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42 ふたりの世界

「俺はライトじゃね~」

リーダー格の男の抗議の叫びが北の森に空しく響く。


男は尻もちをつき涙目でヨークから距離を取るように後ずさっている。


「次はどのライト?」

ヨークの座った目が次の標的を探し、首を巡らせる。


そして、デブ、小柄な男を視界に捉えるとメイスを引きずりながらそっちに向かっていく。


「お、俺は抜けるー」

「ブヒ、ブヒー」

恐怖に駆られ、2人は武器を捨てて逃げだす。


「おい!待ちやがれ、逃げるなー」

親分が叫ぶが子分たちの背には届かない。


「サンダーボルト」

2条の光の筋が子分たちの頭と腹に吸い込まれ吹き飛び動かなくなる。


「ヨーク!」

ライトはフラフラ彷徨うように歩いているヨークに駆け寄る。


「ドスケベライト!」

ヨークはメイスを上段に振り上げる。


ボフっ

メイスを振り上げたままのヨークをライトは抱きしめる。


「ヨーク、怪我は?」

「ライト・・・」

ヨークの目に光が戻り、自然と涙が溢れ、

メイスがライトの背中側の地面に落ちる。


「ライト、嫌い・・・」

ライトに抱きしめられた状態でヨークがライトの胸をポカっと叩く。

「他の女の子と仲良くしちゃ嫌」

ポカポカ

「わたし以外に魔力循環しちゃ嫌」

ポカポカポカ

「他の人のおっぱいばっかり見てー」

ポカポカポカポカ

「そんな嫉妬ばかりしてる自分がいちばんいやーー」


ガシっと手を掴まれて


ヨークの唇に冷たく柔らかい感触が押し当てられ、次の言葉を遮られる。


「ん・・」


数秒か数十秒か・・・


いつの間にか目を閉じ


ヨークの頭の中を駆け巡っていた言葉が全てなくなり


唇の感触だけを感じていた。




その甘い感触が離れ自然と開かれた視界にはライトの藍色の瞳が・・・


「僕はヨークが好きだよ」


「わ・・・・

わたし・・・・

わたしも・・・・大好き」


ヨークの手がいつの間にかライトの背中に回され、ヨークはきつくライトを抱きしめる。


ライトの胸に顔を埋め止めどない涙が溢れてくる。


ライトの手がヨークの背中をさするように動き、もう片方の手はヨークの頭を包むように抱いていた。


ヨークはライトを抱きしめたまま、嗚咽を押さえながら鼻をすすり、目を閉じて顔を上げる。


ライトは間違えることなくヨークの要求に応え唇を寄せるが、最初よりも控えめだった。


ヨークはあと2回それを繰り返し、ようやく泣き止んで腕を解いた。


腕は解いたがライトの裾を掴んで俯いている。


「ごめん・・・ヨーク」


ヨークは首を2回振り


「ごめん・・・ライト」

そう言って顔を上げライトの目を見る。


「僕、色々、わからなくて・・・教えてヨーク」


「わたしもだヨ、ライトと出会って知らない自分がたくさんあったヨ」


「なにが好きで、なにが嫌いか、たくさん話をしよう」


「うん、たくさん話がしたいヨ、ライトのこと聞きたいし、わたしのこと聞いてほしい」


ヒュー


冬の風がふたりの世界から現実へと引き戻してくれた。


「あ・・・」

ヨークが思い出したように辺りを見回す。


ライトはヨークを視界に入れつつ周辺の気配を察知する。


ヨークの視界には3人組は倒れていたり、這いつくばっている。

「親分がいたんだけど・・・」

ヨークがライトに振り向く

「たぶん」

ライトが木の方を指さす。


ヨークがライトの差した木の方に行くと、木の裏側に2本の矢で刺し止められている親分がいた。

「・・・これ?」

「たぶん、トゥトだね」


ヨークがファーと大きくため息を吐き目を閉じた。

「わたし、こんなに守られてるんだね」

ちゃんとそのことを理解し受け取って胸に刻む。


「ヨーク、怪我は?」

「針を2回刺されたけど、大丈夫だヨ、血も止まってる」

そう言って刺さった2か所をライトに見せる。

「なんか薬が塗られてたみたいだけどあんまり効かなかったヨ」

傷口は少し赤くなっている程度だった。


「あーるーじーー!」

遠くからケリーの声が聞こえた。

「こっちー!」

ライトが返事をする。


ザッザッザッザッ

ケリーが走って近づいてきた。


「これは?」

ケリーが周辺の状況をライトに尋ねる。

「ヨークを襲っていたんだ、前にも揉めた3人組とその親分」

一瞬、ケリーがトゥーハンデッドソードに手を掛けるが抜くことはなく

「縛って連れて行きましょう」

そう言って4人を縛ってギルドまで連行した。


その日はヨークが事情聴取を受け、夜遅くなる前にはそれも終わり、

3人でトマテ亭で食事を取り、トマテ亭の同じ部屋で2人+1人でたくさん話をした。



ライトがこの街に来る前のこと

ヨークの普段の生活

ヨークと出会ってからのこと

ライトと出会ってからの自分

嬉しいこと、楽しいこと、嫌なこと

キスしたこと

好きだったこと

明日のこと

未来のこと・・・


笑ったり、怒ったり、笑ったり、泣いたり・・・


寝落ちするまで話をし、翌朝


「また、助けてくれてありがとう」

そう言って寝ているライトにキスをする。




後日4人組のアジトが捜索され証拠品や余罪が明らかにされた。

4人組は犯罪奴隷とされ領主の沙汰を受けることになり、

DKは報奨金とアジトの資金と装備品の売却益なので金貨30枚ほどの収入になった。


「トゥトは?」

「俺はいらん、もう充分にもらってるからな」


その後、トゥトの意見を参考にみんなで話し合ってケリーの取り分をヨークと同等と決めた。

よって今回はライト金貨15枚、ヨークとケリーが7.5枚ずつとなり、ケリーの残りの借金が金貨52.5枚となり、返済分はパーティー資金としておいた。

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