表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/173

94 嫌ね、戦争って

伏せているマンティコアのアロスの背に乗るライトとリータ、

それを支える様にオカリナが一番後ろに跨る。


「しっかりと(たてがみ)を掴んでおれ、飛ぶ」


その言葉と同時にオカリナがアロスの背中をポンと叩く、

すると、アロスは2,3歩助走を付けて、空中へと駆け出す。


「わぁ、飛んだ!」

ライトがそのままの感想を叫ぶ!


下を見ると、ケリーは嬉しそうに、ヨークは心配そうに手を振っていた。

ライトはそれに手を振り返したが、みるみる小さく、そして見えなくなった。


周囲の風景が高速で後ろに流れていく。

アロスは空中を掛ける様に飛ぶ、しかし、上空に空は見えない。

緑の天井がどこまでも続いている。


ライトが心配になり、振り返り、

「ねぇ、オカリナ、空が見えないよ」

「心配するな、まぁ見ておれ」

オカリナが軽い笑顔でいる。


少しすると、前方に大きな壁が現れた。

見上げても壁はどこまでも続いていて、上は見えない。


アロスはその壁に沿うように上昇していく。

周囲の森よりも上空に上がると、外は雲一つない晴天。

上空に空の青、下方に緑の絨毯で覆われていて、

見事なまでに、青と緑のコントラストが広がっていた。


「綺麗だわ」「風が気持ちいい~」


リータとライトが感想を漏らし、

「後ろを見てみよ」

オカリナが言う。


2人は振り返ると、先ほどの壁の上に緑が生い茂っている。

「壁の上に木が生えてるの?」

「いや、壁ではない、我らの命の源だ」

「ユグドラシル・・・」

2人は息を飲み、固まったまま、巨大な木を見上げ続けている。


「落ち着いたら、皆をゆっくり案内しよう」

そういって、オカリナはアロスの腹を軽く蹴るとアロスが加速していく。



アロスの首にある鬣のすぐ後ろにリータが跨り、それにくっついてライトが乗っている。


しばらく飛んでいると、森が切れ荒涼とした土地が姿を現した。


朽ちた倒木や何かの骨・・・

乾燥に強い植物だけが、僅かに点々と植生している。


「荒地だね」

「以前は森だったが・・・先の大戦でな・・・

以来、精霊が寄り着かぬ不毛な土地になり果てたのだ」

「精霊がいないと木は生えないの?」

「水の精霊が嫌う土地には水を湛える水源が育たん、故に雨が降ろうと枯れ果てる」

オカリナはそう言って荒野を見る。

「嫌ね、戦争って」

リータがぽつりと呟いた。



それから、アロスとライト達は鐘半分の時間程飛び続け、

「見えた!」

リータが何かを発見する。


ライトも目を凝らし、地平線を見ると微かに何かが揺らいでいるように見える。


「アロス、そのまま飛べ!」

オカリナが険しい表情でアロスに指示を出す。



ライトに揺らぎのように見えたのはやはり、人であった。

近づくにつれ、はっきりと見えてくる。


どこまでも続く人の波・・・

5人が横一列に並び、足を引きずる様に歩いていて、生気は感じない。


朦朧と前進を続ける集団がそこにはあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ