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チャイムが鳴った。
僕は、急いで外へ出る。
夏の暑い日差しが、目に眩しく映った。
「あっ!おはよう、若竹君!」
そこにはニコニコ笑いながら、挨拶をしてきた女の子がいた。
「おはよう、月ノさん。」
彼女は、同じクラスの月ノさん。
彼女とは、高校に入ってから仲良くなった。
今まで面識は全く無かった筈だが、初めて会った時から初対面ではない気がしてならなかった。
実は一度、彼女にその質問をしたのだが…。
「えっ?そう?」
と、言う感じだった。
とぼけてるのか、素なのか。
心理学、もっと学んどけばよかったな。
分かれば、少しは彼女のことが理解できたかもしれないのに。
今更、後悔した。
「若竹君、学校行くよ。」
「うん、分かってる。」
僕は、準備をして外に出た。
空は晴れていて、鳥の声も聞こえてくる。
まだ7月という事もあり、ジリジリと暑い太陽の日差しが肌を照りつける。
「今日の運勢、どうだった?」
彼女がいつも通りの事を聞いてくる。
「特に面白いのは無かったよ。」
「いやいや、君はどんな事でも面白くないって言うから。」
まぁ、その通りなので流すことにしよう。
サラッと流すと、彼女が言った。
「ねぇ、若竹君。」
「何?」
そして、急にこんな疑問を投げかけられた。
「君に、好きなものや人はいるのかい?」
「…え?普通に、あるけど。」
僕の回答に、驚いたような顔をした。
そんなに驚くことだろうか…。
「と、いうか。なんで、そんな事聞くの?」
「だって、若竹君はいつも普通、とか別にとか言うから…。」
少し、不満気な顔をする彼女。
何故そんな顔をするのか、僕には見当がつかなかった。
「でも…そっか。」
そう呟いた彼女の笑顔は、少し寂しそうに見えた。
しかし、そんな表情はすぐ消え
「あっ、そうだ!実はね、昨日。」
思い出したかのように、いつもと同じ様に彼女が楽しげに話し出す。
昨日の晩御飯とか家族の事とかを話してくる。
そんなこと、僕に話して楽しいのかな。
なんて…。
「ん?どうかしたの?」
彼女のカバンについている、白くもふもふとしたキャラ物のキーホルダーが揺れる。
それと同時に、僕の顔を覗き込む彼女に、少し驚きながら別に、と返した。