28 コルフェのダンジョン
コルフェのダンジョンの石畳を進む3人組
前衛のライトは軽めの革鎧に左手に小型のバックラーが付いた手甲を装着し、
短めのショートソードを両手で振れるようにしている。
後衛のヨークは胸当てを装備しメイスを両手で握り、背中に小型の木製の盾を背負っている。
少し離れて付いてくる、教官は謎装備。緑色の髪に目のすぐ上からバンダナを巻き長身細身の締まった体付きで軽装、動きやすさ重視のようにライトには見える。
ナイフは腰から下げているがそれ以外の武器すら携帯していない。
もともとライトのマジックバックがあるので大荷物になることはない。
パーティー全体としても移動にかかるストレスは少ない。
ダンジョン地下1階での訓練を終えて実践のダンジョン地下2階を
パーティーリーダーのライトが指示を出しながら進んで行く。
初の2体同時戦闘を終え魔石を回収して戦闘後の処理も終わる。
「行けるね」
「行けるヨ」
顔を見合わせて頷き合い先へと進む。
ライトが森で養った気配察知を使いながら進み、
ヨークは簡易なマッピングをしながらライトに付いていく。
トゥトはその後を、少し間を開けて付いていく。
初級ダンジョンだけあってモンスターとのエンカウントは多くなく4,5回の戦闘はあったが同時に3体以上と遭遇することもなく、2人は危なげなく倒していった。
「順調~順調~」
「うん、ギルドの戦闘訓練と同じく動けるようになってきたヨ」
「実戦経験は訓練のソレにまさること数倍だ
魔法で全部倒してたらその感覚は得られなかっただろう」
トゥトが付け足して言う。
「うん、良くわかるヨ」
ヨークは言葉で、ライトは頷きで返す。
そのまま何事もなく地下3階に降りる階段を見つけ、
地下3階も小さな宝箱を一つ見つけた以外は大した問題はなかったのだが、
「た、た、宝箱だヨ!ライト!」
ヨークが今日一番の大きい声で宝箱に駆け寄っていった。
「ヨ、ヨーク、落ち着いて!」
ライトもワクワクが止まらないが一応、ヨークにそう声を掛ける。
(まあ、初めての宝箱は誰しも舞い上がっちまうか)
トゥトはそう心で呟く。
2人が宝箱の前で待ての姿勢でこっちの顔を覗き込んでいる。
「この階層じゃ罠なんか掛かってないから開けてみな」
トゥトの言葉に2人は一瞬顔を見合わせ
小さい宝箱に2人で手を掛けて蓋を開けてみた。
ドキドキしながら2人は中を覗き込む。
中には木彫りのペンダントが入っていた。
それをライトが手にとってトゥトに見せる。
「守りのペンダントだな、着けると少しだけ身守りが上がる。
あと、その窪みに魔石を嵌めると魔石の効果が付与される」
ペンダントを裏から見ると確かに窪みが一つ空いていた。
「発見したアイテムをどうするかの判断もリーダーの仕事だ」
ライトは手にしたペンダントを一瞬みて
「ヨーク、後ろ向いて」
「・・・・」
ヨークが黙って後ろを向く。
ライトはヨークの首筋に後ろからペンダントを着けてあげる。
ヨークは着けて貰ったペンダントを右手で持って見下げながら固まっている。
「良し!これでヨークの身守りが上がったね」
ライトは嬉しそうに言うが、
ヨークは言葉が返せない。
・・・首から熱が上がってきて頬や耳が熱い。
(もう、見てらんねぇーな)
トゥトは心の中で舌をだす。
地下4階では新しいモンスターと遭遇した。
人型に狼のような顔をしたコボルトとライトが手を大きく広げたくらいのバット、
そしてネバネバ糸で絡めとる攻撃をしてくる大きいクモ。
「ッ・・・・・・・・・・・・・・・ヒッ・・」
ライトが息を吞む音と間があいて呻くような声の方を見ると
ヨークは逆立ったかのように毛が広がっていて、小刻みに振動していた。
「ク、、、、ク、、、、、モは、、、、、ダメ」
人の頭ほどの本体から矢を2本継ぎ合わせたような足が8本生えていて、ダンジョンの壁を這っていた。
ヨークは振動しながら、少しずつ後ずさるも、足元がおぼつかない。
「女は虫とかレイス系のモンスターを本能的に怖がるところがあるからな・・・」
そう言いながらトゥトがナイフで両断する。
「苦手があることを知り、少しずつ慣れてくしかないな」
「ぼくが全部倒すよ」
「ま、そういうわけにもいかないんだけどな」
ライトの意見をやんわり否定しながらトゥトがジャイアントスパイダーが消え出てきた魔石を拾う。
ジャイアントスパイダーが消えたのを確認してヨークはようやく胸を押さえながら一息つけた。
「自分でもあんなに震えるとは思わなかったヨ」
息を整えながらそうヨークが言うと
「ああいうのは魔法で遠距離攻撃で倒して構わない。100匹も倒せば慣れてくるだろう」
トゥトによれば
逃げたり向き合わないのさえ選ばなければいいとのこと。
なので、この階で出てきたGSは殺気だったヨークがMMで瞬殺していた。
「背中がゾワゾワするのが少し減ってきた気がするヨ」
はヨーク談であった。
その後、地下5階への階段で食事休憩を取る。
「ヨーク、何食べたい?」
「ライトにお任せします」
「じゃあ」
ライトはそう言ってマジックバックから皿を取り出し、
その上にトマテ亭の朝食にでる腸詰に赤いソースがかかっているパンとバナジの黒クリームソースのクレプを載せてヨークの前に差し出す。
「・・・いつもありがとう、ライト」
ライトは笑顔で頷きコップに皮袋からケモモジュースを注ぎヨークの座っている横に置く。
「トゥトは?」
「お前と同じでいい」
「じゃあねーえ、これと・・・」
そう言いながら同じよう皿を出しその上に唐揚げ挟みパンとホーンラビットの串焼きが2本乗せられて、ケモモジュースのコップと一緒に渡される。
「いつもながら、普通よりいい飯くってるな」
「うん。ライトといると食事の感覚が狂うヨ」
2人の会話にライトが
「ん?そう?足りないならもっとあるよ」
2人はフルフルと首を振る。




