93 留守番するヨ
テーブルを4人で囲む。
座っているのはライト、ルーベント、オカリナ、そして、オカリナの兄リュート。
「聖教国が3万で攻めてくると聞いたが?」
「事実だ」
「この人間たちは?」
「我の盟友であり助力を得た」
「助力など・・・・・いや、オカリナへの助力、感謝する」
リュートとオカリナが話、リュートがライトとルーベントに感謝のポーズをする。
それを見て、オカリナが2人と一行を紹介する。
「ほう、カズス王の子孫とはな・・・」
「兄者は彼の王とは気が合うたからな」
「それと、この少年は・・・」
「我が知る中で真に無垢な少年だ。
人の子と我等エルフの痼りを溶かすやもしれぬ」
それを聞いてリュートがライトをまじまじと見ると、ライトもリュートの目を見て、
「僕は・・・エルフを探したい」
「・・・・」
リュートが言葉に詰まる。
「ライト、そう急くな、まずは戦だ」
「うん、そうだね」
「兄者、状況は?」
「知らせはセェヘ・ニューベーメンへの密者との連絡が途絶えただけだ」
「では、我が偵察に出よう」
「僕も!」
オカリナの提案にライトが即応で手を挙げる。
「「わたしも!」」
それを見て、ヨークとリータも手を挙げる。
リュートの口元が緩み、
「小気味良いな」
小さくそう漏らし、オカリナが小さく頷く。
ピューゥーー
オカリナが高い音の指笛を鳴らすと空からマンティコアが舞い降りてくる。
オカリナが立ち上がり、両手を広げると、マンティコアは嬉しそうにオカリナの顔に頬擦りをする。
それを見ていたのか、エルフの住人たちがテーブルを取り囲むように近づいてくる。
緊迫していた場の空気が緩んで、アロスの登場に今だと言わんばかりに、若いエルフを中心に声を掛けてくる。
「オカリナ姉さま、おかえり」「ご苦労様です!」「姉さまポポは~?」「誰、この子達」「すげー!人の騎士がいる」
「我はもう一仕事あるでな、兄者、後を頼む」
「ああ、わかった、任されよう」
「ライト、アロスは3人しか乗れぬ・・・」
その言葉にヨークとリータが硬直する。
「・・・・・・」
ライトが言葉に詰まっていると、
「いいヨ、わたしが留守番するヨ、そして、エルフの人たちと交流しておくヨ」
「ありがとう、ヨーク」
ライトが礼を言い、ヨークは笑顔で返し、
「偵察はリータの仕事だヨ」
そう言ってリータの背中を押す。
「・・・わかったわ、任せて」
リータが頷く。
ライトとリータがアロスに近づくと、アロスが仕切りに2人の匂いを嗅いでくる。
「ポポの匂いを感じているのであろう」
「貴方のお兄ちゃんとは結構遊んだわ」
そういって、リータがポポが喜んでいた撫で方をアロスにもする。
「アロスもキノコが好き?」
「いや、コレは肉のが好きだの」
「え!あげていい?」
「良いぞ」
ライトはマジックバックから、ミノタウロスの肉を取り出すと、アロスの眼前に置く。
アロスは頭を下げ、肉に鼻が付きそうなほど近距離で匂いを嗅ぎながら、後ろ足がバタバタと地面を蹴っている。
「落ち着け、アロス、頂いてよいぞ」
一瞬、オカリナの顔を見て、ライトの頬を一舐めして、猛然と肉にかぶり付いた。
「王よ・・・・」
「あん?」
「人の子は戦の前でもあのようなのか??」
「アイツは特別だ」
テーブルに残された2人は、数刻前の緊張感が消え去ったかのように、呆然とした表情を浮かべていた。




