結局は守られていた。

(あの時と同じで成長してないのは私だわ)


「私が悪かったわ・・・」

リータが小さい声で言う。

「聞こえないヨ」

舌を出しているヨークが忌々しい。

「私が悪かったわ!ごめんなさい、次からは気を付けるわ」

そう言ってリータが頭を下げる。


「ライト、ああ言ってるヨ」

ライトの頭を撫でながら、ヨークが言うと

「わかった、次からはやらないでね」

言葉と一緒に振り返ったそこにはケロリとしたライトの顔があった。


「・・・ちょっと!」

顔を赤くしてリータがライトを追いかけだした。


ライトもリータの知らないところでライトなりに経験を積み成長しているのであった。



ライトは魔石を拾いながら先の戦闘のことを考える。


安全マージンを最優先するなら、ライトが相手の射程外からサンダーボルトで殲滅すれば済むことで、

見通しの良い荒野ではそれが可能だということ。


わざわざ、リータやケリーに危険を負わせる必要はあるのか?

それなら・・・・


魔石を回収し終わっていつも通り集まり意見を言う。


「さっきみたいに遠距離攻撃が多い時はどうすればいいかな?」

ヨークが質問してくる。

「リータが突っ込んだから目標を逸らせたけど、みんながいる所にまとめて打込まれたらやっかいだね」

ケリーがまともな回答をしている。

「それなんだけど、ちょっと相談があるんだ」

ライトはそう切り出して

相手の射程外からライトが攻撃すればノーリスクで殲滅できるので、わざわざ危険を冒す必要はないこと

そして、魔法の練習をしたいことを話した。


「ライトの好きなようにしていいヨ」

「そうね、それでいいわ」

「主のしたいように」


「ありがとう!」

そうお礼を言ってライトは色々な魔法を試してみた。


敵が見えた瞬間攻撃する長距離攻撃や最大火力のサンダーボルトとホワイトレイ。

あと、思いついたサンダーのビリビリを強くして、周囲をビリビリさせるサンダーチェイン。


一応、防御として、矢を風魔法や土魔法で壁を作って防ぐ魔法もやってみた。

ただ、結果としてはライトが火力をした方が安全かつ効率的なのがわかった。


オークソルジャーやメイジ、アーチャーもいたが、5~6頭だったのでライトの敵ではない。

ただ、サンダーボルト一撃で倒せない個体が数体いたくらいだった。


その他にも飛ぶ鳥や飛ばない鳥、ホブゴブリンの群れ、コボルトの上位種、ウルフの群れ、

どれもライトが楽に1人で殲滅していた。


その上、肉のブロックも10個以上ドロップしたので、ライトとしてはウハウハ状態だった。

地下6階から10階までの荒野はほぼライトの練習、実験場と化していた。

ライトにとっても全力で魔法を行使する機会は余りないので、己の能力を知るいい機会になった。

「E級っでどないが・・・」

「まあ、ライトだし」「やっぱり、強いヨ」「主、付いていきます」




地下11階へ向かう階段の入り口付近に冒険者パーティーが数組集まっていた。


次の階からまたランクが上がるのでここでキャンプを張っているのだろう。

みんなここまで来れるだけあって良い装備で身を固めているように見える。


逆にライト達は初級ダンジョンの時とあまり変わっていないのでかなり浮いている。

見た目的には、ベテラン揃いの場所に新人が迷い込んだみたいなものだ。


「お前たち、よくその装備でここまで来れたな」

「運が良かったのか?」

「寄生してたんじゃあるめーな」

キャリアらしきナーラが何も背負っていないので、色々いう人たちがいるが、相手にしてもいられない。


ダンジョン内は階層によってずっと昼間かずっと夜なので、時間の感覚がわかりづらいがおそらく夕暮れ時だと思われる。ライトの腹時計的に。


「お腹空いたね」

「でも、ここじゃ落ち着かないわ」

「良い場所があっぞ」

そう言ってナーラがトコトコと洞窟へ向かい階段を降りていく。


洞窟から出ると、11階層は山岳地帯のようだった。

出た時から上り坂と下り坂で始まっている。


ナーラは左手のその上り坂を登っていき、少し歩くと入り口の上に当たる場所に出た。


誰もおらず、そこそこのスペースがあるのでキャンプするにも、休憩するにも十分な場所である。


「はぁ、ここなら落ち着くヨ」

ヨークがそう言って小さい岩に腰を下ろす。


「ヨーク、何食べたい?」

「ライトのお任せでいいヨ」

「じゃあ、肉祭り!」

「ええ、またー」


ライトは土魔法でかまどを作り、マジックバックから薪を取り出してかまどで火を点け、その上に鉄板を置く。


隣に土魔法で台を作り、まな板の上に肉のブロックを置く。

「とりあえず、オークソルジャー肉と飛べない鳥肉ね」

そう言って肉をどんどんスライスして、皿に並べていく。


後は各人が肉を焼き、タレ、塩、スパイスをお好みで使って食べる。

飲み物やパンやスープはライトにリクエストするとすぐに出してくれるので、

かなり、自由度の高い食事になる。


「ソルジャー肉、噛み応えがあって美味いわ」

「私は鳥肉タレが一番、口に合うヨ」

「皮の部分を塩多めがイケるぜ」

「こっだっだ飯、毎日ぐっでるだが」

皆が楽しんでくれているのでライトも嬉しい。

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