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第2章〜過去と繋がり〜
「ねぇ!」
「…どうしたの?」
呼びかけられて、そう返した【君】の反応に頬を膨らませた。
こっちが拗ねたって、認識されるために。
だって、話しかけてるのに下の本から目を離さない【君】が悪いんだから。
「やっぱり、君は反応が薄いよ!」
「仕方ないよ、こう言う性格なんだ。」
そう言いながら、何だかんだで【君】は下の本を読み続けている。
【君】は、一回集中しちゃうと他のことが見えないんだから。
そう思って、【君】の肩をガンガン揺らす。
そして、呆れたようにようやくこっちを向いた。
「はぁ…何?」
「ねぇねぇ、遊ぼうよ!本なんか読んでないで、一緒に遊ぼ!」
そう【君】に言うと、面倒そうな顔をしながらもいつも本を閉じて遊んでくれる。
そして鬼ごっこをしたり、2人で街を回ったり。
たまに、神社でお爺さんに会ってはお菓子を貰って2人で分けて食べた。
幼い2人にとっては、[遊ぶ]ということよりもそれは、[冒険]に近かった。
しかし、月に叢雲花に風。
こんなに楽しい日々は長くは続かない。