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36 3人目

「それにしてもオメー、良いダンビラもってるじゃねーか」

マルディローズが腕を組んだまま隻眼だけを動かしてケリーを見る。


「はい!やっと買ってダンジョンアタックしたんですけど、ボスには当たらなかったんですよ」

そう言ってケリーは背に背負ったトゥーハンデッドソードを抜いて見せる。


「室内で剣を抜くの禁止!」

すかさずライトが言うと

「は、はい」

強制力が発揮されたのか抜くよりも早く背中に納めた。


「振ってるところを見せてみな」

そう言って部屋を出ていこうとするマルディローズ


「ギルマスは暇なの?」

ヨークが嫌味を込めて言う


「頭が忙しくしてるようじゃ二流だぜ、嬢ちゃん」

二っとわざと犬歯をみせて応える。

「その分、レオン副ギルド長が2倍忙しいっス」

フェイは正面にジト目を向けたまま言っていた。


「フン」

それだけ言ってマルディローズは顎で付いて来いと指示をして部屋を出ていく。


トゥトがそれに続き、ケリー、ライト、ヨークと続く。

向かう先はいつもの小修練場である。

あの日から週に数度、ライト達はここで魔法や近接戦闘の訓練をしている。


特にサンダーボルトの練習に副ギルド長が付き合ってくれたので魔法に磨きが掛かった。


扉の前まで行き、トゥトがカードを合わせて開ける。


部屋の中は前回使用した鎧付きの的が置いてあった。


マルディローズがその数歩手前で止まりケリーの方をみて太い右手を差し出す。


ケリーは一瞬戸惑ったがその手にトゥーハンデッドソードの柄を置いた。


ビュビュ

マルディローズが軽々とショートソードでも振り回すように袈裟切り、逆袈裟と振り下ろし、振り上げ、

腰だめに構え少し腰を落とす。


「ハッ」

短い気合と共に振られたトゥーハンデッドソードからは炎の刃が飛びだし的を斜めに両断した。


トゥト以外の3人は口をあんぐりと開けて固まっていた。


「良い剣だ精進しな」

マルディローズはそう言ってトゥーハンデッドソードをケリーに返す。


「ギルマスは魔法使いじゃなかったんですか」

あんぐりから立ち直ったライトがマルディローズに賞賛の目で聞く。


「ただの魔法使いがこんな筋肉ダルマになるか」

答えたのはトゥトだった。


「ライト、魔法は?」

「イメージが大切」


マルディローズは満足したように一つ頷いて部屋から出ていった。


「振るとこ見ずに行っちゃったヨ」

「ああ、アレが見せたかったんだろ」

「スゲー!カッケー」


シュッシュッ

ケリーは無言でトゥーハンデッドソードを振っていた。


シュッシュッシュッシュッシュッシュッ

トゥーハンデッドソードが風を切る音だけが聞こえる。






シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ

ガランッ

柄に血が付いたトゥーハンデッドソードが修練場の床に落ちる。


「ハァハァ・・・」

崩れ落ちるように女性ファイターが両手を床に着き荒い呼吸を繰り返す。


「気は済んだ?」

ライトが声を掛ける。


女性ファイターは首を振る。


女性ファイターが手を着いた場所には水たまりができていた。


ギルマスが部屋を出ていってから数時間、時刻はもう夜中になろうかという頃

ようやく女性ファイターが口を開いた。


「ずるい、ずりぃよーぉ」

3人は黙って見ている。


「悔しい、畜生ー、先に見せろってんだよー!私が弱いって先に教えろよー!ぐわーー」

床をバンバン叩きながら女性ファイターが叫ぶように泣き喚く。

「私が甘かったー、私が弱かったー、ごめんよ、ユーフィ、ドルト、ダメなリーダーでごめんなさい」

女性ファイターの慟哭が続き

悲痛な叫びにライトも共感を覚え目頭に涙が溜まる。


「テメーぜってー殺す、殺す、お前だけは刺し違えても殺す、いや、いや、いや、こえぇーよ、いてーよ、殴んなよ、ごめんなさい、もう殴らないで・・・イヤー」


身震いがする。一歩間違えればこうなっていた自分と重ね想像する。


「もうやだよ、だれかたすけて、もうやめてください、ゆるしてください、だれか、だれか助けてよ」


床に手を着きそこに顔を埋めながら泣きじゃくる女性にライトは近づきそっと背中に手を添える。

「たすけて、たすけて、おねがい、こわいの、たすけて」

女性はライトに縋り付いてくる。


父親から言われた、女を守るという言葉に重みが数段増すのを感じる。


ライトは優しく抱きしめて頭を撫でながら

「もう大丈夫だよ」

そう言った。


ケリーはライトの顔を確認し

「あるじ、、、・・・ライトォォ」

ライトの胸に顔を埋めグワングワン泣いている。





「依存?」

「ああ、人の心は弱い、キツイ体験をすると防御本能で心を守る為に現実を見なくなる」

「今のケリーも・・・」

トゥトが頷いて

「兆候は出てたな、別の自分を張り付けたり、誰かの庇護に入ろうとしたりな」

「ギルマスはなにをしたの?」

「一振りで現実に引き戻しやがった、厳しい野郎だ、だが・・・」




「ちくしょーーーーぉ!ぜってぇぇーーっ強くなってやる!ギルマスより強くなってやるからなぁー!」




DKに3人目の仲間、D級冒険者ファイターのケリーが加わった。

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