38 金貨100枚
結局、残ったのは、チーズが数切れとパンが数個だけでそれもライトが丁寧にマジックバックにしまっていた。
エールはトゥトがパーティーに加わってから常飲していたのでライト達も飲む機会が増え、
いまでは食中に冷やして飲むのが普通になっている。
「それで、寝床はどうするの?」
ヨークの質問に困るライト。
初の遠征では野営の機会が2回ほどあったが2人用のテントを2個買ってライトのマジックバックの中に入っているので、男女別で何の問題もなかった。
「奥方が心配されるのでしたら、3人一緒の部屋でどうでしょう」
年長者のケリーが提案するがライトは直ぐには頷けない。
ただ、ヨークの呼び方は奥方で決まりのようだ。
「もう、一緒の部屋でいいヨ」
ヨークがそう言って、受付のほうへと歩き出す。
2人の女性に気を使ってライトでは決められないと判断してヨークが決断したようだ。
ライトは着き従うようにトボトボ着いて行き
本当に付き従う立場のケリーはライトに揚々と着いて行く。
「3人で泊まれる部屋ありますか?」
「4人部屋でしたら空きがあります」
ヨークの問にシェーンが応え
「じゃあ、そこお願いします。
明日の朝食ともう一泊分の朝と夜食もつけてください」
ライトが財布を出しながら言う。
「4人部屋2泊と3人分の朝食2回、夕食1回ですね。
銀貨6枚と銅貨50枚です、宿帳の記入をお願いします」
「ヒヤッ!」
思わずヨークが声を上げる。
「はい」
ライトはそう言って金貨を1枚トレーに置いて宿帳を記入する。
「お釣りの銀貨3枚と半銀貨1枚です部屋は3階の31です」
シェーンがそう言ってお釣りと部屋の鍵をくれる。
「ありがとうございます、おやすみなさい」
ライトはそう言ってシェーンにお辞儀をして2人の方を見ると宿帳の記入が終わったようだ。
階段を上りながら
「ご、ご、ごめんなさい、ライト、銀貨6枚もするなんて・・・た、高すぎるヨ」
「そうかなぁ、ご飯美味しいからいいよ」
「自分もこんな高い宿泊るの初めてです」
「銀貨6枚ってうちの2か月分の食費より遥かに高いヨ・・・」
そう言っているうちに部屋の前に着いた。
ライトが持っている鍵で部屋を開けるとゆったりとした部屋にソファーセットとベットが2つ、奥の狭い部屋にベットが2つ並べられていた。
「広ーいヨ」
「凄い良い部屋だな」
ヨークとケリーは感想を漏らしている。
ライトはソファーに座り、ヨークを手招きして呼ぶ。
「先に清算しとこ」
そう言ってジャラジャラと今回の報酬をテーブルの上に出していく。
「凄い金貨の量だヨ」
「なんか今回多いね。
金貨が43枚、銀貨が5枚、銅貨46枚だって内訳見る?」
そう言って清算書をヨークに見せるがヨークは首を振る。
「いいヨ、わたしゴブリン倒してないから全部ライトのでもいいヨ」
「ダメ!山分け!ヨークもちゃんとドルト守ってたでしょ!」
「そうかなぁ、それに、前回より10倍以上あるヨ」
前回とはランクアップテストのゴブリン狩りのことだ。
「あと自分が金貨60枚お返ししますので」
「そっか、今回の報酬、金貨100枚越えてるんだね」
「ヒヤッ!」
ヨークがまた声を出す。
「とりあえず、今ある分だけ、僕に金貨20枚、ヨークに金貨10枚、残りはパーティー資金に入れとくのでいい?」
「主、凄い稼ぎです・・・」
「うん・・それで・・・いいヨ」
(やっぱり貰いすぎだねお母さん、わたし、もっと頑張らないと)
ヨークは納得できないがあの時決めたルールなので仕方なく受け取る。
「今は金貨5枚だけ貰うヨ、後の5枚はギルドに行った時に貰うね、ライト預かっておいて」
「うん」
ライトは了承して、ヨークに金貨を5枚渡し、自分の財布に金貨を25枚入れて、残りをパーティー用の財布に入れた。
「ケリーの分配はどうするの?」
「次の討伐クエストの時にトゥトにも相談に乗ってもらって決めよう」
奴隷の扱いなどライトが知る由もない。
結局、部屋割りは奥の小部屋にヨークとケリーが寝ることで落ち着いた。




