98 戦う理由
「どうして戦争を起こすの?」
「戦争?そんな野蛮なものではないわ、これは聖戦、聖なる戦いよ」
ライトの問いに金の瞳のシスターが無表情のまま答えた。
「そんなことしたらエルフの人たちが困るじゃないか」
「エルフ?そんなもの、羽虫や家畜と一緒で価値はないわ」
「それは理不尽って言うんだよ!」
ライトの言葉に怒気が籠っているが、
「虫がなにを言っても意味ないわ」
無表情を崩さずそう言い放つソシアをライトは睨んでいる。
「ぬし等も同意見か?」
オカリナが2人の男性に問う。
「ま、命令だからな」
パラディンが答え、
「・・・・」
殿下と呼ばれた男は答えられない。
「今も民兵が死んでいるぞ、戦となれば、ほぼ、生きては帰れまい」
「聖戦だからな、命よりも尊い」
アドルファが不敵な笑顔で応えるが、
「戯言を・・・殿下もそうお考えか?」
オカリナはオースに問いただす。
「・・・・わたしはエルフを10人捕えて帰らねばならない・・・」
「何故だ?」
「・・・・・」
「病の者でもおるのか?」
オースがビクッと反応した。
「我等を喰らおうが病なぞ治らんぞ」
オースが奥歯を噛み、
「ではどうすれば良いのだ?こんな過酷な行軍をし、臣民を無碍に死なせてここまで来て・・・
フロレーシアも失うのか?」
「魔法で治らなかったの?」
「試せる聖専術は全て試した・・薬師の薬が僅かに苦しみを抑える程度だ・・・」
オースが顔を抑え、苦しむように俯く。
「フロレーシアの病気が治るなら戦争は止める?」
ライトが期待を込めて聞くと、
「ここまで来てそうもいかんだろう」
アドルファが頭を抑えながら答えるが、
「何か治す方法があるのか?」
オースが顔を上げ、ライトを見る。
「万能薬って効くかな・・・」
「エルフの飲み薬か?」
ライトが頷く。
「じゃあ、それも貰って、エルフも捕まえなきゃね」
無表情のままソシアが言った。
「そう言うことだな」
アドルファも同意するが、
「あくまでも争うというのか?」
「争う?・・・違うわ、これは浄化よ」
オカリナの問にソシアが別方向の回答をする。
「戦争を止めるなら、ご飯も食べられるよ!」
ライトが大きな声で言った。




