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97 どうして戦争を起こすの?

アロスが舞い降り、リータとオカリナが偵察から戻ってくる。


「どう?状況は」

ライトが聞くが、

リータは答えられず、顔色が悪い。

代わりにオカリナが口を開く。

「惨憺たる状況だ・・・」

そう言うオカリナの表情に怒りの炎が見て取れたため、ライトも口ごもる。


「・・・行軍の限界を超え、倒れる者も多く、

その場で倒れた者は後の行軍に踏みつぶされ、路肩に倒れた者は捨て置かれた」


オカリナがそこまで話すとリータが嘔吐し、ヨークがその介抱をした。


気丈なリータが・・・ライトは自身の心が構えるのを感じた。

ライトのその表情を見て、オカリナが続ける。


「行軍が遅いのは、軍の後に死人の群れが続いておった・・・聖教国だけあって、死霊術にも長けているのであろう」


周囲から、息を飲む音が聞こえ、

近衛騎士の2人やケリーにも緊張が走る。


「目的は何だと思う?」

「あ奴らはリ・コンクエストを唄っておる、全ての土地は自分たちのものだという意味だ」

「エルフや獣人族は?」

「皆殺しか良くて奴隷であろう・・・」

「・・・理不尽だよそんなの!」

オカリナが頷き、

「我等は長命ゆえ、無意味な諍いは好まんが、人の子等は数度代替わりすると、

同じ過ちを繰り返す」


そこまで言って、ライトが立ち上がる。

「どうした?」

「ちょっと話、してくる」


「ライト!」

ライトの意図を理解したヨークが慌てた様子で立ち上がり、ライトに駆け寄ってくる。

「大丈夫だよ、ちゃんと帰ってくるから」

「でも・・・」

ヨークはその後の言葉を飲み込んだ・・・必死な想いで。

「わかったヨ」

そして、そう、絞り出した。


ライトを見つめるヨークの薄水色の瞳は潤んでいるが、ライトはヨークの頬に手を添えて、

「ありがとう」

と言った。



「我もゆくぞ」

「・・・うん、行こう」

ライトとオカリナはアロスに跨り、飛び立っていった。





アロスが何度目か、軍隊の上を飛ぶ。


ゴルドヴェルナ聖教国の行軍は先日の半分の距離まで森に迫っていた。

そのことによってライトの緊張感は高まり、息苦しさを感じる。


ライトが見下ろしてる間にも数人が倒れ、脱落し、

もはや、完全に民兵の限界は越えているように見えた。



行軍を見下ろしながらしばらく飛ぶと、騎兵が守る馬車の一団が見える。

ライトはオカリナに頼んで、アロスを少し離れた地面に降ろしてもらい、徒歩で近づいて行く。


馬車側の数名もアロスの接近に気づいていたが、攻撃の意思がないことがわかると、

やや緊張を解いた感じがした。


そんな中、斧が付いた槍(後でロビンソンにハルバードだと聞く)を持つ騎士が一騎で駆けてくる。

「エルフと小僧が何の用だ?」

「偉い人と話に来た」

「話してどうなる?」

「戦争を止めればご飯を出すよ」

「・・・・ふん、面白い、着いて来い!」



「粗野なパロディンなことだ」

「パロディン?」

「ああ、聖騎士とも言う」

「カッケー」

小声でライトとオカリナが話している。


馬車に近づく。黒い意匠が細部にまで施された頑丈そうな馬車の扉が開き、中から2人の人物が降りてきた。

1人は20代前半の長い蒼髪を後ろで纏め、精悍な顔立ちの騎士風の男性。

もう1人は教会のシスターだが、金の瞳を細め、無表情な印象。



「こんにちは!僕はライト、こっちはオカリナ」

「・・・紅星流のオカリナか?」

パロディンが聞くとオカリナは無言で頷く。

「いきなり、伝説のエルフとご対面とは恐れ入るぜ・・・

俺はアドルファ、そこのシスターがソシア、こちらがオース殿下だ」


ライトは皆の顔を見回し、単刀直入に聞く。


「どうして戦争を起こすの?」

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