89 転移魔法陣
「ねぇ、早くいこーーー!」
ライトが皆を急かすように魔法陣を指差して言う。
「慌てる出ない、ライト、王にも準備があろう」
オカリナが窘める。
王ともあろう者が、先さわりのあっただけで、いきなり冒険者と国外に行くのになんの準備なくでかけられるものではない。
「そうよライト、少し落ち着きなさい」
以前は見下ろしていた視線がほぼ並んできたリータがライトに言う。
よくよく見ると肩ががっしりとし、手足も大きくなってきている。
(ライト、大きくなったわね、まぁいつも、あれだけ食べればそうなるわね)
ヨークはルーベントに借りた本を出し、エルフの国の予習をして、
ケリーはトゥーハンデッドソードを布で磨いている。
そこにルーベントが2名の騎士を伴って戻って来た。
「待たせた」
それだけ言ってオカリナの前に立つ。
「紹介しておこう、
近衛兵長のロビンソンと女近衛のレーモンだ」
白地に金縁の入った全身鎧に身を包んだ2人は兜を外し、膝を付いてオカリナの前でこうべを垂れる。
「オカリナだよろしく頼む」
「は!建国の勇士オカリナ様と剣を並べられるとは騎士の誉」
恭しくロビンソンが挨拶の言葉を述べる。
「よし、行くか」
ルーベントが転移魔法陣の方を見る。
「行こう!」
「ライト、魔力を込めるのを手伝ってもらえるか」
「うん、どうすればいいの?」
そう言ってオカリナは両手をライトに差し出すと、ライトがその手を取る。
それを確認してオカリナが魔力を流し始め、言う。
「魔法陣に必要なのはこの魔力だ」
ライトは目を閉じてイメージを感じ取っていた。
すぐに目を開けて、
「わかった!」
と、元気よく応える。
「では、右手をそこへ」
そう言ってオカリナがライトの左手を握ったまま、
魔法陣の外円の膨らんだ印のようの部分を指さし、
自分も似たような印に左手を置く。
ライトが印に右手を置くと、魔法陣の外円が白く発光しだし、それが満たされるごとに光が内側の線に広がっていく。
「オカリナがライトに転移魔法陣の使い方を教えた・・・」
ヨークが呟く。
「盟友だからな」
小さい声でルーベントが応えた。
やがて、魔法陣の全てに魔力が行きわたると、光が白から青っぽくなった。
「これでよい」
オカリナが魔法陣から手を放し、ライトも手を放した。
「この光ならば2~30人は転移できよう、100人転移する場合はもっと青く光らせる必要がある」
オカリナが使い方を説明してくれた。
「あい分かった!その時はライトよろしく頼む」
「お任せください、王様」
「よろしく頼むぞ盟友」
「あい分かった!オカリナ」
真似するライトをルーベントが笑って見せた。
いよいよ、ハイドランドへ転移する。
ヨークがスルスルとライトの左隣に移動してライトの手を取る。
反対側の手はリータが確保していた。
ケリーはライトの後ろから両手首のを掴んでいる。
「よし、行こう!」
ライトの掛け声で、一行が皆、魔法陣に乗り込む。
魔法陣全体が強く発光したかと思うと、光の中に取り込まれ、浮遊感を感じる。
ダンジョンの転移よりも、少し長く感じたが、光と浮遊感が収まると別の部屋へと移動していた。
石造りの地下室から、土で造られた部屋になっている。
「着いた?」
ライトがオカリナの顔を見ると、オカリナはゆっくりと頷いて、
「良くぞ参られた、我が里へ」
そう言って歩き出す。
ケリーは手を放したが、ヨークとリータが手を放さなかったので、ライトはそのままオカリナに続いていった。




