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20 魔力循環

ヨークとパーティーを組むことになった翌日。

北の森で採取をしながら今後の方針を2人で話し合っていた。


「G級は見習いで採取と手伝いしかできないけど、F級に上がるときに戦闘訓練があるんだヨ」

「戦闘訓練?」

「ある程度の戦闘力がないと冒険者として認められないんだヨ、F級(ビギナー)の死亡率が一番高いからね」

「どんな訓練があるの?」


ヨークの話によると、

職業に応じた武器の取り扱いと実践的な戦闘訓練。

魔法使いには初期魔法の知識と修練。

F級に上がったら冒険者としての知識と先輩冒険者とのクエスト実践。


「F級になるまでにやっておけることは?」

「ライトは魔法使いだから魔法の研修を受けて魔法の種類を増やすのが良いとさっきギルドの職員さんが言っていたヨ」


今朝もギルドで待ち合わせをしたのだがヨークは早めに来て、ギルドで色々なことを聞いておいてくれたらしい。


「色々聞いといてくれてありがとう、ヨークはどうするの?」

「うーん、迷ってる。どうしよう?」

ヨークは思案顔だ。


「それならヨークも魔法使いになろう!僕が教えてあげられることもあるからね」

ライトは笑顔でヨークに言う。

ヨークは少し考えて、

「わかったヨ、ライト。わたしも魔法使いになる」


それからさらに色々なことを話し合った。


まず、日々の稼ぎの話。

ライトはお金には困っていないので急いでクエストをこなす必要はあまりないので、ヨークが必要な食材と稼ぎ分の3倍の採取をして2人(2:1)で分配すれば十分、街での生活は問題なくできること。

ライトのマジックバッグの中にはアカマット村で採取したキノコや魔法の練習中に狩った鳥や小動物が大量に秘蔵されていること。

なので採取にかける時間以外は魔法の修行にあてたいこと。


次にこれからの方針。

ライトの大きな目標は冒険をしていつかドラゴンを倒したい。

ヨークは家族の食生活が安定してお母さんとホークが元気で生活できること。


ライトはサンダーボルトとライトの魔法と身体強化が使えること。

ライトがヨークに教えてあげられることは魔力循環と魔法の練習方法、それと身体強化。


「じゃあF級冒険者に向けて2人で新しい魔法をギルドで教えてもらおう、そして魔法の練習だね」

「うん、ライト、わたしもそれでいいと思うヨ」

「どうすれば魔法を教えてもらえるの?」

「ギルドで申し込んで教官の空きがあれば教えてもらえるみたいだヨ、明日ギルドで申し込んでみよう」

「うん、わかった、じゃあ今日は魔力循環をやってみよう!」

「わたしにできるかな?」

ヨークは初めてのことで戸惑いがちにライトの顔を見る。

「やってみよう、手を出して」

ライトはいつもの笑顔でヨークを誘い両手を出す。

ヨークはオズオズと両手をライトに向けて差し出す。


ライトはヨークの両手を軽く握ってから言う。

「人の魔力は心臓の隣にある魔臓で作られてためられているんだって」

「うん」

「でも、使わないと筋肉と一緒で発達しないから魔法使いになるならどんどん使ったほうがいいんだ」

「うん」

「じゃあ、ちょっと魔力を循環させるね」

ライトがそう言うと目を閉じたのでヨークも目を閉じて視界を塞ぐ。

少しすると左手のライトが握っている部分から何かが入ってくる感じがしてヨークは思わずビクっとしてしまう。

「大丈夫?」

「うん、ちょっとびっくりしただけだヨ」

「じゃあ、続けるね」

「うん」


ライトが平然としているのでヨークもそれを受け入れようとしていると握られている指先からゾワゾワとした痺れるようなものが伝わってくる。

それは手から手首、肘とゆっくりと身体に向かって上がってくる。

ヨークは初めて味わう感覚に身悶えながら耐えている。

やがてそれは肩を通り心臓の近くに来た時に急に弾けた。


「ヒャンッ!」

ビクンっとヨークの身体が大きく跳ねてその場にへたり込む。


ライトも驚いて手を放しヨークの様子をうかがいながら聞く。


「だ、大丈夫、ヨーク?」


ヨークは胸の前で手を交差させて肩を抱いている。

息も絶え絶えでいつもは色白な顔も今は真っ赤だ。


ハァハァと息を切らしながらヨークは小さい声で、

「な、なんか、ライトに私の大事な場所を触られたヨ」


「ええええー」


魔力の質が違う相手には魔力が反発することをライトはこの時はまだ知らなかった。




心臓がドキドキと高鳴っている。


呼吸が苦しくてうまくできない。


さっきライトのゾワゾワに触られた場所から何かがヨークの全身を駆け回っている。


肌をくすぐられる感覚を身体の内側、内臓や指先、頭の中まで撫でられている感じがする。

その感覚が身体を巡る度にヨークの身体がビクンっと反応してしまう。

顔を真っ赤にして浅い呼吸を繰り返し額には汗を滲ませ前髪が張り付いていた。



「ヨーク、大丈夫?」


ヨークの(つや)やかな姿を目の当たりにして戸惑いながらも心配で声を掛けるライトに向かって、

息も絶え絶えのヨークが手を伸ばして名を呼ぶ。


「ライト、ハァハァ、手を握って」



ライトはへたり込んでいるヨークの身体を開くように手を取り自分の身体で背もたれを作るようにして楽な体勢を作ってあげる。

そのおかげか少し呼吸がしやすくなり身体も落ち着いてきた。


「ハァハァ、ライト、何をしたの?」

「ヨークの身体に僕の魔力を流したんだ」

「ライトのま・りょく・・」

「妹に同じことをした時はこんな風にならなかったんだけど」

「妹さん」

「うん、あと師匠に魔力を流された時も普通だったんだ」

「そ・なんだ」


ヨークはそれを聞いてから大きく息を吸い込んでハァーと大きく吐き出した。

「ライト、お水飲みたいヨ」

「うん」


そう言ってライトはマジックバックから革製の水袋を取り出してヨークに渡す。

ヨークはそれを受け取らず口を開ける。


ライトは一瞬ドキッとしてヨークの顔を見ると涙目で伏し目がちでもライトの目を真っ直ぐ見ていた。

丁寧に慎重にヨークの口に水袋の口を合わせ少しづつ水を滴り落ちるように絞り出す。

ヨークはコクコクと喉を小さく鳴らして水を飲んで一息ついてから言う。


「ライトのエッチ。責任取ってヨ」


「ええええー???」


ライトはわけもわからずただ驚きの声を上げていた。



その日はもうしばらく休んでからそのまま帰ることにした。

ヨークはその後、別段、体調不良はなかったが、胸の奥、心臓の近くがずっと撫でられているような感触が夜まで続いたのだった。

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