第1章〜繰り返される日々〜
目が覚めるといつも通りの白い天井。
窓からは、明るい日差しが差し込む家。
そして、ここは二階にある静かな僕の部屋。
唯一安心できる、居場所。
ベッドから起き上がり、日付を見つめる。
「…7月15日か。」
今日は週の始まりの、月曜日だ。
月曜日の憂鬱とは正にこの事だろうな。
そう思って、一人溜息をついた。
僕は今、家に一人でいる。
母さんは、看護師。
父さんは、単身赴任中。
兄さんは、一人暮らしで家を離れている。
正直なところ僕には、兄さんがとても羨ましい。
いつも兄さんに憧れていた。
6つ年上の兄は僕の目には、輝いて見えた。
だって、自分の就きたい仕事をして楽しそうだから。
僕はそんな昔から抱いていた感情を思い出しつつ時計を見ながらコーヒーを淹れ、テレビをつける。
「…***市で、殺人事件が…。犯人は、黒いフードに妙な笑みを浮かべて…。」
「殺人か…最近多いな。」
僕はコーヒーを飲みながら、そのニュースを眺める。
近頃、ナイフで刺されたとか、睡眠薬を多量に飲まされてとか。
事件の起こった場所は、僕の住んでいる所からはほど遠いものの、心配ではある。
その事件が起こった場所は、母の職場の近くなのだ。
「母さん、大丈夫かな。」
心配になればいつでも連絡は取れる。
だが、両親は多忙だし兄さんの邪魔はしたくなかった。
…僕が心配ってだけじゃダメなんだ。
僕じゃ、何も出来ない。
そう思うだけで、何故か俯いてしまう。
ニュースを見ながら、いつもの星座占いを観ているとチャイムが鳴った。