8/10
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目が覚めて、鳥の鳴き声が聞こえる。
身体が重い。
日差しは明るくて、眩しいのに。
目の前は、少し暗く感じた。
…また、戻ってきてしまった。
日付はやはり、7月15日。
流石に2度目は驚かなかった。
僕が冷静すぎる、と言う事もあるかもしれないけれど。
が、毎回驚いていたら頭の理解が追い付かなくなる。
もし、こんな状況が今後も続いたら…。
そう考えただけで、ゾッとした。
彼女をもう苦しめたくはない。
たとえ、あの子が忘れていたとしても。
僕は、自分の頬を叩きリビングに向かった。
冷静に考えよう。
彼女がいつも来る時間は、今から30分後だ。
…大丈夫だ。
「よし。」
僕はノートを開き、ペンを取り出す。
取り敢えず、今の状況を整理する。
恐らく、あのビルにあの時間近付かなければいいのだろう。
安易な考えだが、それしか思いつかない。
…つまり、僕が帰り道いつもと違う道を選べばいいんだ。
…なんだ、簡単じゃないか。
僕がノートにまとめた内容を見てそう思った。その時、ちょうどチャイムが鳴った。
「あ!おはよう、若竹君!」
「…おはよう、月ノさん。」
僕はそう返した。