96 ライトの作戦
アロスが飛び立った地点に舞い戻り、着地する。
何処からか見ていたであろう、ヨークが駆け寄って来て、
「おかえり」
「ただいま、ヨーク」
ケリーやルーベント、リュートやエルフの住人達も近づいてきたので、オカリナが状況を共有する。
「全軍の総数は2万は越えておった、行軍は遅く、森まで3,4日はかかろう。
ほぼ、民兵で騎兵は数えるほどしかおらん・・・」
オカリナがそこまで話すと、リュートを見る。
「何があった?」
リュートがオカリナの視線に何かを感じ応える。
「恐らく、フォルテがおる、我等にウォーターランスを放ってきおった」
「な・・・ばかな」
「民兵もそうだが、何者かに操られている節があった」
「うん、アロスで飛んでても、誰も反応しないんだ、ただ、歩くだけみたいな」
「あと、もう一人エルフの女の子がいたわ、囚われている感じだったけど・・・」
ライトとリータも見てきたことを話す。
それから、3人はできるかぎり状況を話した。
「して、策はあるか?」
ルーベントがエルフ陣営に問う。
「森に人の子を入れるわけにはいかん」
「森が荒らされちゃうからね」
リュートの言葉にライトが補足する。
「では、防衛戦だな・・・」
そういってルーベントが顎に手を当て考え、
「うちの近衛は1人で200人の民兵を斬れるか?」
「野戦では出来かねましょう、強固な陣と代えの武器があれば・・・」
ルーベントの問に、後ろで控えていたロビンソンが苦悶の表情で答える。
「だよな、うちは戦争経験ないからな」
「オカリナと我が魔力の限りを尽くせば・・・半分は止められよう・・・」
「リュート様・・・・」
周りのエルフたちに動揺が走る。
ライトが何かを感じ、
「オカリナはそれをするとどうなるの?」
「フフ、多分、長い眠りに就くな」
それを聞いてヨークがライトの手を掴み、
「・・・エルフは死ぬことは無い・・・眠るだけ・・・だヨ」
と教えてくれる。
「そっか・・・じゃあ、僕がやる!」
ライトが手を挙げて行った。
その日のうちにライトは行動を開始する。
ライトは最初に土魔法で塁を築き始めた。
カインズの街の外壁くらいの高さで、人力では簡単に塁壁は乗り越えられない。
それは塁沿いに成人男性が鐘2つ分(約4時間)走っても切れない長さがあった。
アロスとオカリナに協力してもらい、
森の切れ目からやや距離を置いてアロスに荒地を森と並行に走ってもらい、ライトはその背に立ち、土魔法を行使し続けた。
「見事な魔法だ、ライト」
「我、オカリナの盟友、ライトなり」
ライトはおどけた態度で返すが、
「ああ、感謝する」
と、オカリナは感謝のポーズをとった。
次の日には、昨日とは反対方向に塁を築き、土魔法で中央に簡易な門を設置する。
完成した塁を見て、ヨークが
「ライト、凄い、魔力量だヨ」
と驚いていたが、
「土は荒地に沢山あったから、簡単だったよ」
と、ライトに返されて、聞いていた皆が呆れていた。
ライトはルーベントに近づいて、
「王さま、頼んでおいたことは大丈夫?」
「ああ、任された・・・お前、俺とも約定を交わすか?」
「ええ、それはいいや、でも、食べ物をたくさん用意しておいて欲しいんだ」
「何でだ?」
「たぶん、みんな、お腹空いてるだろうから・・・・」
「・・・・ハッハハー!帝国に回す半分を、こっちに回そう、転移魔法陣の魔力を頼む」
ルーベントはオカリナを見ると、オカリナは頷き、リュートに頼みに行った。
「じゃあ、俺は一旦、国に戻って準備をしてくる、何かあればロビンソンに言ってくれ」
ルーベントはロビンソンを一瞥すると、近衛団長は王の前に膝まづいて、恭しく礼をする。
ルーベントが帰ってからも作戦会議は続き、その間、
オカリナとリータはアロスに乗って偵察に出ている。
ライトがロビンソンとレーモンに、
「お願いがあるんだけど・・・・」
とすまなそうに言うと、
「何でも申し付けてくれ、騎士として請け負う!」
「それじゃあ・・・」
ライトはあることを近衛騎士の2人にお願いした。




