「第二話 冒険の始まり」
そこには黒い鱗に身を包み頭には二本の大きな角をはやし大きな翼に赤い目を持った巨大なドラゴンがいた。
「どうなってんだよ!まじで!いや待てよ?スライムがいるんだ。別にドラゴンがいてもおかしくないか。って!そうじゃないだろ!!どうすれば良いんだ?考えろ俺ええええ!!」
「どうした人間よ。何をそんなに慌てているのだ。」
どうしたじゃねえよ!ドラゴンが目も前にいるんだ。虫が目の前に飛んでくるだけで絶叫するのにドラゴンとかおかしいだろ!
というかなんでここに俺いんだよ!
「ん?強き者よ。腕をめくってみろ。」
「え?こうですか?」
そこには、ドラゴンの頭のようなシルエットのマークが描かれていた。
って。なんだこれ?入れ墨?嘘だろ俺高校生だぞ!それにこれからの人生そういう目で見られて行かないといけないのか?
「む?人間よ。そなたは魔物使いなのか。」
「すみません。魔物使いとは何でしょうか。」
「なんだ自分のこともわからんのか。」
「はい。すみません。」
「いや。気にするな。」
なんか俺の思っていたドラゴンよりもかなり優しいな。
「では説明しよう。魔物使いとは魔族を仲間にすることができる者のことでその魔族を強化したりもできるのだ。普通の人間と魔族が仲良くすると両方が神の力によって死んでしまうからな。それを無効化することができるのがその紋章なのだ。それと私の知る限り今この世界には魔王とそなた以外魔物使いはおらん。我も書物で見たことはあるが現物を見るのは初めてだ。」
魔王!?ますますRPGゲームみたいだな。
というか魔王と俺だけって結構俺ってやばい奴なのか?
「だからそなたはかなり珍しい存在なのだ。」
「なんかありがとうございます。」
「我に感謝せんで良い。」
「そなた。その自分が魔物使いということも知らないところを見るとどうやら異世界から来たのではないか?」
「え?わかるんですか?」
「うむ。この世界には極稀に異世界からこちらの世界に来る者がおるらしい。しかし異世界からこちらへ来る際に特殊能力を得る話は聞いたことがないがな。」
「へえ。そうだったんですね。」
「もう敬語はよせ。我と対等またはそれ以上の力を秘めているそなたにわしに対して敬語は必要ない。」
「え、そうですか?じゃなくて、そう?」
「うむ。」
何やら大変なことになってきたな。
「グリバーン。一つ聞くが俺が元の世界に帰る方法はないのか?」
「それは我にもわからん。しかしこの世界のどこかに方法を知っている者がいるかもしれんな。」
それにかけるしかないのか。
でもこの世界って言ったって相当広いだろ。
こりゃ大変なことになったな。
「そなたは、自分の世界に帰りたいのか?」
「当たり前だ。家族や学校の奴らが待ってるんだ。あきらめてたまるか。」
「そうか。では、私も共に旅をしてもよろしいか?」
「え?お前が?」
「そうだ。ダメか?」
「いいけど何でだ?」
「この森にいても暇だからな。それとなんだか面白いことになりそうな気がするのだ。これではだめか?」
「いや、えっと、別に良いけれど、お前くそデカいじゃん。」
「そのことなら気にするな。」
「グラビト!!」
グラバーンがそう唱えるとグラバーンの体が次第に小さくなっていきそしてついには人間サイズになったのだ。
容姿は三十代ぐらいの顔で身長は180cmはあるガタイの良いおっさんって感じだ。
これが魔法というやつなのか。
初めて見たがやっぱりすごいな。
「人間になったのか?」
「見ての通りだ。そなたもこれぐらいの変身魔法なら簡単にできるようになると思うぞ。ところでこれで問題ないな?」
「え?まあそうだな。確かにこの世界のことを俺は知らなさすぎるしこの世界のことをある程度知っている奴がいたほうが頼もしいからな。」
今はこいつの言うことに従うしかないな。
何されるかわからないし。
一応警戒しておくか。
「では決まりじゃな。」
「ところでそこのスライムは何なのだ?」
「遅いよ!ずっとさっきから話が終わるのを待っていたのに!」
「そうだったな。せっかくだしお前も一緒に来るか?」
「何を言うか!そんなに俺っちは暇じゃないでね。」
「俺っちはもう帰る!」
「ガオオオ!!」
スライムが帰ろうとした瞬間スライムにトラのような魔物がとびかかろうとしたのだ。
「え?ぐわああああ!!」
「やれやれキラータイガーか。世話の焼けるやつだな。」
「燃え尽きろ。ヘルフレイム!」
「グヲオオォォン!」
なんとグラバーンの手から放たれた炎はキラータイガーの体を包み込み跡形もなく燃やし尽くしたのだ。
「ありがとうごさいます~~!!」
「死ぬところだったである~~!!」
「引っ付くでない!離れろ!」
「にしてもホントに強いな!さすがドラゴンって感じだな。」
「この程度の相手に苦戦するようであったらドラゴン失格であるわ!」
「まあ、そうなのか?」
「決めた!俺っちもお前らについて行くことにした!」
「どうした急に?」
「だって今のような状況にまたなったら今度こそお陀仏である!だからお前たちと一緒に行動したほうが安全でいいと思ったのである!」
「そなた。本当にこやつを仲間にするのか?」
「ま、良いだろ!仲間は多いほうが良いしな!」
「ありがとうである!」
とまあこんな感じで俺たちの世界をめぐる冒険は始まった。