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生きた花たち  作者: 雪の花
18/21

愛に咲くー18 ローレンスとコリンヌの正体

ローレンスは、ちょっぴり不機嫌な朝を迎えていた。それというのも、またもやこのコリンヌという女性が無理矢理執事に頼みこみ(今回は泣き落としでゲット)、自分との時間を取らせたからだ。

ローレンスはコリンヌを避けていたわけではない、毎年のことだが春と秋の薔薇の咲く時期は農繁期で領主も何かと忙しいのだ。いや待て、避けていないとは言い切れないのではないかと、もう一人の自分が囁く。

正直なところ、この台風の目のようなコリンヌ嬢は何か途轍もない秘密を抱えているようで、聞きたいような聞きたくないような気持ちが、心のどこかにあったことは否定できないローレンスだった。

早朝の書斎で待っていると、コリンヌはひどく眠たそうに部屋に入ってきた。


「おはよう、コリンヌ嬢」

「ローレンス様、いくら私が頼みこんだとはいえ、この時間はないんじゃないでしょうか?」

「よく眠れているようだから、たまには良いのではないですか?お話が終わった後にでも、庭園を散歩されると、とて清々しい気持ちになれるものですよ」

「庭園には毎日のように出ていますわ!」

「母とは仲良くやっているようだね。よく話をしているようだけど、どこまで話しているの?」

「私の幼少期から結婚生活、夫が亡くなった後のことについてまでよ。ヴィクトリアとの関係のことまでは言ってないの。このことは当主であるあなたから話すのが筋だと思うから」

「分かった。で、その詳細とは?」

「そうね・・・どこからお話しょうかしら・・・」

「どこからでもお好きなルートでどうぞ。私は理解力はあると自負している」

「一言言わせて、あなたのは理解力ではないと思うわ。女性への理解力はなさそうだから・・・。あなたにあるのは分析力と対策力と行動力よ!」

「それは私を褒めていると思ってよいのだろうか?」

「そうね、スコット領が繁栄しているのがその証拠ね」

「コリンヌ嬢に褒めてもらえるとは光栄の極みです」


何とも嫌な言い回しをする男だと思い、コリンヌはこれから話をする気が弱冠失せていた。まあ、まだ頭が冴えていないというものある。普段の私なら、すぐに言い返している。


「僕はこの後も予定が入っている。話を続けないのならば、これで、またの機会にしましょう」

「ちょっと待って。もう少し、レディーを待つことを覚えた方がよくってよ!」

「では、話を続けると?」


コリンヌはテーブルに置いてあった紅茶をすすり、喉を潤すと、喋り始めた。

「ヴィクトリアと私は双子の姉妹で生まれた。私たちの父は、商人仲間で同じ通りに住むサヴィアン分家が後継者不在で悩んでいたことを知っていたの。本来はサヴィアン分家にはジョサイアという女の子がいたが、本家に後継者指名されてもらわれていった。その時は養父母も若く、次の子どもがすぐに生まれると思っていた。でもなかなか子宝に恵まれず、サヴィアン分家の家督を誰に託すのかという問題は、ずっと悩みの種だった。そこへ双子が誕生し、妹の私を実子として受け入れることを条件に養父母に託したみたい。だから、戸籍上は私は実子で、その真実を知るのに時間がかかってしまった。当事者同士しか知らないことだから、その中の誰かが打ち明けない限りは闇の中。養母(はは)がね、自分も老いてきたし、いつ何時記憶が飛んだり亡くなったりするかもしれないと思った時に、事実を告げないのは酷ではないかと考え、実の両親にも話をして、私に告白したと言う訳。これにはヴィクトリアの死が大きな影響を与えているわ。ヴィクトリアのことがなければ、私は今も、いえ一生知らないまま今生を終えたかもしれない。最初は驚いたけれど、納得がいったの。幼い頃に顔が似ていると言われていたし、妙に気が合ったから。正直、嬉しかった。でも、もっと早くに知っていたらとは考えた。姉と色んなことができたんじゃないか、悩みを共有し相談できたんじゃないかとかね・・・」

「・・・・・」

ローレンスは顎に手を当てて、考え込んでいる。


「スコット領には、何歳までいたの?」

「14歳よ」

「じゃあ、僕に会ったことがある?」

「あるわよ、あなたは忘れちゃったのね・・・。私はこんなにも鮮明に覚えているのに・・・」

「え?」

「木馬を持った男の子でしょ!」

「!!!」

ローレンスは驚愕している。

「まさか・・・あの川に入って拾ってくれた女の子って、君?」

「そうよ」

「確かにあの時、女の子の二人組だった。じゃあ、もう一人の帽子を目深に被っていた子がヴィクトリア!」

「ヴィクトリアはとても内気だったから、外では何も話さない、顔もあまり見せない子だった」

ローレンスは全身の力が抜けていくのが分かった。

「ごめん、話はここまででいいかな?ちょっと用事を思い出してね・・・」

「大丈夫?なんだか急に顔色が悪くなったわよ」

「心配はいらない、また話を聞かせてくれ。今度は僕が君に連絡するよ、必ずね」

「お待ちしているわ、まだまだお話がたくさんあるので。では、今日はこれで失礼します」

コリンヌは、そそくさと出て行った。


書斎に残されたローレンスは、複雑な心境だった。どういうことになる?僕は本当は誰を好きだった?

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