実戦的訓練
10階層に着くと、そこにはレムル達獣人が街を作っている姿があった。
フクロウとプリセスが渡した建物の設計図及び町の予定図を、自分たちが住みやすいようにアレンジして作っているのだ。
まあアレンジなんてほとんどしていないようだが、まあ別に問題はない。
獣人も200人もいたら個性がだいぶ出るようでまあ職業ごとの内訳の大まかなな感じは、狩人が50人、農婦が50人でスコル家が武力的なトップで、もう1人指揮的なことをするトップの家系があってあとは無職(子供)が100人だ。
だいぶ子供が多いが子供と言っても俺ら的な子供なので、もう働いている奴もボチボチいる。
まだそこまで信頼を勝ち得ていないためか俺らを見た時の獣人の雰囲気が悪い。
まあまだ1週間も経って無いから仕方ないちゃ仕方ないのだが信頼されないのはちょっと傷つくよね。
しかし、建築はやっぱり時間がかかるな。
住居だけでもさっさと用意してやりたいがそれをすると技術が生まれない。
う〜むどうしたもんかな。
まあそれは後で考えることにしよう。
今はもっと大事な用事がある。
俺達は獣人達の作業を尻目にコロシアムに向かった。
コロシアムについた。
なぜここかというと、ここが一番広い場所だからだ。
俺たちが今からすることは自身の強化と魔物の召喚だ。
まずは俺たちの強化からだな。
「ダンジョンコア俺の魔石とチートポイントの12%を使ってプリセス以外のレベルを上げてくれ」
「まあ私は戦わないから今はいいけどすぐ追いつけるようにしなさいよ」
「まあ善処するけど、お前レベルなんてそんなにいらなくね」
「貴方達に大きく負けているっていうのが嫌なのよ」
なんちゅう理由で貴重な経験値を使う気なんだと思いわしたが口にできるほど俺は無謀ではない。
『求、魔石を提示してください』
「おう、これだな」
『解、経験値の譲渡を開始します』
経験値が譲渡される。
体が休息に強化されるのがわかる。
俺が初めて魔石を装備した時と似たような感覚だ。
まあ痛みも気持ち悪さもこっちはほとんどないが。
他のやつを見ようと周りを見ると。
全員痛みに耐えていた。
必死にもうすっごい顔で。
俺はそんなに痛くないんだけどなんでだ?
魔石を使ったときに限界値が増えたからかな?
いや俺以外にも痛がってないやついるな。
ポチは痛がるというよりも喜んでるわ
いや~こう見ると全員声にはださないけど痛がり方に差があるな。
ポチはまあ別次元だとして、ラムはできるだけ隠そうとしてるのは伝わるんだけどぜんぜん隠せてないし、シャドーはもはや痛みを感じながら受け流して痛がるそぶり面倒とでもいいたげだ、ハイルは全力で耐えている、ハイルの体は殆ど動かずその場で耐えている、シャドーは影にもぐって醜態を見せるのを避けている、マストは痛みに耐えようとはしているが隠れたり我慢したりせず自然体でいる、カナデはそこらじゅうをのた打ち回っているフクロウは死んだように動かない。
痛みが和らいできたのか全員の反応も小さくなっていった。
「お疲れ様、そんなに痛かったの?」
プリセスが労いの言葉とともに疑問をぶつけてきた。
「痛かったよー。なんかね、体の中からえぐられる感じがするんだよ!」
「それは・・痛そうね」
「ああ、あれは俺がこれまでの人生で体験したく痛みの中で一番だな」
「そうなのね。でもあなたとストームとハイルとゴースはあまり痛そうではなかったけど?」
たしかにあの3人はあまり痛そうではなかったな。
周りの反応で痛そうなのはわかるが、あいつら3人ならみんなも痛くないんだ〜、って思ってただろう。
俺はそもそも痛みを感じなかっただけだからな。
「我もそこまで痛くなかったぞ、あんなもの、我にとっては児戯にも等しい」
ラムが振ってもないのに話に入ってきた。
フルスイングしてスカした感じで入ってきた。
まあラムは痛そうなのがわかりやすかったな。
「はいはい。今見栄を張っても遅いからみんな見てたからね〜」
「あ、あれは・・錯覚そう目の錯覚だ!」
「みんな錯覚にかかったんだ〜。誰かに幻術でもかけられたのかな〜」
「やめとけラム、お前身体だけじゃなく心までえぐられるぞ」
俺がそういうとラムは静かに黙った。
「それにしてもどうやって痛みに耐えてたの?」
「痛がることが面倒になってきだから、痛い反応をするのをやめただけ〜」
「我はただ全力で痛みに抗っただけだ」
「俺は痛みを我慢したりせずただただ自然体でいただけだ」
へー全員それで痛がらないってすごいな。
プリセスがこっちに目線を向けている。
はて、俺何かしたかな?」
「あなたはなぜ痛がらなかったの?」
「あ?俺か?」
「あなた以外他に誰がいるの?」
「俺はそもそも痛くなかっただけだよ」
「?」
俺の答えに全員がハテナマークを浮かべた。
俺はそれにしっかり答えてやる。
「俺が魔石を使った時に限界値が高くなったから痛くないんだよ」
「・・ずる、あの痛みを味わえ・」
「いや、俺も魔石の時くそ痛かったって」
「まあまあみんないいじゃねえか」
「「「今まで余韻に浸ってた変態は黙ってなさい(てください)(てよ!)」」」
「はい」
「お前もやっと会話に混ざったなシャドー」
「いや〜入るタイミングを見失ってしまったんで」
「好きな時に入ればいいのに」
「そうもいきませんよ、KYと思われるの嫌なんで」
「別に俺らの中ぐらい」
「親しき中にも礼儀ありですよ」
「ヘイヘイ、お前に何言っても無駄なんでしょ。もうわかったよ」
「わかればいいんです。わかれば」
ほんと口がよく回る男だな。
こいつとの言い合いで勝てる気がしねえ。
「はいはい、貴方達次はその体に慣れるんでしょ。早く殴り合いでも殺し合いでもしなさい」
「言い方が物騒なんだよな」
「実際そうするのだから仕方あるまい」
「私はやらないからね!地上での勝負なんて負け戦だよ!」
「じゃあわたくしとカナデはコントロールルームで見てるわね」
「がんばってね〜」
そう言ってカナデとプリセスはこの場を離れた。
コントロールルームというのはこのコロシアムのステージを色々なものに変える場所だ。
海だったり森だったり、火山や大嵐の中など色々ある。
まあ今回どのステージになるのかはあいつらのさじ加減だけどな。
全員もうウォーミングアップを始めている。
全員気合いが入ってるな。
俺たちはある程度均等にわかれた。
ステージが変わった時に、位置もある程度変わるからそこまで心配いらないが念のために離れる。
正直プリセスのことだしこっちの様子を伺って準備万端の時のスタートするのだろう。
もうすぐステージが変わる。
俺がそう思った瞬間周りが石に変わった。
ストームの迷宮の風なしバージョンか?
このステージにした意図はまあ適当なのかな?
そう考えながら俺は狩りを開始した。
「さあ結果を発表していきましょうか」
実験も兼ねた実戦的な訓練が終わった。
本当に殺しているので死んだ者から観客席的な場所に送られる。
戦った時間は思いの外長く数時間に渡った。
そして今一度その順位が発表される。
自分の順位ぐらい自分で分かっているのだがまあ念のためだ。
「ポチ6位ね。まあ首輪を解除してないからボチボチね」
「もうちょっとぐらいいきたかったな〜」
ポチは首輪によってステータスが下がっている。
それでも6位を取れるのだから中々なものだ。
「ラム7位ね。浮遊剣のスキルがまだ上手くコントロールできていなかったわね。しかも二刀流に徹することも浮遊剣に徹することもせず優柔不断な立ち回りが生んだ結果ね」
「我剣ここに破れるか」
ラムは二刀流に徹していればもっと順位が上がっただろう。
だが、浮遊剣を使いたいという気持ちが行動を雑にしている感じがしたな。
まあラムのことだから両方極めるのだろう。
「ストーム4位!おめでと〜。えーと・・試合では自分の安全圏をしっかりと理解した上での一つ一つの行動がその順位を生んだね。問題があるならスピードが足りなかったらしいよ!」
「ほいほ〜い」
確実に横でプリセスが言ったことを言ってるだけだなカナデ。
まあ自分も何かしたかったのだろう。
その心がけはいいんだけど、先にセリフぐらい覚えときゃいいのに。
まあどうせ試合に集中してて、覚えるのを忘れてたとかだろう。
ストームはハイルとの戦闘の時にもっとシャドーを警戒するべきだったよな。
全身装備の防御力を過信して下に一旦降りたことが敗因だ。
下に落ちた一瞬でシャドーに首を絶たれて終わった。
「次は〜ハイル!2位おめでとう!すごかったね!えーと・・本来のスタイルである竜化や人化を使った変化を急速に熟練度を上げることで実践可能にした、その気合いと実力はさすがだよ!でも混戦では自分が目立つことを理解してもうちょっと立ち回った方がいいよ!」
「私の全力の結果ね。あと少し足りなかったわ」
ハイルの戦闘スタイルというのは竜化や人化、半竜化を一瞬にして発動して自分の体の大きさやリーチを変えて変幻自在に戦うのだ。
竜化から人化や半竜化状態になる時自分はコア的なものの場所に人化、半竜化状態で変化するため、竜の頭からきたり逆に尻尾から出たりとそもそも攻撃に当たらない回避力と、人化から半竜化はするとひと回りほど体が大きくなるのだが、それを使って間合いを変えたり、竜化して一気に攻めたりとそもそもの能力が高い竜人の中でも技巧派で相当トリッキーな戦い方だ。
「次はシャドー!3位おめでとう!やばいねアレ!えーと・・ストームと同じく自分の安全圏をしっかり保って相手を殺せるタイミングのみ動く徹しがいい結果に繋がったね。ストームと違って緊急事態の想定や油断もなかったけど相手が悪かったね。それでも相性の悪い相手によく動けたよ!」
「ありがとうございます。次こそはやつの寝首をかきますよ」
シャドーは全員警戒していた。
だが、誰かとの戦闘中や誰かを倒した瞬間といった一瞬の油断をついて敵を倒していった。
あのタイミングの測り方はそれのために訓練したやつじゃないと無理だな。
PSがなす神業だ。
「マスト5位ね。惜しかったわね。全員がそうだったけどハイルに次いで貴方が熟練度を急速に上げてたわ。試合中での進化は言葉以上に難しいわ。それをいとも簡単にやっているのはさすがね。問題があったとするならば、もう少し熟練度を上げてから先頭に乗り出した方が良かったわね。その戦闘中でも進化はしたけどまだ熟練度が足りないわね。今もやっているようだけど熟練度が大事よ」
「ああ、わかっているさ」
マストは戦闘中に自身の血の酸化と封印の効果をどんどん高めていった。
血操作の精度も目に見えてわかるほど高くなっていた。
俺的に敗因を挙げるならスキルの眷属スキルだ。
ダンジョン的にはあのスキルは必要だが、一対一ではほぼ無に等しいスキルだ。
アレがもっと戦闘的なスキルだったのならもっと順位が上がっただろう。
さあ残った順位は1位と8位という上と下だ。
俺がどちらかなのがもうおわかりだろう。
「フクロウ!1位おめでとう!あの動きどうやってたの!・・えーとね・・戦闘中に相手の癖を見抜くその観察眼とそのクセを把握し対応する対応力はすごいよ。その技術をもっと磨いてもっと強くなってね」
フクロウは相手の動きをコピーしそれを踏まえた戦いをする。
だから戦いにおいて長期戦になり相手の動きが露呈すればするほど攻撃、防御の精度が上がるのだ。
正直延長戦にしたら勝てる奴はそうそういない。
だからこそ8階層の守護者なわけなんだけどな。
そしてもうおわかりだろう。
俺の順位のこと。
「ゴース貴方が最下位よ。まあ種族的に周りが強くなったらすぐ弱くなるのは仕方ないけどもう少し粘った欲しかったわ」
そう俺が最下位の8位なのだ。
まあ仕方ない魔法耐性が低すぎるのだ。
しかも最初に当たったのがフクロウっていうね。
うちのチームで1番の魔法使いだ。
そんな相手に当たったら勝ち目ないよね。
いや俺も頑張ったよ、魂魔法に魔力込めて魔法の相殺とかもしたよ。
でもね、3発で死ぬのは無理ゲー過ぎると思うんだよー!!




