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天恵を宿してしまった魔族の王  作者: うちよう
二章 魔神王即位編
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04 魔神王候補集結

 「おい、第十王子の分際で遅刻とはいい度胸だな~?」


 扉を開いてから一番最初に突っかかってきたのは、べレフォールという名の男だった。

 魔神王直系の第二王子で、黒髪の短髪をした二十代くらいの男だ。

 実力は第四王子に次ぐ実力と言われているが、俺と比べたら正直大したことない。

 体現される魔力量は、額に収まる程度のーー俺の魔力量の十分の一と言ったところだろう。


 本来ならその程度の奴の言うことなど、聞くに値しないのだがこれでもべレフォールは第二王子。

 第一王子同様、第十王子が歯向かっていい相手ではないのだ。

 今はまだ、弱者を全力で演じなければならない。


 「すみません、兄上。魔神王様の訃報を先ほど聞いたために遅れてしまいました」

 「そうか、だが俺たちを待たせたのには変わりねぇ、腹を切って詫びろ。第十王子程度の雑魚が俺たちに出来ることと言えばそれぐらいだろ?」

 

 顔をグイっと近づけて俺に威嚇をするべレフォールだったが、すぐにその顔は遠ざかっていった。

 というのも、彼の肩を掴んで引き剥がした者がいたからだ。


 「そういうのは今はいい、さっさと並べ。時間の無駄だ」

 「で、でも兄貴! こいつは俺たちを待たせたんだ。然るべき罰は受けなきゃならねぇだろ!」

 「俺が並べと言ってるんだ。言うことが聞けねぇのか?」


 立場が逆転したように、べレフォールを威嚇する男の名はガイオス。

 魔神王直系の第一王子にして、魔神王に次ぐ「最強の魔神」と呼ばれている。

 そう、俺が母さんの代わりに復讐しようとしているあのババァの息子だ。


 藍色の長髪を後ろで束ねており、体現される魔力量は額に留まってはいないものの、俺の魔力量の二分の一強と言ったところだ。

 体格は二メートルを超える高身長で、誰も彼の事を見下ろす事ができない。

 同い年くらいの第二王子でもそれが叶わないほどだ。

 第一王子が第二王子に威嚇をしているこの状況を例えるなら、「蛇に睨まれた蛙」と言った言葉がしっくりくるだろう。

 

 べレフォールを睨みつけていたガイオスは、目線の先をゆっくりと俺の方へと向けてくる。


 「こいつの言う通り、それなりの処罰が必要だが生憎時間がない。今回だけは見逃してやる、感謝しろ」

 「ありがとうございます、兄上」

 

 「ふん」と鼻を鳴らすと、ガイオスは踵を返し定位置へと戻っていく。


 「兄貴に感謝するんだな・・・」


 それに続くように、べレフォールも戻っていく。

 俺もどちらかと言えばガイオスと同意見だったので、自分の定位置にすぐさま向かった。 

 並び順は左から順に第一王子、第二王子と続いているので、言うまでもなく俺は一番右端だ。

 右端ーーということはつまり、左には誰かしらいるわけで、


 「だ、大丈夫か? ガイオス兄上とべレフォール兄上に目を付けられちゃって・・・」


 そう口を開くのは、魔神王直系の第九王子であるアスモレオンという名の男だった。

 茶髪をした目つきの悪い兄上ーーと思っていたのだが、それとは裏腹に小心者だったりする。

 年は十二歳とそこまで離れておらず、魔力量は俺の二十分の一くらいだ。

 

 彼がここまで俺を心配する理由、それは俺の事を弱者だと認識しているからに他ならない。

 魔神族は、出ている魔力量で優劣をつけたがる習性があり、俺のように魔力量を引っ込めている奴は誰一人にしていないのだ。

 だからこそ、魔力を秘めた俺の力量を彼は知る由もない。


 「大丈夫ですよ、いざとなったら何でもやってやりますとも」

 「何でもって・・・勇敢すぎるだろ・・・」


 アスモレオンの言葉を最後に、『次世代魔神王選定会議』が無事開かれた。

 『魔神王の玉座』の隣に備え付けられた寝室から姿を現した魔神王(オヤジ)の側近らしき人物が、どうやら進行役を務めるらしい。


 「えー、ご存知の通り、魔神王様がお亡くなりになられたことで保たれ続けていた魔界のパワーバランスが崩壊しようとしています。その崩壊を阻止すべく、これから『次世代魔神王』の選定会議を開会したい、と思っていたのですがーーーー」

 「なら、俺がその役目を引き受けよう」


 言いかけていた側近の言葉を遮るように口を開いたのは、魔界屈指の実力と噂される第一王子のガイオスだった。

 突然の発言に目を丸くしながら何かを言おうとする側近を無視するが如く、第二王子であるべレフォールも身勝手に口を開く。


 「兄貴が魔神王になる必要はねぇよ。俺がなれば全てが丸く収まるじゃねぇか」

 「常識でものを言え、第一王子である俺が魔神王になるのが適任だろう。それに、第一雑魚のお前には責任が重すぎる」

 「何だと!? それじゃあ兄貴よりも強いことを証明できればいいんだな?」

 「やれるもんならやってみるんだな」

 「ちょっと〜、私たちの存在を忘れてもらっては困るな~」


 二人のやり取りがヒートアップする中、口を挟んだのは魔神王直系にして第三王女のサリカだった。

 ウェーブの掛かった美しい水色の長髪に燃えるようなルビー色の瞳をしたスタイル抜群の美女だ。

 年齢はガイオスたちと同じ二十代で、魔力量はべレフォールと同等。


 異議を唱えようとしている彼女に続き、第五・第六・第七王女たちも順に口を開き始める。


 「私も魔神王になりたいなー」

 「あ、あたしもあたしも!」

 「てか、うちら三人が魔神王になれば解決じゃない?」


 第五・第六・第七王女たちは似たような容姿を持っている。

 そう、彼女たちは三つ子なのだ。

 簡単な見分け方としては、第五王女はその輝く金髪の長髪をポニーテイルにしており、第六王女はハーフアップ。第七王女は毛先だけをまとめたツインテイルと髪を結っている。

 年は十代後半くらいで、魔力量は三人とも同等ーー俺の十五分の一弱程度だ。

 その若々しい美貌と「メデューサの呪い」の効果を持ち合わせていそうな澄んだ水色の瞳からは、つい目が離せなくなってしまう。

 そんな彼女たちの名前は、


 「シヴィリアーナ、カレアマキナ、サイスノールカ。あなたたちには「魔神王」の座は少々荷が重い気がするの。だから今回は諦めてね?」

 「あー、サリカ姉さんが私たちを見下してるー」

 「ふん! あたしたち三人揃えば平気だもんね!」

 「うんうん、うちらが揃えば無敵っしょ!」

 「魔神王の権力は強大・・・、ガキがお遊び半分でなっていいものじゃない・・・」


 十代後半と年相応の態度を示す三つ子を咎めたのは、第一王子でもなければ第二、第三王子でもなく、「最強の魔神」と謳われるガイオスに次ぐ実力を兼ね備えた男だった。


 「もー、セモンも私たちのこと信用してないなー、というか同い年じゃん!」


 彼ーーセモンは、魔神王直系の第四王子だ。

 薄暗い緑色の髪が目元まで隠されており、時折見せる鋭い眼光には恐怖を覚えるという噂を耳したことがあるが、俺は一度も見たことがない。

 年は、三つ子と同じ十代後半くらいなのだが、魔力量はガイオスに次ぐ五分の一程度だ。

 その強大な力ゆえに、嫉まれることもしばしばあるという。

 そんな彼が、恐れず口を開いたということは答えは一つ。


 「俺が魔神王になる・・・、それで文句はないだろう・・・」

 「いや、第一王子である俺がなるべきだ、部外者は引っ込んでろ」

 「ちょ! 私も魔神王様の血を引き継いでるから部外者ではないんだけど!?」

 「女、子供は大人しく引っ込んでろ。魔神王になれるのは男の俺たちだけだ」

 「うっわ、それは男女差別ですよ、べレフォール兄さん」

 「「サイテー」」

 

 そんな口論が繰り広げられている中、第八、第九、第十王子は大人しく立っていた。

 魔神王直系にして第八王子のバレンとは接点を持ったことが一度もなく、オレンジ色の髪をした十代前半の好青年ーーという情報しか知らなかった。

 

 俺とバレン、アスモレオンが黙って立っていると、魔神王の側近だった者が言いかけていた言葉の続きを語りだし、それを機に口論は幕を閉じた。


 「後継者争いをしているところ申し訳ないのですが、すでに後継者は魔神王様がお決めになられております」

 「それはつまり、〝遺言状〟があるということか?」

 「そういうことになります」

 「そこには何て書かれている! 早く教えろ!」


 ガイオスが尋ねた後、鼻息を荒くしたべレフォールが側近に掴みかかる勢いで問い詰める。

 そして、側近の口から出た言葉に誰もが衝撃を受けた。

 ただ一人を除いてーーーー


 「魔神族を統べる全ての権利は、第十王子であるルシフェオスに授ける・・・だそうです」


  魔神王直系の第十王子、つまりーーーー()()


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