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31 対ゴブリン戦

誰かが襲われている・・・

そう理解すると同時に、

ライトに経験したことのない震えが起こる。


緊張や怒りや焦り・・・

ごちゃ混ぜの感情が判断を低下させ行動を制限し、

「早く助けなきゃ・・・」

声が出てしまい、懇願にもとれる表情をトゥトに向けるが、


トゥトはそんなライトを目で制し、手を低くすることで抑えろと伝え、

自身は物陰から中の様子を探る。


前の部屋を確認するよりも長い時間がかかっていたが、トゥトが振り返りライトをゆっくりと手招きする。

その時間でライトは少し冷静さを取り戻すも、体が熱くなってくるのを感じながら、

ゆっくりとトゥトのいる場所まで近づいていく。


「・・・か助け・・・」

「・・・ぃや・」

「グゲグゲゲ」「ガゴガ、ガゴガゴ」


ライトが近づくにつれて様々な・・・声が聞こえてくると同時に

ゴブリン特有のにおいと獣を解体した時のようなにおいが鼻に付く。


そして、トゥトの傍まで来て部屋の中を覗きこんだ瞬間にトゥトから口元を手で押さえられる。


ライトは一瞬、ビクっと飛び跳ねそうになったが、トゥトの意図を理解して、コクコクと2回頷き、

息を殺して改めて中を見る。


中は先ほどの部屋よりも数倍の広さがあり大広間となっていて、数か所かがり火が焚かれ、ゴブリンの居住スペースのようであった。


そして、


数か所でゴブリンたちが輪になって女性を襲っている。


それを見てライトは息を飲み、奥歯を食いしばる。



トゥトがライトの口元を手で押さえたまま、顎でこの場からの後退を促す。


ライトが頷くと2人はそのまま後退り、その場から距離を取る。


トゥトが先ほどの部屋まで戻り口を開く。

「生存者は4人、ゴブリンの数は確認できたか?」

「20匹は・・・」

「27匹だ、そのうち武器を持っていたのが6、魔法使いらしきが1だ」

ライトが頷く。

「初撃で武器持ちと魔法使いをやれるか?」

ライトが頷く。やるしかない。

「その後は順次、近場から対処していけ、素早くだ」

ライトが小さく頷く。

「生存者には目をくれるな、対処はゴブリンを殲滅してからだ」

「わかったから、早くたすけなきゃ・・」

ライトはそう言って大広間の方を指さすが、その指と腕が震えている。


トゥトはライトのその手を取りもう一方の手を肩に乗せ

「助けたければ、落ち着けライト、焦りは禁物だ。

いかなる場合も冷静に行動を選択できる判断力が重要だ」

小さいが落ち着いた声でライトの瞳を見ながら言う。


フー。深い息を吐いていた。

そして、ライトは自分の呼吸が浅くなっていたことに気づいて、

もう一度深く息を吸って吐いた。


「わかりました、トゥト」


その言葉を聞いてトゥトはライトから手を放し、大広間へと向かう。



大広間の手前でもう一度トゥトが様子を窺い、ライトもそれに倣う。


今度はライトも武器を持っているゴブリンと魔法使いらしき個体を確認できたので頷く。


トゥトが指を3本立て、それが2、1、と減って0の時に手を振った。


それに合わせてライトがサンダーボルトを放つ。


7本の閃光が各個を貫く。

その威力は当たった個所に果物大の穴を穿つほどだった。



それが戦闘開始の合図になる。


トゥトは自身の弓に矢を番え、対応の早い個体に向けそれを放つ。


ライトは近場の4匹の集団を目標に定め詠唱する。


その中にはすぐに対応できる者はいなかった。


女性を組み伏せていたもの、手を押さえていたもの、その行為を見ていたものたちがその場で固まっているのを纏めて撃ちぬく。


ドサドサドサドサ。


ライトは集団が全滅したのを確認して次に向かう。


「ゴギャゴギャガ」

「ガガゴガー」


次の集団は行為を中断しライトへと向き直る。


「遅い」


ライトがそう思ったころには詠唱が終わって5筋の閃光が5体のゴブリンを貫いていた。


ドサドサとゴブリンたちが倒れる。


ライトが次の集団に向かおうとした瞬間に足を掴まれる。


ライトはギョッとしその掴んだ手の主を見やると、

ゴブリンの血や内臓にまみれた女性が必死に両手でしがみついていた。


「たしけへ・・・たしけ」


「落ち着いて・・・」

ライトがそう言う間もなく、女性はライトの足から腰へと手を伸ばししがみつく。


ライトの体重では支えきれず、押し倒されてしまう。


女性はさらにライトににじり寄り完全にライトの腰に手をまわしガタガタと震えながら

「おにかひ、、こわぃ、の、、たしぃけ・」

目は見開かれ焦点が定まっておらずそう繰り返す。


「ゴギャゴギャ」

「ギョギョギョギャ」


その声とドタドタと足音が近づいてくる。


「はなして!」

ライトはそう言って女性を振りほどこうと手で押しのけようとするが、

ガチっと革鎧のヒモを掴まれて引き剝がせない。


ドタドタドタ


足音が近く大きくなる。


「ライト!」


女性の眼前でライトの右手が強く発光する。

「キャ!」

女性は反射的に手で目を覆い

その隙にライトは女性から抜け出し、接近中のゴブリンと対峙する。


手前の3匹のゴブリンも発光の影響で手を伸ばし顔を背けている。


その後ろから2匹のゴブリンが前の3匹を押しのけ目前に迫ってくる。


2匹のゴブリンは粗末なショートソードを振り上げ

「ゴギャー」

叫びと共にライトに襲い掛かってくる。


ズムッ。


左のゴブリンの側頭部に矢が刺さる。


ライトはそれを見て体を左に向けて跳ねる。


ギンッと音を立て、ライトの元居た場所にショートソードが突き刺さる。


「サンダーボルト!」


ライトの詠唱と同時に光の矢がショートソードを引き抜こうとしているゴブリンの胸を貫く。


「サンダーボルト」

続いて、3匹を纏めて片付ける。



フー。

ライトは息を吐き、呼吸を整えながら周りを見渡す。


ズムッ。


トゥトの放った矢が離れた場所で女性に向けてショートソードを振り上げていたゴブリンの頭に刺さる。


立っているゴブリンは残り2匹と

かなり大きい

どっかのギルマス並みの大きさのゴブリンが凄い形相でライトを睨んでいた。

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