フィルムカメラにまつわるストーリーその2
タカト、27歳、都会の賑やかな景色に憧れて上京し、大手カメラ店で契約社員として働いていた彼は、休日になると趣味のフィルムカメラでの多重露光撮影で都会の喧騒と自然の静寂を一枚のフィルムに重ね合わせた。
多重露光は撮影されたコマとコマの重なりからどのような出来栄えになるのか予測不能であり、デジタルと違ってやり直しがきかず緊張は伴うがフィルムの質感による幻想的なイメージにタカトは夢中になった。
タカトは、水族館のイルカと渋滞する道路、青空と夜の街、人々と花畑など、相反する要素を組み合わせ、現実と夢が交錯するような幻想的な作品を創り出していた。
ある日、公園で彼は美しい女性、ミナを見かけた。彼女もフィルムカメラで撮影しており、タカトは興味を持って話しかけた。二人はすぐに意気投合しフィルムカメラと写真への共通の情熱で結ばれた。
タカトはミナをモデルとして多重露光の写真を撮ることを提案し彼女もそれに快く応じた。
二人で町の古い建物や自然豊かな景色を背景に撮影を行い、タカトのカメラはミナの優雅な姿と周囲の風景を見事に融合させた。
ミナも多重露光の面白さに惹かれ、タカトと一緒に撮影を楽しむようになった。
しかし、彼女には遠方の実家に戻らなければならない事情があり二人が撮影を楽しむ時間は限られていた。
彼女との別れが近づくにつれ、写真に対する情熱よりもミナへの想いが強くなっていくことに気づいた。
タカトは、二人の特別な絆を記念するために「フィルムスワップ」を提案した。
それは、お互いが撮影したフィルムを交換し相手が撮影したフレームに更なる画像を重ねる技法だった。
互いに何を撮影したかを秘密にして、このユニークな多重露光に挑戦した。
別れの日、タカトとミナはフィルムを交換し、フィルムスワップを始めた。二人はお互いを撮影しあっていたが、最後の数コマは三脚を使って、タイマー撮影で二人のツーショットを多重露光した。現像された写真は、二人の特別な思い出を切なく美しく捉えていた。タカトとミナは、まるで永遠の時の中で重なり合うように写っていた。ミナが去った後、タカトは彼女を思い出しながら写真を撮り続けた。
彼の写真には常にミナの存在が感じられた。彼女のいない風景にも彼女の影が重なっていた。
タカトとミナは多重露光のように時間と空間を超えて重なり合い、タカトの写真に永遠に息づいていた。
フィルムカメラでの多重露光の撮影は2通りあります。一つは多重露光が可能なカメラです。これはフィルムを空送りして同じコマを重ねて撮影する方法です、私はVivitar V3800Nで多重露光撮影を楽しんでいました。
もう一つは多重露光が出来ないカメラを使って撮影する方法です、フィルムにマジックで目印(線)を入れて一度全コマ撮影します。撮影後に巻き戻してフィルムピッカーでフィルムを先端を出して、目印の位置を合わせてもう一度撮影する方法です。ただ、位置を合わせて撮影してもどうしてもコマとコマがズレて予測不能な写りになります。




