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91 美しい街

『絵本の中の世界の様な美しい街だった』


ルーベントの従者である女近衛騎士のレーモンが後日語った言葉だ。


「エルフの国へ行く、着いてまいれ」

リンカーナ国王、ルーベントの言葉は短く、突拍子もない。

レーモンは近衛騎士団長のロビンソンと顔を見合わせる。


先を歩く王に着いていくと、王宮の下層、あまり立ち入る機会のない場所へと進んで行く。

幾重の扉の先に、冒険者と思わしき一団の中に、エルフがいる。


そして、その部屋には禍々しい魔法陣が怪しい輝きを放っていた。



「紹介しておこう、

近衛兵長のロビンソンと女近衛のレーモンだ」


王がエルフにレーモン達を紹介する、レーモンは慌てて兜を脱ぎ、騎士の礼をする。

「オカリナだよろしく頼む」

「は!建国の勇士オカリナ様と剣を並べられるとは騎士の誉」

恭しくロビンソンが挨拶の言葉を述べる。

(ほ、本物なの!?)

子供の頃から飽きるほど聞いた伝説のエルフが今、レーモンの目の前にいる。


「よし、行くか」

ルーベントが転移魔法陣の方を見る。


「行こう!」

少年が元気に応え、エルフの手ほどきを受けて、魔法陣を起動する。


(え、もう!?馬車とか馬とかじゃなくていきなり!)

レーモンが心の準備する間もなく、魔法陣が光だし、準備が完了する。


エルフが魔法陣に乗り、王がそれに続く、

もちろん、近衛を任じられたからには王が行くところどこへでも着いて行く

その矜持に微塵の曇りもない。

レーモンは心で自分にそう言い聞かせ、魔法陣に足を踏み入れる。


その後ろから少年少女の冒険者が付いてきた。


魔法陣が眩く光ると浮遊が感じられ、次に目を開けた時には景色も空気も変わっていた。

レーモンの警戒心は一気に高まるが他の者たちに緊張は見られない、

むしろ、少年と同じく、王も楽しんでいる節さえ感じられる。


魔法陣が設置してある施設をでると見たことのない、異様な森が待ち受けていた。

(め、面妖な)

レーモンが心の中で呟くが、

先頭を歩くエルフがどんどんと森の中へと踏み込んでいき、王がそれに続く以上、

レーモンも付き従う以外の選択肢がない。


ピィー


怪しい笛の音が聞こえ、レーモンが身構えると、

周囲の木上に数人の気配が現れた。


ピィー


オカリナがそれに応えると、銀髪のエルフが姿を現し、オカリナと会話のやり取りをしている。


そして、エルフの男が先導に変わり、

妖精が現れ、オカリナと会話している。


王命を受けて、まだ僅か半刻も経っていないかもしれない・・・・

この僅かな間にレーモン自身が体験したことはまさに、夢のようだ。

そして、それは、まだ、ほんの入り口に過ぎなかった。



「美しい・・・・」

レーモンは眼前に広がる街並みを自我を忘れて見入っている。


太い木々が天高く聳え、その中腹にテラスや出窓、生活感のある部屋があちらこちらに点在し、

緑の蔦の階段や大きな葉がそれらを繋いで通路になっている、

まるで、森の中の動物の隠れ家に小人になって紛れ込んだのかと感違いしてしまうほど、

見たこともない洗練された緑の街並みが広がっていた。




「すっごい!これがエルフの街!」

ライトが大きい声を出し、感想を口にする。

「そうだ、ライト、だが、我らの多くは人の子等をよく思っていない者が多い。

我も両親を人の子等との戦争で亡くした」

「じゃあ、なんで、わたし達をここまで連れてきたの?」

ヨークがオカリナに聞く。

「其方らを会わせたかったからな」

「私たち??」

驚くヨークに、

オカリナは優しく微笑みゆっくりと頷く。


「助け合い、共存し、分かち合う・・・

我は其方らにそれを見た。

それを他のエルフたちに見せたいのだ」


「わかったよ、オカリナ!、あ、違う、あい分かった、オカリナ」

ライトは王様の真似をして、大仰に返事をする。

それを見て、周りの者たちは笑うが、

ヨークだけは感動に打ち震えている。


『ライトを独りぼっちにしないヨ、同じ目線で沢山経験して一緒に成長していきます』


ライトとパーティーを組んだ日に誓った言葉、

冒険の途中での学びと経験と成長。

そして、ライトの人となりが・・・


エルフのリンカーナ開国の英雄のオカリナにその言葉を言わせている。


「う・・・うぅ・・」

ヨークは我慢しきれず、ライトの肩口に目頭を押し当て、嗚咽を飲み込もうとするが、

「ヨーク、どうしたの?」

ライトが狼狽しヨークの白い髪を見下ろしても、

ヨークは小刻みに首を振るだけで応えられない。


仕方なさげに、反対側にいるリータが

「多分、ライトが褒められて嬉しいのよ・・・」


と、少し悔しそうに言った。

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